【中国IPO事情】香港でSPAC(特別買収目的会社)が初の上場、米国上場企業の重複上場など多様化進む

 中国市場における3月のIPOは、2月と比較するとやや盛り返し、好調だった1月と同等の新規上場銘柄数になった。3月は、ロシアによるウクライナ侵攻が継続し、中旬には米FRBが利上げを実施。世界的なインフレ懸念の高まりから、世界の株式市場は不安定な1カ月になった。その中で、中国では新型コロナウイルスのまん延によって、3月14日~20日まで深センがロックダウン(都市封鎖)を実施。上海も3月28日からロックダウンに入った。株式市場の取引は継続しているものの、今後の経済に不透明感を強める結果になった。上場銘柄数は香港を含む4市場で43銘柄と、1月の35銘柄を上回った。ただ、初値の公開価格からの騰落率は1月の38.99%に対し、18.94%になり、2月の29.59%をも下回った。特に、香港市場での低迷が大きい。3月の各市場のIPO状況を振り返ってみたい。  上海市場では、メインボードに4銘柄、新興企業向けの科創板に13銘柄の上場があった。2月には科創板に3銘柄しか上場しなかったことと比較すると、3月の上場銘柄数は1月の10銘柄を超えて多くなった。また、上海の初値騰落率は、概ね好調で、メインボードの初値騰落率は平均で19.99%、科創板では10.97%と2ケタの上昇率を維持している。  深セン市場では、メインボードに1銘柄、新興企業向け市場である創業板に16銘柄の新規上場があった。創業板の上場銘柄数は1月を超えて多くなったが、初値の騰落率は2月の実績をやや下回る水準になった。それでも初値騰落率は、メンボードで20.00%、創業板で52.62%と他の3市場を大きく上回るパフォーマンスになっている。  中小企業向けの市場として注目を集める北京市場には、3銘柄が新規上場した。初値の騰落率は平均10.00%となり、2月の21.15%を下回り、やや低調だった。  海外投資家向けの市場として窓口の役割が期待される香港市場でのIPOは、新規上場が6銘柄と今年に入って最も多い銘柄を上場させたが、初値の平均騰落率は0.05%にまで低下してきており、低調だった。ただ、香港市場で初となるSPAC(特別買収目的会社)とSPACのワラントが新規上場するなど、新しい投資商品が登場している。SPACは機関投資家限定で売買される対象であり、市場全体が不透明な環境になる中で、ほとんど売買が成立しない不活発な取引が続いている。今後、第2、第3のSPACの上場が計画されており、今後、市場が形成されるものなのか注目される。  また、ニューヨーク証取(NYSE)に上場しているEVメーカーの「NIO(蔚來)」(09866/香港)が公募を伴わない紹介上場で香港で取引が開始された。上海に上場している華新水泥(600801/上海、06655/香港))や、中国海螺創業(00586/香港)から子会社がスピンオフして海螺環保(00587/香港)が上場するなど、新たな資金調達を伴わない上場が3件あった。(図版は、中国4市場のIPO実施状況)
中国市場における3月のIPOは、2月と比較するとやや盛り返し、好調だった1月と同等の新規上場銘柄数になった。(図版は、中国4市場のIPO実施状況)
china,company,ipo,economic,sh,sz,bj,hk
2022-04-07 19:00