【為替本日の注目点】ウクライナとロシア3回目の協議も進展なし

ドル円は小幅に上昇。米長期金利が上昇したこともあり、115円47銭までドル高が進む。ユーロドルはアジア時間に1.0821近辺まで下げたが、その後反発。NYでは1.0933まで買い戻されるなど、荒っぽい値動きに。株式市場は3指数が揃って大幅続落。S&P500は2.9%下げ2020年10月以来の大幅安。ダウは800ドルに迫る下げで、3万3000ドルの大台を割り込む。債券は3日ぶりに反落。長期金利は1.77%台へ上昇。金と原油は大幅続伸。金は一時2000ドルの大台を突破し、2007ドル台まで上昇したが、その後反落。原油も130ドル台まで買われたのち反落し、119ドル台で取引を終える。 1月消費者信用残高 → 6.838b ドル/円    115.21 ~ 115.47 ユーロ/ドル  1.0846 ~ 1.0933 ユーロ/円   125.05 ~ 125.94 NYダウ  -797.42 → 32,817.38ドル GOLD   +29.30 → 1,995.90ドル WTI     +3.72 → 119.40ドル 米10年国債 +0.043 → 1.773% 【本日の注目イベント】 豪 2月NAB企業景況感指数 日 1月貿易収支 日 1月国際収支 日 2月景気ウオッチャー調査 日 1月景気先行指数(CI)(速報値) 独 独1月貿易収支 独 独1月鉱工業生産 欧 ユーロ圏10-12月期GDP(確定値) 米 1月貿易収支 加 カナダ1月貿易収支 ウクライナとロシアの政府代表は第3回目の停戦交渉を行いましたが、昨日本欄でも触れたように、今回も進展はありませんでした。ただ両者とも交渉は継続する姿勢を示しており、「人道回廊」は8日に機能し始めるとロシア側は見込んでいるとインタファクス通信が伝えています。第4回目の交渉も近く行われる見通しですが、10日にはトルコで、ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相、それにトルコのチャブシオール外相による3者協議が行われる模様です。一方米国防総省の分析では、ロシア軍はウクライナ国境付近に集結させた戦力の95%をウクライナ国内に投入し、その数は16万人以上とみられています。さらに報道によると、ロシア軍はキエフを含む主要都市を一気に制圧するのではなく、都市を包囲すると同時にミサイル攻撃などを活発化させ、ウクライナ軍の「戦意」をそぐ戦略に転換したとみられる(日経新聞)ようです。プーチン氏も、「ウクライナがロシア側の要求を受け入れて抵抗をやめるまで戦争は続く」と、改めて述べています。 ウクライナでの地上戦による死傷者は日に日に増えており、ウクライナ側は子供27人を含む400人以上の民間人が犠牲になったことを発表しています。今朝の報道では中国が「仲介役」を、買って出る可能性を報じていましたが、中国の王外相は「必要な時に国際社会とともに必要な仲介をしたい」と述べるに留め、具体的な方法などについては言及していません。またロシアのウクライナ侵攻を批判せず、依然として「ロシア寄り」の姿勢を維持しています。実際問題、ロシアの攻撃を止めさせる具体的で即効性のある方法はなく、ロシア国内の反対勢力と世論の台頭を待つか、上記中国による仲介が考えられる程度です。 日増しに悪化するウクライナ情勢に伴い、金融・商品市場での混乱も拡大しています。金と原油は大きく買われ、金は2020年8月以来となる2000ドル台に乗せ、WTI原油価格も130ドル台まで上昇する場面がありました。原油価格は、先月末が91ドル台であったことを考えると、原油の供給不足が想定されるとは言え、わずか1週間でこの上昇です。非常に投機的な動きと言う他ありません。債券市場では、2月15日に2.04%まで上昇した米長期金利が、その後の「Flight to quality」(質への逃避)の流れから、1.6%台まで急低下し、来週のFOMCでの「0.5%利上げ」の可能性を打ち消す動きを見せています。 その一方でリスク資産は大きく売られています。代表格の「株式」は昨日のNYでも大きく売られ、ダウは先週末比797ドル安で引けています。1月4日には最高値を更新し、3万6799ドルの高値を付けました。わずか2カ月で約4000ドルも下げたことになります。為替では地政学的リスクの高いユーロの下落が目立っており、ドル円は114円台半ばから116円のレンジを上にも下にも抜け切れない展開です。ユーロ程決定的な売り材料があるわけではなく、「米国の利上げによる円売りと、リスク回避の円買い」が拮抗している状況です。資源価格の急騰は原油だけではなく、多くの資源とあらゆるものの価格が上昇しています。欧米でのインフレの加速はもちろんですが、インフレとは無縁の日本でもさすがに「インフレの足音」は聞こえているはずです。専門家の予想では4月のCPIが2%に達する可能性があるとの指摘もあります。景気が後退する中で物価が上昇する「スタグフレーション」が世界的に広がる懸念もあり、30年近く続いてきた日本のデフレの終焉も近いのではないかと思います。 本日のドル円は114円80銭~115円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に上昇。米長期金利が上昇したこともあり、115円47銭までドル高が進む。ユーロドルはアジア時間に1.0821近辺まで下げたが、その後反発。NYでは1.0933まで買い戻されるなど、荒っぽい値動きに。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2022-03-08 11:15