【為替本日の注目点】米長期金利1.93%前後まで低下

ドル円は115円を中心に小動き。引き続き軟調な株価とウクライナ情勢からドルの上値が限定的となり115円17銭がこの日のドルの高値。ユーロドルも1.13台前半から半ばでもみ合い。年内の利上げ観測を巡り見方も分かれる。株式市場では3指数が揃って下落。ダウは232ドル下げ、ナスダックとともに3日続落。FRBによる利上げとウクライナ情勢から上値の重い展開が続く。債券は3日続伸し、長期金利は1.93%前後まで低下。金と原油は揃って下落。ともに連休前のポション調整の売りに押される。
1月中古住宅販売件数 → 650万件
1月景気先行指標総合指数 → -0.3%
ドル/円 114.98 ~ 115.17
ユーロ/ドル 1.1314 ~ 1.1362
ユーロ/円 130.16 ~ 130.80
NYダウ -232.85 → 34,079.75
GOLD -2.20 → 1,899.80ドル
WTI -0.69 → 91.07ドル
米10年国債 -0.033 → 1.929%
【本日の注目イベント】
独 独1月生産者物価指数
独 独2月製造業PMI(速報値)
独 独2サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏2月製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏2月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏2月総合PMI(速報値)
英 英2月製造業PMI(速報値)
英 英2月サービス業PMI(速報値)
米 NY休場(プレジデンツデー)
この週末は北京オリンピックもありましたが、TVではウクライナ情勢一色の印象でした。バイデン大統領はホワイトハウスで、「ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を決定したと確認している」と明言し、近日中(Coming few days)に攻撃する可能性があると語っていました。ロシアは20日が終了予定日だったベラルーシとの合同軍事演習を延長することを決め、その理由に「ウクライナ情勢の緊迫」を挙げていますが、そもそも緊張を高めているのはロシアです。西側のメディアも招待されたなか公開された軍事演習は、かなり本格的なもので、ロシアの軍事力を見せつけるに十分でした。ホワイトハウスのサキ報道官は、「ロシアはいつでも侵攻できる状況にある」と述べています。
北京オリンピックも昨日で終わり、もし実際にこの後侵攻を開始したとすれば、「北京オリンピック開催中には侵攻はない」と、素人考えで予想したことが正しかったことになりますが、救いなのは、バイデン政権がこの局面でも外交的解決へのドアを開いていることであり、ウクライナのゼレンスキー大統領も首脳会合を行うことを提案していることです。もし今週中にもウクライナへの侵攻があれば、リスク回避の円買いが進み、ドル円は下落。さらにユーロ円などが大きく売られ、「円全面高」の展開が予想されます。足元で軟調な展開が続いている株価も一段と下げ、安全資産の債券が買われ、金利が低下すると見られますが、債券についてはFRBの利上げといった逆風もあり、どこまで金利が低下するのか、読めない状況です。また、ウクライナ侵攻が開始されれば株価の一段の下げもあり、景気そのものが悪化し、利上げも足元の想定通り行うことができないのではないかといった見方もできますが、現時点では「たとえ侵攻があっても、利上げシナリオへの影響はない」とする見方が大勢のようです。
シカゴ連銀のエバンス総裁は、「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転換が必要だ」と指摘する一方、長期にわたる引き締めについては慎重な姿勢を見せています。またNY連銀のウイリアムズ総裁は、「3月の利上げは適切」としつつも、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見られない」と述べ、0.5%の引き上げ幅には消極的な姿勢を示しています。このようにFOMCメンバーは、一部を除いて概ね利上げにはハト派の姿勢を示しており、市場の見方との乖離がさらに広がっているとみられます。米大手金融機関では、バンク・オブ・アメリカとゴールドマンが今年の全ての会合での利上げを予想しており、JPモルガンは「米金融当局は今後9回の会合で毎回0.25ポイントの利上げを決め、来年の早い時期までに政策金利を中立的な状態に近づけるとみている」と、さらにタカ派的なレポートを発表しています。(ブルームバーグ)この見方が正しければ、利上げは毎回行われ来年3月まで続くことになります。因みにFOMCは年に8回開催され、今年は1月会合が終わっているため、今年残りの会合7回と、来年1月と3月の都合9回利上げということになります。
ドル円は米長期金利の高止まりにサポートされる展開ですが、ロシアがウクライナ侵攻を行えば、ドルの下値を試すことになるのはほぼ間違いないところでしょう。まだ、外交的な解決の可能性も残されているとは思いますが、株価や債券の動きをみると、徐々にその可能性を意識してきたという印象です。特に債券では、上述のように、FRBの利上げが加速するといった観測が強まるなかでも、2%まで上昇した金利が真逆の動きを見せています。
本日のドル円は114円30銭~115円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は115円を中心に小動き。引き続き軟調な株価とウクライナ情勢からドルの上値が限定的となり115円17銭がこの日のドルの高値。ユーロドルも1.13台前半から半ばでもみ合い。年内の利上げ観測を巡り見方も分かれる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-21 09:30