変動期に安定した円建て利回りを確保する「グローバル・ターゲット戦略債券F」、運用責任者に聞く市場環境

三井住友DSアセットマネジメントが3月2日に設定する「三井住友DS グローバル・ターゲット戦略債券ファンド2022-03(限定追加型)」は、約4年後に満期償還を迎える投資信託で、3月9日まで申込を受け付けている。ファンドは、信託期間内に満期償還される債券に投資し、為替は円ヘッジした上で年率1%程度の利回りの確保を目指す。同ファンドの特徴と運用について、運用責任者である三井住友DSアセットマネジメントのシニアインベストメントオフィサー三好紀子氏(写真:左)と投信営業部シニアマネージャーの瀬戸博央氏(写真:右)に聞いた。
――商品の特徴は?
瀬戸 足元、インフレ懸念や緊迫するウクライナ情勢によって不安定な市場環境になっていますが、このような環境下で安定的で魅力的な利回りを提供したいと考え商品を企画しました。これまで定期預金や日本国債を中心に資金を蓄えてきた方々にとって、30年近く続いてきたゼロ金利の継続は、もはや受け入れがたいと感じておられる方も少なくないと思います。かといって、株式の価格変動リスクは取りたくない方々に、年率1%程度の利回りが期待できる商品を提供したいと考えました。満期を迎えた定期預金や償還を迎えた個人向け国債の預け替えの対象商品としてもご検討いただけると考えています。
信託期間は約4年で、この間に償還期日を迎える債券に投資します。原則として債券が満期償還するまで持ち切る運用をし、全ての費用を控除した後で年率1%程度の利回りを確保することを目指します。債券の市場価格は日々変動していますが、満期時には額面で償還されます。満期償還まで持ち切ることによって償還時の価格変動リスクの抑制が期待できます。デフォルト(債務不履行)のリスクはありますが、そこは、あらかじめしっかりと企業調査を行うことでデフォルトのリスクを低く抑えることが可能です。また、為替変動リスクを抑制するため、為替ヘッジ取引を活用しています。このようにリスク要因を限定して、分かりやすい商品性にしました。
――米国が3月に利上げを予定しゼロ金利政策を転換しようとしています。この環境は、債券の投資タイミングとして良い時期なのでしょうか?
三好 足もとでは債券金利が上昇基調ですが同時に為替ヘッジコストも上昇基調です。このファンドの魅力の一つはこのような環境下、為替ヘッジ後の円建てで4年間で年率1%程度の利回りを目標とするものです。その意味で、非常に魅力的な環境にあると考えています。コロナ・ショックによって、世界的に金利がゼロ%台に引き下げられたのち、アメリカなど一部の国々で金利を引き上げて正常化しようという動きになり、市場が動いています。
私は、ファンドマネージャーとして外資系の運用会社においてニューヨーク、および、東京の両拠点で運用を経験してきましたが、債券運用、特に、グローバル社債運用は、欧米のそして男性が多いという特徴があります。債券の売買は、取引所で売買される株式と違って相対売買といって、取引所外で売り手と買い手が価格交渉して取引することが中心です。経験が、より良い条件で債券売買を行う上で重要な要素になっています。私のような女性ファンドマネージャーは多数派コンセンサスの中で見逃されていた割安銘柄を発掘するには好位置にいると考えています。
今では抵抗感のないレベルですが、かつてリーマン・ショック前、伝統的な欧米債券ファンドマネージャーは、「トレジャリー(米国国債)10年の利回りが3%を切るなんてありえない」という声がありました。また、どうしても米国や欧州の債券を重要視するといった「ホームバイアス(自国優先の感覚)」も根強くあり、見過ごしている魅力的な債券がいくつも見出せます。
今回のファンドは、債券投資のリスクを低減するために、幅広い債券への分散投資を行います。また、基本的に為替はフルヘッジとするため、対円ヘッジコストが低いユーロ建ての債券も組み合わせ、魅力的なポートフォリオを構築していく計画です。
――原則として4年以内に償還期日のある債券に投資するということですので、デフォルトのリスクが一番大きなリスクになると思われますが、デフォルトを回避するために、どのような対策をとるのでしょうか?
三好 過半を投資適格債券中心で組み入れます。利回り水準を引き上げるため、45%を上限にハイ・イールド債や新興国債券など投資適格未満の債券も組み入れる予定です。組み入れ債券については、クレジットアナリストの信用分析、エコノミストのマクロ分析をベースに社内レーティングを行い、このレーティングと利回り水準を照らし合わせてファンドマネージャーが分散投資します。
また、デフォルトリスクが比較的低いと考える業種を中心にポートフォリオを作ります。たとえば、金融機関はリーマン・ショック以降にバーゼル新規制が適用され、グローバルに健全化が進んだため、デフォルトリスクが低くなっています。また、政府が規制している電力・ガス・水道などの公共公益企業は、政府の監視の下でデフォルトのリスクは相対的に低く抑えられています。そして、新型コロナ・パンデミックで人やモノの移動が制限されたことで経営的に厳しくなって株式や債券が売り込まれた航空機関連や部品不足の影響で一部の生産がストップした自動車業界など、低い評価に落ち込んでしまった企業の中に魅力的な債券が散見されます。
電力・ガスといったエネルギー産業や航空機・自動車などは、気候変動問題で変革が求められる業種でもあり、その点で積極的に変革に取り組んでいる企業ほど、将来の価値は高いといえるでしょう。債券運用の現場では、特に機関投資家の意向が反映されやすいため、世界的な潮流である「ESG(環境・社会・企業統治)投資」に配慮した運用が重要になります。このESGの視点でも魅力的な債券を選定します。
――このファンドの活用のイメージは?
瀬戸 基本的に約4年間の信託期間を持ち切りで投資していただくことを考えていただきたいと思います。信託期間内に満期償還を迎える債券でポートフォリオを組んでいるため、ファンドの満期償還まで持ち切っていただくと年率1%程度の利回りの確保が期待できます。現金化したい場合には中途換金もできますが、その際には0.3%の信託財産留保額という解約手数料をいただくことになっています。
株式投資等、中長期的に資産を増やしていこうと考える方にもご活用いただきたいです。足元先行きが不透明な環境にもなっておりますので、今はマーケットからの一時的な退避期間と捉えてその間、年率1%程度の利回りを享受していただくのもよいのではないかと思っております。また、資産を安定的に運用するには、債券を資産の一部に組み入れることは重要です。長らく続く日本の低金利環境では、定期預金や日本国債はもちろん、円建ての投資適格社債では利回りを享受するのは難しいと考えられますので、当ファンドをご活用いただく価値はあると思います。
当ファンドは、過去に投資経験がなく、投資の第一歩を踏み出したいと考えておられる方から、株式運用も含めて運用経験の長い方の分散投資の一助まで、幅広い方々に投資していただける商品だと思います。3月9日までの期間限定で販売する商品となりますので、ぜひ、多くの方々にご活用いただきたいと思います。(情報提供:モーニングスター社)
三井住友DSアセットマネジメントの「三井住友DS グローバル・ターゲット戦略債券ファンド2022-03(限定追加型)」の特徴と運用について、運用責任者である三好紀子氏(写真:左)と投信営業部シニアマネージャーの瀬戸博央氏(写真:右)に聞いた。
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2022-02-22 15:15