5.5%成長を打ち出した中国、成長率達成にオールドエコノミーをテコ入れか?=大和総研の見方

中国の重要な経済目標などが明らかになる全人代(第13期全国人民代表大会)第5回会議が3月5日に開幕し、11日まで続いている。これまでに、2022年の政府経済成長率目標が前年比5.5%前後に設定されたことなどが伝わっている。大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は3月7日、「中国:視界不良。高い経済成長率目標をどう達成?」と題したレポート(全5ページ)を発表し、コロナ禍やウクライナ情勢の緊迫化で資源価格などが急騰している中で、あえて高い経済成長をめざす中国が取り得る政策について考察した。レポートの要旨は以下の通り。
◆2022年3月5日に、第13期全国人民代表大会(全人代)第5回全体会議が開幕した。政府成長率目標は、2021年の前年比6.0%以上(以下、変化率は前年比)から、2022年は5.5%前後に下げられた。しかし、今年の成長率目標達成のハードルは格段に高くなっている。新型コロナウイルス感染症の猛威が続く中、2022年はロシアのウクライナ侵攻などで世界的に景気の先行き懸念が強まっているためである。こうした中で高めの成長率目標を設定したのには、5年に一度の党大会に向けて中国経済の力強い回復をアピールする狙いがあるのだろう。
◆高い政府成長率目標をどのように達成するのか。財政政策は景気のけん引役としては力不足であり、こうなると銀行貸出の増加など、金融への期待が否応なく高まることになろう。地方政府特別債券の増額がない中で、インフラ投資向けの銀行貸出増加が要請されるのであろうか。また、単位当たりエネルギー消費量について、2021年は3.0%削減することを目標に掲げたが、2022年は単年の目標設定をしなかった。これには、インフラや自動車など、鉄鋼を使う産業のテコ入れ・伸長が意図されているのであろうか。いわゆるオールドエコノミーの需要を刺激し、それを金融が支える姿は2016年の状況に似ている。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)
中国の重要な経済目標などが明らかになる全人代(第13期全国人民代表大会)第5回会議が3月5日に開幕し、11日まで続いている。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-09 14:00