【為替本日の注目点】金融・商品市場、巻き戻しの動き拡大

ドル円は小動きの中、欧州市場で115円95銭まで買われ、NYでも底堅く推移。ユーロドルは買い戻しが入り、1.1095まで上昇。株式市場は急反発し、3指数とも大幅に上昇。S&P500は2.6%上昇し、ナスダックは3.6%買われた。債券は続落。長期金利は1.95%台まで上昇し、再び2%に迫る。金は55ドルを超える下げで、2000ドル台を割りこむ。原油も増産観測から15ドル下げ、108ドル台に。
ドル/円 115.56 ~ 115.89
ユーロ/ドル 1.0984 ~ 1.1095
ユーロ/円 127.23 ~ 128.46
NYダウ +653.61 → 33,286.25ドル
GOLD -55.10 → 1,988.20ドル
WTI -15.00 → 108.70ドル
米10年国債 +0.104 → 1.950%
【本日の注目イベント】
欧 ECB政策金利発表
欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
欧 EU首脳会議(非公式、ベルサイユ。11日まで)
米 2月消費者物価指数
米 新規失業保険申請件数
米 2月財政収支
米 10-12月家計純資産変化
本日もウクライナ、ロシア情報が満載です。
ロシアのプーチン氏がウクライナでの戦争を始めてから今日で2週間になります。首都キエフの制圧に想定していたよりも時間がかかり、プーチン氏は焦っている、あるいは追い詰められているといった見方もあります。メディアは「達成可能な最終目標がない泥沼の様相を呈し始めつつある」と報じています。
ロシア軍は南東部マリウポリの中心部まで迫り、首都キエフにも近いことから、近々大規模な攻撃を仕掛けるとの見方もあり、米シンクタンクは「ロシア軍が96時間以内に総攻撃を仕掛ける可能性がある」(米、戦争研究所)と指摘しています。ウクライナのゼレンスキー大統領はドイツのメディアとのインタビューで、一定の譲歩をする用意はあるとし、ロシア側にも妥協を呼び掛けています。ゼレンスキー氏は、ロシアのプーチン氏と直接の連絡はとっていないことを明らかにし、「戦争を終わらせることができるのは、大統領同士の直接対話だけだ」との認識を示しました。また大統領の側近の、イーホル・ジョフクワ外交政策担当補佐官はブルームバーグとのインタビューで、ウクライナは安全保障の確約が得られれば、政治的な中立性をロシアと議論することにオープンだと述べています。ただ同時に、「自国領土は1インチも明け渡すつもりはない」とも述べています。同氏はロシアのプーチン氏と交渉する前提条件として、戦闘行為の停止と軍の撤退を挙げていますが、プーチン氏がこの条件を飲むとも思えず、交渉の実現の可能性は低いと見られます。
バイデン大統領は、ロシアの国営原子力企業ロスアトムへの制裁措置を検討しているようです。詳細は明らかになっていませんが、同社は世界中の発電所に核燃料や技術を提供しており、ホワイトハウスは制裁で予想される潜在的な影響について原発業界と協議をしている模様です。WHOのテドロス事務局長はジュネーブで会見し、ウクライナの複数の医療施設が攻撃され、これまでに少なくとも10人が死亡、16人が負傷したことを明らかにしています。また、ゼレンスキー大統領も、マリウポリの産科病院がロシアの空爆を受けたとツイッターで報告しています。
リスク回避の流れが続いていた金融・商品市場では昨日大きく巻き戻しが入り、相場は大きく反転しています。WTI原油価格は、アラブ首長国連邦(UAE)が「OPECプラス」諸国に対し、増産のペースを加速するよう呼び掛けたことが材料となり、一時は前日比16%安の103ドル台まで急落しました。同じように、金価格も55ドルを超える下げとなり、一気に2000ドルの大台を割り込みました。いずれも利益確定のトリガーになったようです。株式市場でも、ダウは一時800ドル程上昇し、大きく売られてきたナスダックは3.8%程上昇する場面がありました。いずれもその後上げ幅を縮小しましたが、久しぶりの3指数揃っての大幅高です。
ドル円には大きな動きは見られませんが、欧州時間に1カ月ぶりとなる115円95銭までドル高が進む場面がありました。米長期金利が1.95%台まで上昇し、ドル円をサポートする格好になっています。本日はさすがの日本株も大きく上昇すると見られますが、この流れが今夜のNY市場まで継続されれば、「リスク回避の後退」から116円台も十分あり得ると予想します。ただ、昨日の動きは「単なる一時的な反発」と思われ、ウクライナ情勢がこれで終わるとは到底思えません。今後も何度も「リスク回避」の流れが起きることは容易に想像できます。ただ、長い目で見れば、「あの時がリスク回避終焉の第一歩だった」と振り返ることになるのかもしれません。本日はウクライナとロシアによる第4回目の停戦交渉がある予定です。期待はしていませんが、わずかながらの希望は持っています。全ては「クレムリン」からの指示に従うのみなのでしょうか・・・・。
本日のドル円は115円50銭~116円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小動きの中、欧州市場で115円95銭まで買われ、NYでも底堅く推移。ユーロドルは買い戻しが入り、1.1095まで上昇。株式市場は急反発し、3指数とも大幅に上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-10 10:00