AIがマーケットを分析し大胆にポートフォリオを変更、業界最低水準の手数料を実現した「SBIラップ」の魅力

 SBI証券は3月31日に、AI(人工知能)を使った投資一任サービス「SBIラップ」のサービスを開始する。1万円以上1000円単位で、世界の株式や債券、不動産やゴールド(金)に分散投資し、その時々の経済環境に応じて自動的に最適な資産配分に変更するファンドラップサービスだ。同サービスと同じアルゴリズムを使った運用サービスのパフォーマンスが優れているのみならず、運用に関する手数料率は業界最低水準を実現した。「SBIラップ」の投資一任業務を担うFOLIO代表取締役CEOの甲斐真一郎氏(写真:左)に、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也(写真:右)がサービスの特徴について聞いた。 ◆ 乱立するファンドラップサービスに一石を投じる 朝倉:FOLIOは2015年に設立された比較的新しい会社ですが、この会社を創業された経緯について教えてください。 甲斐:両親が証券会社に勤務していて幼少の頃から証券市場に親しい家庭環境で育ってきました。そして、ゴールドマン・サックス証券に入社し、10年ほどトレーダーとして仕事をしたこともあって、資産運用の重要性や運用の難しさを身をもって経験しました。  一方、創業した2015年当時は、ロボ・アドバイザーが登場し、また、暗号資産の取引所がいくつもできるなど、テクノロジーの力が金融を変えるという期待感が非常に高まった時期でした。そのような時代にあって、より便利で簡単、そして、効率的な資産運用をテクノロジーを使うことで実現できるのではないかと考え、当社を設立しました。 朝倉:SBI証券と協業して「SBIラップ」を始めるということですが、投資一任型のファンドラップは様々な会社が提供し、サービスが乱立している状況です。SBI証券でも外部機関と連携したサービスを提供してきています。その中で、新しいサービスを立ち上げた理由は? 甲斐:今回、SBI証券の口座を用いて投資一任サービスが利用できるようになるのですが、それは、私どもが提供するファンドラップの基盤システムによって実現しています。このシステム基盤「4RAP(フォーラップ)」は、2つの特徴があります。1つは、SaaS型でシステムコストを抑えたことです。もう1つは、「バーチャル口座機能」によって、目的に合わせて複数のファンドラップ商品を同時に並行して購入できることです。  「4RAP」を使うことで、お客さまは、新たに口座を開設する必要なく、すでにお使いいただいているSBI証券の口座を使ってラップ口座サービスを利用することができます。そして、いろんなニーズに対応した様々な商品を追加的に購入することもできます。かつ、システムコストが安いので、リーズナブルな費用で運用が可能です。  お客さま第一主義を掲げるネット証券大手のSBI証券様には、多様なニーズをお持ちのお客さまがいらっしゃると思います。私たちはお客さまにできる限りリーズナブルな価格で運用商品を提供したいと考えています。SBI証券の口座でファンドラップができることによって、日本の資産運用がしっかりと広がっていく状況を作れればと考えています。そこが、大きな意義になると考えています。 朝倉:SBI証券は、この2年間で口座数も飛躍的に伸ばしています。その点では、お客さまが多様化してきていますので、お客さま1人1人に適したものを提供していくニーズも高まっていると思います。SBI証券では投資信託も2,700本近くの商品を提供して、どれを選べば良いかわからないと感じるお客様もいらっしゃるようです。変化する相場環境において、その時々の状況に適していると考えられるポートフォリオを提供するサービスは、これまでお客さまが欲しいと思ってきたサービスの1つだと思います。  そして、いろんな証券会社や銀行の金融システムもみてきましたが、やはりシステムの運営コストが高いということは気になっていました。システムコストが高いために、そのコストをお客さまに転嫁してしまうところがあります。そこを解消されたというのは、非常に期待感があります。 ◆ AIが40種類以上のマーケットデータを分析して将来を予測 朝倉:具体的に「SBIラップ」の商品性について教えてください。 甲斐:「SBIラップ」は、AIを活用しています。AI(機械学習)を使って40種類以上のマーケットデータを学習して相場を予測します。相場を先読みしたデータから、最適な資産配分を計算し、そのポートフォリオによってリスクコントロールをしていきます。たとえば、「相場が荒れそうだ」と判断された場合、債券や金(ゴールド)の保有比率を上げます。逆に、「相場が上がりそうだ」という時には株式の割合を上げていくなど、かなりダイナミックにポートフォリオを変えていくことが特徴になっています。  この機械学習の仕組みは、AlpacaJapan社と共同で開発した機械学習のアルゴリズムを土台としています。そのアルゴリズムを使って当社が2020年1月に提供を開始した「FOLIO ROBO PRO(ロボプロ)」というサービスは、好実績を残しています。まず、サービスをリリースした直後の2020年1月~3月は、コロナショックでかなり相場が荒れた局面でしたが、相場の下落を察知して2月に債券の割合を増やしています。それによって相場下落のダメージを比較的抑えることができました。2020年7月には相場の上昇局面となり、株式の割合を67%程度に引き上げました。そして、2022年1月に米国株式が利上げの影響でかなり下落しましたが、その時には米国株式の投資比率を減らしていました。SBIラップにおいても、このように大胆に資産配分を変更することによって通常のバランスファンドよりも優れた運用成績を目指しています。  また、運用手数料率は、既存のロボ・アドバイザーの中で最低水準である税込み0.66%で提供します。別途、間接費用として投資するファンドの運用コストが必要になりますが、それを含めてもかなり低い水準でご提供いたします。そして、積み立て機能もありますので、長期に続けやすい金融商品になっていると思います。 朝倉:評価会社としていろんなファンドラップ商品を見てきましたが、対面サービスではかなり高いコストがかかっています。オンラインでも運用手数料が1%を超えているのが一般的です。それをぐっと引き下げていただけるのはありがたいです。  マーケットの状況に応じてアロケーションを変えていくというのは、なかなか個人ではできないことです。2022年は年初から金利引き上げ、インフレの中で、米国のNASDAQや東証マザーズは株価が暴落しました。そこで米国株への投資比率を減らすという判断は、ファンドマネージャーでもなかなかできないことだと思います。さらに、コロナによってニューノーマル(新常態)になっていますから、今までのアセットアロケーションの考え方が通じにくくなっています。そこをAIがサポートしてくれるのはありがたいサービスだと思います。  AlpacaJapan社も私どもで分析しましたが、大変優れた運用力のある会社であると評価しました。最後に、投資家の方々にメッセージをお願いします。 甲斐:もともと投資一任サービスは、富裕層向けに作られた運用手数料の高い、最低投資金額も非常に高いサービスでした。それを運用手数料の部分をかなり引下げ、少額から積み立てでできる仕組みにしました。ポイント還元の仕組みをご用意し、お得にご利用いただけるようにもして、より多くの方々に利用していただきたいと思っています。この投資一任サービスで日本の資産形成を盛り上げていきます。 朝倉:このサービスを利用する人が増えれば、日本の貯蓄から投資への資産形成が広がると思います。期待しています。 (情報提供:モーニングスター社)
SBI証券は3月31日に、AI(人工知能)を使った投資一任サービス「SBIラップ」のサービスを開始する。「SBIラップ」の投資一任業務を担うFOLIO代表取締役CEOの甲斐真一郎氏(写真:左)に、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也(写真:右)がサービスの特徴について聞いた。
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2022-03-30 12:45