【為替本日の注目点】BOE3会合連続で利上げ

ドル円は小幅に反落。119円台が重くなり、NYでは利益確定の売りに押され、118円37銭まで下落。ECB高官が年内の利上げの可能性に言及したことでユーロドルは反発。1.1137まで買われ、2週間ぶりの高値に。BOEは0.25%の利上げを決定。これで3会合連続の利上げ。市場は0.5%の利上げを予想していたためポンドドルは下落。株式市場は大幅に続伸。S&P500は3日間の上昇率が2020年11月以来の大きさに。債券は小幅に反発。長期金利は2.17%台とやや低下。金と原油は反発。
新規失業保険申請件数 → 21.4万件
2月住宅着工件数 → 176.9万件
2月建設許可件数 → 185.9万件
3月フィラデルフィア連銀景況指数 → 27.4
2月鉱工業生産 → 0.5%
2月設備稼働率 → 77.6%
ドル/円 118.37 ~ 118.84
ユーロ/ドル 1.1042 ~ 1.1137
ユーロ/円 131.02 ~ 131.91
NYダウ +417.66 → 34,480.76ドル
GOLD +34.00 → 1,943.20ドル
WTI +7.94 → 102.98ドル
米10年国債 -0.014 → 2.171%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
欧 ユーロ圏1月貿易収支
米 2月中古住宅販売件数
米 2月景気先行指標総合指数
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
加 カナダ1月小売売上高
イングランド銀行(BOE)は政策金利を「0.25%」引き上げ、これで3会合連続の利上げを決めました。政策金利は「0.75%」となり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻ったことになります。BOEはまた、インフレ率は4-6月期に8%前後になるとの見通しも示しています。政策委員会は「今後数カ月に追加引き締めが適切になる可能性がある。今回の判断には上下両方のリスクがある」と説明しています。足元のインフレ上昇が止まる兆候がない一方、ロシア・ウクライナ戦争が長期化した場合のリスクを考慮したものと思います。政策金利発表後、市場は「0.5%」の利上げを予想していたため、ポンドドルは1.32近辺から一気に1.31前後まで100ポイント下げました。
ECBの政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は、「既に高水準の消費者物価指数が上振れするようならば、2022年中に2回の利上げを行う可能性も排除しない」と述べ、今後のインフレ次第では利上げに踏み切る可能性を示唆しています。この発言でユーロドルは1.1137まで上昇し、ユーロ円も131円台後半まで押し上げられています。
NYでは株価が昨日も大きく上昇し、ダウは3日間で1500ドルを超える上昇です。16日にデフォルトの可能性が高かったロシア政府のドル建て債券の利払いが実行され、デフォルトが避けられてことが好意されたようです。ロシア政府があらかじめ用意していたJPモルガンにある資金を、シティーグループに送金できたと報じられています。ロシア政府が保有するドルは現在凍結されており、SWIFTからも排除されているため、資金を動かすことができず、デフォルトの可能性が高いとみられていましたが、ロシア側が支払う意志さえあれば、既に準備してあった資金を米銀から米銀へ移動させることは可能でした。
米国株が大きく反発している背景には、ロシアとウクライナと間で停戦協議が進行していることも大きな材料になっているようです。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ロシアとウクライナは15の項目を含む停戦に向けた草案で合意したと報じています。ただウクライナ政府高官は、「この草案はロシア側のもので、われわれには独自のものがある」と述べており、両国がすぐに合意するとの見方は少ないようです。むしろ、ウクライナ側の激しい抵抗に首都キエフ制圧に手間取っていることで、プーチン氏が再び「核」に言及する可能性があると、米防衛局は分析しているようです。そのような状況の中、バイデン大統領は本日、中国の習近平主席と電話会談します。ホワイトハウスのサキ報道官は、「これは米中間の開かれた対話を維持するための継続的な努力の一環だ」と説明しています。会談時間などの詳細はまだ不明ですが、実現すれば昨年11月以来となる米中首脳電話会談ということになります。ただ中国側はこれまで、ロシアを支援することを表明しつつも、積極的な関与は避けてきた経緯もあり、今回の米中首脳会談が停戦につながる可能性はそれほど高くはないように思います。ホワイトハウスは、「両首脳は米中間の競争管理やウクライナに対するロシアの戦争など、共通の懸念事項について協議する」と説明しています。(ブルームバーグ)
ドル円は119円台での滞空時間は今のところ短く、やや利益確定のドル売りが優勢な状況です。昨日も述べてように、120円に届くとしても、一旦は「スピード調整」が見られるのではないかと予想しています。昨日のNYでは118円37銭まで下げる場面がありましたが、これは1時間足の「雲の下限」に支えられています。2時間足では「雲の上限」は117円96銭に位置しており、まずはこの前後が意識されます。またさらにドルが売られた場合には、2時間足の「雲の下限」117円12銭あたりがメドになりそうです。
本日のドル円は118円10銭~119円程度を予想します。無いとは思いますが、この週末にかけて「停戦合意」というサプライズ報道があれば、株価は一段と上昇し、買われてきたドル円は大きく売られることになろうと予想しますが、どうでしょう。
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ロシアがウクライナへの侵攻を開始して3週間が経過しました。すでに多くの人が隣国ポーランドなどへ避難しており、その数は300万人を超えています。一方で様々な事情により避難せず、国内に留まっている人も多いと聞きます。首都キエフの地下鉄網にある52の駅には、推定1万5000人以上の人々の「避難所」になっています。冷戦の真っただ中に建てられた駅は、外からの爆撃を想定して頑丈に作られており、そのほとんどが公衆トイレや飲料水などの重要インフラを備える「防空壕」の機能を合わせ持っているそうです。人々は最終電車が行った後、プラットホームやホールで眠りについていますが、当然安眠などできるはずはありません。無言で目をつむる人々の頭の中には、たった一つ、「一日も早く戦争が終わるように」という願いで一杯なのでしょう。
良い週末を・・・・・。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に反落。119円台が重くなり、NYでは利益確定の売りに押され、118円37銭まで下落。ECB高官が年内の利上げの可能性に言及したことでユーロドルは反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-18 10:15