【中国IPO事情】海外投資家の窓口になっている香港のIPO市場の低迷が際立つ

中国市場における2月のIPOは、1月と比較するとやや低調だった。2月は、米国株式市場をはじめ世界的に株式市場が低調で、中旬には北京オリンピックの開催があり、下旬にはロシア軍のウクライナ侵攻が始まった。不安定な環境の中だったが、上場銘柄数は香港を含む4市場で20銘柄と、1月の35銘柄を下回ったものの、初値の公開価格からの騰落率は1月の38.99%に対し、29.59%と高い水準を維持した。2月の各市場のIPO状況を振り返ってみたい。
上海市場では、メインボードに4銘柄、新興企業向けの科創板に3銘柄の上場があった。1月には科創板に10銘柄の上場があったことと比較すると、2月の上場銘柄数は少なかった。また、1月には年初に約520億人民元(約9500億円)の資金を調達する中国移動(チャイナモバイル)の大型上場があったが、2月は最大の案件が10日に上場したパワーデバイスの東微半導(688261)の約22億人民元(約400億円)だった。初値が公開価格割れになる銘柄もなく、落ち着いたIPOが続いた。
深セン市場では、メインボードに2銘柄、新興企業向け市場である創業板に6銘柄の新規上場があった。メインボード、創業板ともに、初値の騰落率は1月の実績を上回り、好調なIPOが続いた。1月には創業板に上場した益客食品(301116)が公開価格を3倍以上上回る初値を付けたが、2月には、創業板に22日に上場した紐泰格(301229)と23日に上場した西点薬業(301130)が、ともに公開価格を約2.5倍上回る初値を付けてにぎわった。
中小企業向けの市場として注目を集める北京市場には、1月に引き続き2銘柄が新規上場した。1月は6日に上場した威博液圧(871245)が公開価格を2.9倍超上回って話題になったが、2月は威貿電子(833346)が公開価格を42%超上回る初値になったものの、泓禧科技(871857)は公開価格と変わらない初値となり、1月と比較すると初値の勢いがなかった。
海外投資家向けの市場として窓口の役割が期待される香港市場でのIPOは、1月に続いて不活発だった。3銘柄が新規上場したものの、初値は公開価格近辺で低調だった。1月も本土の初値騰落率に比べて香港の見劣りが目立ったが、2月はそれが一段と進んだ。(図版は、中国4市場のIPOの銘柄数と初値騰落率平均)
中国市場における2月のIPOは、1月と比較するとやや低調だった。(図版は、中国4市場のIPOの銘柄数と初値騰落率平均)
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2022-03-03 13:45