【為替本日の注目点】FOMC、0.25%利上げを決定

ドル円は大幅に続伸し119円台に乗せる。米長期金利の上昇に119円12銭までドル高が進む。ユーロドルも続伸。1.10台を回復し、1.10台半ばまで買われる。ユーロは対円でも131円台に届く。株式市場は大幅に続伸。売られ過ぎた銘柄を買う動きに加え、パウエル議長が米経済に対し楽観的な見通しを示したことが材料に。債券は続落し、長期金利は一時2.24%台まで上昇。金は4日続落。ドルが買われたことで1900ドルを割り込む場面も。原油も続落。 2月小売売上高          →  0.3% 2月輸入物価指数         →  1.4% 3月NAHB住宅市場指数     →  79 ドル/円  118.22 ~ 119.12 ユーロ/ドル 1.0950 ~ 1.1047 ユーロ/円  129.83 ~ 131.05 NYダウ +518.76  → 34,063.10ドル GOLD -20.50 → 1,909.20ドル WTI  -1.40 →  95.04ドル   米10年国債 +0.041 → 2.185% 本日の注目イベント 豪   2月雇用統計 トルコ 中銀政策金利発表 欧   ユーロ圏2月消費者信頼感(改定値) 欧   ラガルド・ECB総裁講演 英   BOE金融政策発表 英   BOE議事録 米   新規失業保険申請件数 米   2月住宅着工件数 米   2月建設許可件数 米   3月フィラデルフィア連銀景況指数 米   2月鉱工業生産 米   2月設備稼働率  今朝方発表されたFOMCでは、多くの市場関係者が「決定的」とみていた政策金利の引き上げを「0.25%」とすることを決めました。声明文では、「経済活動や雇用の指標は引き続き強さを増した。雇用はこの数カ月、力強く伸びており、失業率は大幅に低下した。インフレは高止まりし、それはパンデミックとエネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力に関連した需給の不均衡を反映している。ロシアによるウクライナ侵攻は人的・経済的に甚大な苦難を引き起こしつつある。この問題が米経済に及ぼす意味合いは極めて不確実だが、侵攻とその関連の事柄は短期的にインフレを一段と押し上げる圧力を生み、経済活動への重しとなる公算が大きい」と記されています。(ブルームバーグ)  パウエル議長は会見で「米経済は極めて好調だ。近いうちに経済が下降する兆しはほとんどない。向こう1年間のリセッションの確率は特に高くない」と述べました。政策金利の「0.25%」引き上げは賛成8、反対1で決まりましたが、反対票を投じたのは「タカ派の代表格」であるセントルイス連銀総裁のブラード氏でした。ブラード氏は「0.5%」の利上げを主張しました。「言行一致」です。  パウル議長の発言を受け、市場ではリスクオンが強まり、株価は昨日に続き3指数とも大幅高で取引を終えました。ダウはこの2日間で1118ドルの上昇となっています。安全資産の債券は売られ、長期金利は2.24%前後まで上昇。ドル円は米金利の上昇を背景に119円12銭まで買われました。それにしてもドル円の上昇スピーは極めて速いです。わずか4日間で3円以上の円安が進み、日足チャートでは「8営業日連続の陽線」を示現し、2018年3月以来の上昇となっています。特に116円66銭を上抜けしてからは上昇の勢いを一段と強めており、いわば相場のセオリー通りの動きと言えます。ここまで来ると、120円を付けるまでは「達成感」も出ないでしょう。120円という大台を前に、一次攻撃だけでは突破できない可能性がありますが、何度かテストすれば抜けるとみています。もっとも、足元の米長期金利の上昇スピードも速すぎる印象ですが、大台達成には少なくとも同金利が2%台を維持していることが必要でしょう。昨日は豪ドル円や、ユーロ円など、クロス円も軒並み上昇しており、「円の独歩安」の展開でした。この傾向がどこまで続くのかという点も、ドル円を見る上で重要です。  ウクライナのゼレンスキー大統領は米連邦議会でオンライン形式の演説を行い、ロシア軍撃退に向け一段の支援を訴えました。バイデン大統領はその数時間後、ウクライナに無人機や対空システムなど追加軍事支援を行うと約束するとともに、ロシアのプーチン氏を「戦争犯罪人」と呼んでいます。一方で、ロシアとウクライナの停戦協議では交渉が前進している兆しもあり、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ウクライナが自国の軍隊を保持する中立国になるという提案は「ある種の妥協点と見なすことができる」と述べており、一方ウクライナ側はいかなる結果になろうと、確実な安全の保証が必要だとしています。  FOMCを通過し、市場の関心はウクライナ情勢の進展と、インフレ圧力の動向に集約されそうです。上述のように、停戦交渉にやや明るさも出て来そうな状況ですが、強硬姿勢を崩していないプーチン氏がそう簡単に振り上げた刀を下すとも思えません。最悪の事態になると、第三次世界大戦にまで行きかねない今回のロシアによるウクライナ侵攻は、バイデン大統領とプーチン氏の「肝試し」(武者リサーチ)との見方もあります。「リスク回避の円買い」、「有事の円買い」がこれまでほど機能しにくくなった足元では、やはり中銀の金融政策の方向性の違いが非常に大きな要素になっています。急速に進んだ円安を考えると、明日の日銀金融政策決定会合後の黒田総裁のコメントにも耳を傾ける必要があるかもしれません。 本日のドル円は118円40銭~119円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は大幅に続伸し119円台に乗せる。米長期金利の上昇に119円12銭までドル高が進む。ユーロドルも続伸。1.10台を回復し、1.10台半ばまで買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-17 11:00