【為替本日の注目点】ロシアのウクライ侵攻で金融市場は乱高下

東京市場で114円台半ばまで売られたドル円は海外市場で大きく反発。ウクライナが侵攻されたことで、ポンドやユーロが対ドルで大きく下落したこともあり、ドル円も115円69銭まで上昇。ユーロドルは大きく売られ、1.1106までユーロ安が進む。地政学的リスクが顕在化した。ロシアのウクライナ侵攻で株式市場は売りが先行したが、その後急反発。ダウは92ドル上昇し、ナスダックは前日比3.4%の上昇となる436ポイント反発。債券は買われ長期金利は1.96%台へと低下。金は大きく買われ、一時は1976ドル台まで上昇。WTI原油価格も大きく上昇し100ドル台を示現したが、その後上げ幅を大きく縮小。 新規失業保険申請件数     → 23.2万件 10-12月GDP(改定値) → 7.0% 1月新築住宅販売件数     → 80.1万件 ドル/円    114.79 ~ 115.69 ユーロ/ドル  1.1106 ~ 1.1221 ユーロ/円   128.13 ~ 129.36 NYダウ   +92.07 → 33,223.83 GOLD   +15.90 → 1,926.30ドル WTI     +0.71 → 92.81ドル 米10年国債 -0.028 → 1.963% 【本日の注目イベント】 日  2月東京都区部消費者物価指数 日  12月景気先行指数(CI)(改定値) 独  独10-12月期GDP(改定値) 欧  ユーロ圏2月消費者信頼感(確定値) 欧  ユーロ圏2月景況感指数 米  1月個人所得 米  1月個人支出 米  1月PCEデフレータ 米  1月PCEコアデフレータ 米  1月耐久財受注 米  1月中古住宅販売成約件数 米  2月ミシガン大学消費者マインド(確定値) ついにと言うか、やはりと言うべきか、ロシアはウクライナへの侵攻を断行しました。「ロシアのウクライナ侵攻が秒読み段階に入った」とのコメントを昨日のこのレポートでも書きましたが、昨日の昼過ぎ、一部メディアが「ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部のドンバス地方を『守る』ため、特別作戦を命じたことを明らかにした」と報じました。ウクライナ侵攻の始まりです。バイデン大統領は、「ロシアによるウクライナ国民に対するいわれのない不当な攻撃だ」と直ちに非難し、NATOのストルテンベルグ事務総長も、「欧州・北大西洋の安全保障への重大な脅威だ」とロシアを非難しました。 これらの報道を受けドル円は114円台後半から114円台半ばまで売られ、前場は288円安で引けた日経平均株価も後場の取引開始から一気に下げ、一時は670円程の下げを演じました。動きのなかったドル円も、やはり侵攻と武力行使が実際に行われたことで、リスク回避の円買いが進みましたが、思いのほか底堅く、NYでは115円台後半まで上昇しています。侵攻が開始されればユーロが最も売られると予想していましたが、ユーロドルは2020年6月以来となる1.1106近辺までユーロ安が進みました。ユーロ円も一旦は売られましたが、ドル円の急激な反発もあり、想定以上に戻っています。昨日のコメントで株価は反発するかもしれないとも書きましたが、結局ハイテク株を中心に大きく反発しました。「噂で売って、事実で買う」という市場のセオリー通りの動きと言えます。WTI原油価格も同じような動きでした。昨日の夕方には100ドルの大台に乗せたものの、その後上げ幅を大きく縮小しています。 バイデン大統領は24日ホワイトハウスで追加の制裁措置を発表しました。ロシアの主要行へ制裁を行い、外貨取引能力を制限するとした上で、「現在は欧州全体にとって危機的状況だ。ウクライナ国民にとって今後数週間ないし数カ月は厳しいものになろう」と語っています。イギリスのジョンソン首相も全てのロシア主要銀行に対する資産を凍結し、ロシア企業が英国市場で資金を調達することを禁止する計画を含む、厳しい制裁パッケージを公表しました。ただ現時点では、世界の金融機関が加盟し、資金決済を一元化している「SWIFT」からロシアの銀行を排除するには至っていないようです。 ロシア軍はミサイルや大砲による攻撃や空爆を全土に広げており、ウクライナの防空能力は事実上、無力化されているようです。西側情報当局の高官によると、首都キエフは数時間以内に陥落してロシア軍に掌握される可能性があると述べている(ブルームバーグ)ようです。ウクライナへの侵攻を行った以上、プーチン氏は早急にウクライナの非軍事化を行い、現政権を倒し、ウクライナに「かいらい政権」を樹立することを目指しているとの観測があります。伝えられるように、今後はいつ首都キエフが陥落し、「かいらい政権」が樹立されるのかが注目されます。 ウクライナ情勢は最悪のシナリオとなりましたが、FOMCメンバーはそれでも3月の利上げスタンスは変わらないとの発言を行っています。クリーブランド連銀のメスター総裁は「経済が予想外に転換しない限り、3月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考える」と述べ、アトランタ連銀のボスティック総裁も同様な考えを示しています。同総裁は、「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思わない」と述べ、その上で、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性がある」と話しています。 ロシアのウクライナ侵攻は、想定されていたこともあり、市場への影響は現時点ではそれほど大きくはありません。もっとも、株式市場に目をやれば、これまでに大きく下落していたこともあり、実際に侵攻が開始されたことで買い戻しが入ったと見られます。これで終わったわけではなく、仮にキエフが陥落したとしも今後はロシアと欧米とのつば競り合いは続くとみられます。 本日のドル円は115円~116円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京市場で114円台半ばまで売られたドル円は海外市場で大きく反発。ウクライナが侵攻されたことで、ポンドやユーロが対ドルで大きく下落したこともあり、ドル円も115円69銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-25 10:15