【為替本日の注目点】NYドル円119円50銭まで続伸

ドル円は小幅ながら続伸し、119円50銭を記録。米長期金利が一段と上昇したことで、ドル買いが膨らんだ。ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、1.10台で推移。株式市場は3指数が揃って反落。ダウは6日ぶりに下げ、201ドル安。ナスダックとS&P500は5日ぶりに下落。パウエル議長が「0.5%」の利上げの可能性を排除しないことに言及したことから債券は大幅下落。長期金利は2.29%台まで上昇金はほぼ横ばい。原油は欧州が制裁によりロシア産の原油の輸入禁止を呼びかけたことで大幅高に。 ドル/円  119.12 ~ 119.50 ユーロ/ドル 1.1010 ~ 1.1052 ユーロ/円  131.42 ~ 131.75 NYダウ -201.94  → 34,552.99ドル GOLD ―0.20 → 1,929.50ドル WTI  +7.42 →  112.12ドル   米10年国債 +0.140 → 2.290% 本日の注目イベント 欧 ユーロ圏1月経常収支 米 3月リッチモンド連銀製造業景況指数 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンライン討論会に参加  昨日のNYではドル円が119円50銭まで上昇してきました。米長期金利が2.29%台まで上昇したことを考えると当然ということになりますが、筆者の「120円前後で一旦は調整がある」とする予想も、ややその可能性が低下した感はありますが、まだその予想を堅持したいと思います。米債券が大きく売られ、長期金利が上昇したことでドル高に振れましたが、そのきっかけはパウエル議長の発言でした。  議長は21日、全米企業エコノミスト協会で講演を行い、「FF金利誘導目標を1会合ないし複数の会合で0.25ポイント引き上げる、より積極的な行動が適切だとの結論に至った場合は、そうするだろう」と述べました。議長は講演後の質疑応答では、5月FOMC(5月3~4日)会合での0.5ポイント利上げを妨げる要素はあるのかとの質問に対し、「妨げるものなどあるだろうか。何もない」とした上で、「決定はなされてないが、最新のデータで正当化されれば可性はある」との認識を示し、「同僚と私は、より迅速に行動する必要があるとの結論に達する可能性が十分あり、その場合はそう行動するだろう」と続けました。議長はまた、「インフレが既に高すぎる状況で、ロシアのウクライナ侵攻が食品やエネルギー、他の商品の価格を押し上げ、インフレ圧力を悪化させている。中央銀行は通常なら、イベントが引き起こした商品価格ショックをそのまま受け止めないが、今回は必ずしも典型的なケースとは言えない」とも述べていました。(ブルームバーグ)アトランタ連銀のポスティック総裁は講演で、「2020年に6回、23年に2回の利上げを予想する」と発言し、「同僚たちに比べ私の予想が低い軌道にあることは承知だが、目の前の不確実性が高まっていることに留意し、極めて積極的な金利軌道が今や適切なのか確信が弱まった」と説明しています。ウクライナ情勢の不確実性が大きく、戦争の激化や長期化が景気を悪化させる可能性にも注意が必要との認識を示しました。米長期金利は今月に入ってすでに0.465%も急騰しており、ドル円はその金利上昇に沿った形で上昇しています。  ロシアはウクライナに対して南東部の港湾都市マウリポリでウクライナ軍が武器を捨て、降伏するよう要求しましたが、ゼレンスキー大統領はこれを拒否しています。最終通告の期限は21日早朝でしたが、ウクライナ側はこれを拒否したことで、同市への攻撃は続いています。ロシア軍の攻撃は避難場所の劇場や病院、子供の施設までも攻撃しており、国連は2月24日の侵攻から3月19日までに、ウクライナで子供75人を含む902人の民間人が死亡し、1459人が負傷したと発表しましたが、「実際の数字はさらに多い」とのコメントも付け加えていました。マウリポリはロシアとクリミアを結ぶ陸路開通を阻む最後の砦としての位置にあり、ロシアは2014年に併合したクリミアへの陸路を確保する目的で同市を掌握したいものと見られています。テレビでの映像を見ると、かなり多くの建物がロシア軍の攻撃によりにより崩壊している様子が確認されます。ゼレンスキー大統領はマウリポリへの攻撃を「数世紀にわたって伝え継がれる戦争犯罪だ」と非難しています。また同時に、ゼレンスキー氏は停戦には「プーチン氏と直接話し合あうしか方法はない」と繰り返し述べており、対話の門戸を開いています。 ドル円は早朝にもドルが買われており、119円63銭までドル高が進んでいます。本日にも120円をテストする可能性もあるかもしれませんが、投機筋はドルロングが貯まりつつあります。引き続き注意は必要です。本日のドル円は119円10銭~120円程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅ながら続伸し、119円50銭を記録。米長期金利が一段と上昇したことで、ドル買いが膨らんだ。ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、1.10台で推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-22 09:45