【上海IPO】RNA診断試薬・システムの上海仁度生物科技が21日に公募開始、1000万株発行予定

 上海証券取引所の科創板への上場を目指す上海仁度生物科技(688193/上海)が3月21日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1000万株を発行予定で、公募価格は72.65元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。  同社は2007年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。リアルタイム蛍光核酸定温増幅技術(SAT)の特許を活かし、生殖器官、呼吸器、B型肝炎などの分子診断試薬と設備の一体化製品の開発、生産、販売を主業務としている。また、サンプリングから結果出力まですべてのプロセスを自動化したSAT検査装置を中国国内で初めて開発した。生殖器の感染分子診断分野では中国国内で28.5%のシェアを獲得し、国内トップとなっている。  2020年3月には新型コロナウイルス検査試薬キットの開発に成功するとともに、全自動分析システムによりサンプル採取から90分で検査結果の出力を実現、現在までに200あまりの医療機関、税関、疾病コントロールセンターなどでシステムが利用されている。21年3月には世界で初めてB型肝炎の新たなRNA検査キットが中国の薬事当局から認可され、発売を開始した。  世界の分子診断市場規模は年々拡大しており、2015年の50億米ドルから19年には71億ドルまで増加した。さらに24年には122億ドルに達する見込みで、19〜24年の年平均成長率は11.3%に達すると予想されている。中国の分子診断市場も15年の31億元から19年には84億元に増え、20年には新型コロナの感染爆発により一気に226億元にまで成長したとみられる。21年は急成長の反動で175億元にまで減少するものの、伝染病やがん、遺伝病などの分野での分子診断技術需要が着実に増えており、24年には277億元にまで市場規模が拡大する予想だ。19〜24年の年平均成長率は27%と世界を大きく上回る。  これまではロシュやアボットといった外国の大手企業が分子診断を含む中国の体外診断産業を主導してきたが、最近では同社を含む中国企業が国による国産化奨励政策の支援を受けて急速に力をつけており、価格面や販売チャネルなどの強みを生かしてロー〜ミドル市場で一定の地位を確保しつつある。  同社はRNAを標的とした分子診断に特化した高い技術力、全自動分析システムの開発、試薬の原料となる酵素の自社生産による原料コスト低下といった強みを生かしてシェア拡大を目指す一方で、外国の大型企業に比べるとブランド力、資本の規模、生産能力といった点でなおも一定の差がある。有力な外資企業の参入によって中国国内の市場競争がさらに激しくなるなかで、研究開発強化による製品ラインナップの充実、販売チャネル拡大が大きな課題となっている。また、同社のSATによる診断技術は精度が高く、予防を主とする早期検査で強みを発揮するが、中国国内では伝染病の早期検査、予防主体医療の概念や意識がいまだ十分に浸透しておらず、市場の拡大が急速に進まない可能性もある。  2021年12月期の売上高は2億9230万元(前期比16.97%増)、純利益は6461万元(同5.28%増)。22年1〜3月期の業績予測は、売上高が7200万〜7800万元(前年同期比10.16〜17.08%減)、純利益が1250万〜1550万元(同20.26〜35.69%減)としており、新型コロナ関連業務の売上、新型コロナ検査試薬の単価が前年同時期よりいずれも低下したことを減収減益予測の要因に挙げている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
上海証券取引所の科創板への上場を目指す上海仁度生物科技(688193/上海)が3月21日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1000万株を発行予定で、公募価格は72.65元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-18 00:00