【上海IPO】炭素繊維メーカーの中復神鷹碳繊維が24日に公募開始、1億株を発行予定

上海証券取引所の科創板への上場を目指す、中復神鷹碳繊維(688295/上海)は3月24日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億株を発行予定で、公募価格は29.33元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
同社は2006年設立で、20年に株式会社化した。炭素繊維の研究開発、生産、販売を主業務としており、製品は優れた力学性能や化学的安定性により航空宇宙、風力発電、スポーツ・レジャー、圧力容器、複合材料、交通建設など様々な分野で広く利用されている。2020年の炭素繊維生産量は3777.21トンで中国における総生産量の20.98%を占め、業界第2位の生産量だった。また、同年における炭素繊維国内販売量は3625.28トンで市場シェアは7.43%となっている。
世界の炭素繊維需要は年々安定した伸びを見せており、2015年の7万トン弱から20年には10万6900トンにまで増えた。さらに23年には15万トン程度になることが見込まれている。炭素繊維の三大応用分野は風力発電、航空宇宙、スポーツ・レジャーである。中でも風力発電ブレード向けの需要が急成長しており、20年の需要は3万600トンで全体の29%を占めた。軽くて丈夫な炭素繊維を用いたブレードは風力発電に不可欠となっており、新エネルギー市場のさらなる拡大に伴ってこの分野の炭素繊維需要は更に高まるとみられる。
その中でも特に中国は世界の風力発電ブレードの主要な生産地となっていることで炭素繊維の需要が大きく伸びている。また、これまで輸入品がほとんどだった中国国内の炭素繊維供給について、日本や米国などの主な炭素繊維生産国による供給引き締めによって明らかな国産品への置き換えの動きが生じている。それでもなお2020年時点で輸入品62%、国産品38%となっているため、同社のような国産炭素繊維にとって中国市場は大きな伸びしろが存在する。
同社は中国国内でいち早くドライジェット湿式紡糸炭素繊維の産業化を実現、現在までに67項目の特許を取得するなど高い技術力を持っている。また、中国有数の炭素繊維生産量を持ち、2022年3月には青海省西寧市の年産1万トン高性能炭素繊維生産拠点建設プロジェクトが完成する予定であり、さらに生産力の強化、市場シェアの拡大が期待される。
一方、同社の製品は民間用炭素繊維が主体となっており、軍事用炭素繊維製品を扱う同業の上場企業に比べると利益率が低い。このため、利益率が比較的高い航空宇宙分野の市場開拓を積極的に進める方針だ。また、急速に成長する市場に対応すべく積極的に生産能力の強化を図っているものの、資金力が弱いことがネックとなっている。このほか、炭素繊維を生産する上で石油を原料とするアクリロニトリルが主要材料となり、天然ガスや電力、蒸気のエネルギーを大量に必要とすることから、石油価格の高騰が同社の経営に大きな影響を与えるリスクが存在する。
2021年12月期の売上高は11億7343万元(前期比120.44%増)、純利益は2億7872万元(同227.02%増)。22年1〜3月期の業績予測は、売上高が4億〜4億5000万元(前年同期比186.37〜222.16%増)、純利益が8000万〜9000万元(同106.93〜132.8%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
上海証券取引所の科創板への上場を目指す、中復神鷹碳繊維(688295/上海)は3月24日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億株を発行予定で、公募価格は29.33元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-22 23:30