年4%の収益をめざすマルチアセット運用、「シュローダーYENターゲット」を支える世界水準の枠組みとは?

 シュローダー・インベストメント・マネジメントが設定・運用する「シュローダーYENターゲット(1年決算型)」は、2021年のシャープレシオが2.41と、類似ファンド分類平均を0.59上回った。また、トータルリターンも4.04%と類似ファンド分類平均を0.20%上回るとともに、月次リターンも12カ月中10カ月でプラスと安定した実績を残した。ファンド オブ ザ イヤー2021の「バランス型」部門で優秀ファンド賞を受賞したが、19年、20年にも優秀ファンド賞を受賞しており、3年連続で優れた運用成績を残している。同社のプロダクトマネジメント部 プロダクトマネジャーの細川敬一朗氏に、同ファンドの運用の特徴について聞いた。  ――ファンドの特徴は?  リターンの高さも大切なポイントですが、シャープレシオが高い、つまり、非常に運用の効率性が高いことが特徴になります。  同じリターンを上げるにしても、毎月のように10%も上下するようなリスクの高い、持っていてハラハラするようなファンドではなく、リスクが抑えられて、保有していて安定感、安心感があるような運用を目指して運用チームは日々運用を行っています。  ――2021年の運用を振り返ってください。  2021年は、世界の株式市場は新興国株式に下押し圧力がかかりましたが、先進国株式を中心に上昇する展開となりました。その中で、年後半にかけて徐々に景気が回復局面から拡大局面に移行した結果、金融引き締め観測、インフレへの警戒感が高まるなど、経済市場環境の局面が一つ進み、金利が上昇局面に入ってきました。  こうした市場環境において当ファンドは、株式の保有比率を高めて、株価上昇による収益の獲得を目指す運用を積極的に行うと同時に、ポートフォリオのデュレーションと呼ばれる「金利感応度」を短期に維持することで金利上昇によるマイナスの影響を抑えるように努力しました。  年後半には物価が上昇する、いわゆる、インフレが懸念される環境の中で、コモディティの新規組み入れ、インフレ時に強みを発揮する不動産の配分比率を増やすなど、インフレ環境に変わりゆく市場環境に適切に対応し、運用の効率性が高い実績を上げたと考えています。  ――日本円で年率4%程度の収益を確保するために、どのようなことを行っていますか?  日本円で収益目標を持つというと、日本株や日本の国債だけで運用すると思われるかもしれませんが、当ファンドはそうではありません。世界の株式や債券、そして、通貨、コモディティ、不動産など様々な資産に分散投資をしています。  そして、日本円で年率4%程度の収益を目指せるように、必要に応じて機動的に円に為替ヘッジをして運用を行っています。日本の資産だけに限らないグローバルな投資対象資産から魅力的な資産に分散投資を行うからこそ、こういった運用収益が目指せると考えています。  また、年率4%程度の収益目標を達成すると同時に、当ファンドは、その運用効率の高さも追求しています。すなわち、基準価額の下落を抑えることも重要なポイントとなります。当ファンドは、収益の獲得とともに3段階のリスク管理を行うなど、下落リスクの管理を徹底しています。こうした運用を可能にするのは、幅広い資産の分析力を有する世界規模の運用チームを持つシュローダーならではの運用能力ではないかと考えています。  ――資産配分は、どのような判断に基づいて決定しているのですか?  当ファンドは、もちろん定量的なモデルも運用に活用していますが、変わりゆく経済・市場環境の中で、環境の変化を読み解いて、その時々に合った投資判断を行うにあたって、人による投資判断を大切にしています。  統計などに基づく機械的な投資判断である定量モデルは、一見わかりやすく、時に間違えやすい人の判断と比べて、よりしっかりして私情に流されない投資判断ができるというイメージがあります。もちろん、本当に正しいという場合もあります。従って当ファンドでも運用の一部に定量的なモデルを活用しています。しかし、同時に経済環境や市場環境は、生き物に例えられるほど、毎回ルール通りに規則正しく動くわけでもないのです。  株価が上がる背景には何千もの要因があり、毎回その要因は変わっていきます。また、株価が上がる時に金利がどう動くかというのも、そのときの経済環境や市場環境、社会環境によって様々です。また、「市場ショック」も毎回その影響がどの程度、どの資産に現れるかというものも変わっています。定量モデルが、そういった変化を全て網羅できるとは考えていません。こうしたことから当ファンドでは、定量モデルの力も借りつつ、最終的には人による投資判断を大切にして運用しています。  ただ、人も完璧ではありません。そのために、シュローダーのマルチアセット運用においては、様々な経歴を持った人材を世界中から集めて、総勢100名超という業界でも最大規模の運用チームを組織して、しっかりとした運用プロセスを守りながら当ファンドの運用にあたっています。  ――ファンドマネジャーを支える運用チームの特徴は?  シュローダーのマルチアセット運用は長い経験と幅広い金融知識を網羅する世界規模の運用チームによって行われます。シュローダーグループは、1947年にマルチアセット運用を開始し、現在75年にわたる経験を有しています。  その間、市場環境が発展し、規制環境が変化、様々な技術の発展などがあり、それらを常に取り込みながら運用を進化させてきました。運用の本拠地はロンドンにあり、世界8都市に運用拠点を配置しています。  マルチアセットの運用資産総額は約23兆円(2021年6月末現在)と業界有数の規模になります。「シュローダーYENターゲット」は、香港拠点で運用しています。ファンドマネジャーの近藤敬子は香港拠点のリーダーですが、運用にあたっては香港拠点に限らず、グローバルにまたがる総勢100名超のマルチアセット運用チームによって支えられています。  ――投資家の方々へのメッセージは?  「将来のために投資を考えたいのだけど何を勉強したらいいのかわからない」、「株や国債以外にも様々な資産があるが、自分ではどれを選んでいいのかわからないし、買う時や売る時のタイミングも良くわからない」、「投資を始めてみたいが大きく損をするようなファンドは嫌だ」、「投資を考えているのだけど、投資には漠然とした不安がある」――このようなお気持ちの方々に、まずは投資していただきたいファンドです。  当ファンドに投資をすることによって、ご自身で一つ一つの資産を調べて投資を行ったり、投資をした後にも常に市場環境を見続けて売り時のタイミングに悩んだりすることに時間を割く必要はありません。当ファンドに投資をすることで、その時間を別のことに充てることができて、安定的に資産形成をすることが期待できると考えています。  また、現在世界では物価が上昇し、お金の価値が下落をするというインフレに直面しています。インフレに負けないためには、今よりも多くのお金を得る必要が出てきます。預貯金のままでは現在買えるものが将来買えなくなってしまうということも想定されます。当ファンドよりも長い13年超の運用実績を持つ、当ファンドと同じ運用チームが運用する類似ファンドは、13年間で資産が約1.9倍になった実績もあります。 (類似ファンドは、Schroder International Selection Fund ― Japan DGF I share class(ルクセンブルグ籍)、2008年12月1日に運用を開始。2021年12月末までの円ベース(運用報酬控除前)のトータルリターンが約1.9倍)  当ファンドに投資をすることで、インフレに負けない運用を目指すということにも活用できるファンドなのではないかと考えています。(グラフは、「シュローダーYENターゲット(1年決算型)」のパフォーマンス推移)(情報提供:モーニングスター社)
シュローダー・インベストメント・マネジメントが設定・運用する「シュローダーYENターゲット(1年決算型)」は、2021年のシャープレシオが2.41と、類似ファンド分類平均を0.59上回った。(グラフは、「シュローダーYENターゲット(1年決算型)」のパフォーマンス推移)
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2022-04-08 11:15