【上海IPO】遺伝子治療の和元生物技術が11日に公募開始、1億株を発行予定

 上海証券取引所の科創板への上場を目指す、和元生物技術(上海)股フェン(688238/上海)が3月11日に新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億株を発行予定で、公募価格は13.23元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。  同社は2013年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。遺伝子治療の基礎研究向けに、遺伝子治療用担体の開発と製造、遺伝子機能研究などのCRO(医薬品開発業務受託機関)サービスを提供するほか、遺伝子薬物の研究開発向けにIND(新薬臨床開始申請)やCMC(原薬プロセス研究、製剤開発研究、品質評価研究)薬学研究、臨床サンプルのGMP生産などのCDMO(医薬品受託製造)サービスを扱う。21年1〜6月期の売上構成は、CDMOサービスが73.13%、CROサービスが24.16%となっている。  遺伝子治療は低分子標的治療、高分子標的治療に続く新世代の治療法であり、腫瘍や難病、慢性疾患に新たな治療の考え方や手段をもたらすとともに、一般の薬物では実現できない長期的、治癒的効果を持つ。世界の遺伝子治療市場は2016年の5040万米ドルから20年には20億8000万ドルに急増、25年には305億ドルに達する見込みだ。中国では20年の市場規模が2380万元に留まっているものの、国や各地方政府がバイオ医薬を重視し、一連の産業政策を打ち出して遺伝子治療やそのCRO、CDMO産業の支援を行っており、今後臨床試験が進み、製品が続々と発売されるのに伴い市場が急速に拡大すると予想されている。21年には2億6780万元に、22年には14億9570万元、25年には178億8530万元に達する見込みだ。  同社は担体開発技術、品質検査技術などで国内トップレベルの企業と肩を並べているほか、大規模なプラスミド製造、細胞培養工程、大規模培養可能な細胞の種類、大規模生産可能な担体の種類、プロジェクト実行能力では世界をリードするCDMO企業と同等もしくはそれに近いレベルに到達するなど、重要技術で高い競争力を持つ。一方で、2020年における中国のCDMO企業中の市場シェアは約7.65%と小さく、大手上場企業に比べると影響力に一定の制約があるほか、グローバル業務に向けた体制が整っていない、CRO業務とCDMO業務に繋がりがなく、遺伝子治療研究から製品販売までのワンストップサービスが実現できていないといった問題点を抱えている。今後需要が急速に高まる中、念入りな戦略計画を立て、資金や優れた人材の確保、管理を強化した上で経営規模を拡大していくことが同社にとっての大きな課題だ。  2021年12月期の売上高は2億5494万元(前期比78.57%増)、純利益は5425万元(同42.55%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
上海証券取引所の科創板への上場を目指す、和元生物技術(上海)股フェン(688238/上海)が3月11日に新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億株を発行予定で、公募価格は13.23元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-09 18:15