6カ月間でTOPIXを常時上回るフリースタイル運用、「自由演技」が5年連続5ツ星を獲得できる理由とは?

アセットマネジメントOneが設定・運用する「One国内株オープン(愛称:自由演技)」は、2021年のトータルリターンが17.49%となり、ベンチマーク(東証株価指数=TOPIX)を7.10%、類似ファンド分類(国内大型ブレンド)平均を3.07%いずれも上回った。四半期ごとのトータルリターンは、4四半期の全てで類似ファンド分類平均及びベンチマークを上回った。また、カテゴリー内での相対的な運用成績の優劣を示すモーニングスターレーティングは、直近60カ月の全てで最高位の5ツ星を獲得している。ファンド オブ ザ イヤー2021の「国内株式型」部門で優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用を担当する株式運用グループ ファンドマネジャーの酒井義隆氏に、同ファンドの運用のポイントを聞いた。
――ファンドの特徴は?
相場局面に応じて様々な運用スタイルを適宜とり、適宜変えながら運用しています。
例えば、市場の環境によって大型株に寄せたり、中小型株に寄せたり、割安株に寄せたり、もしくは、成長株に寄せたり、また、すごく集中投資をするような局面もあれば、幅広い銘柄に分散投資をするようなこともあって、それぞれその局面に応じてどのような運用を行うのが一番いいのかということを常に考えながら運用しています。そうすることによって、安定的なリターンを提供できる運用を目指しているファンドになります。
――2021年の運用のポイントは?
2020年度は、コロナ禍において、すごく成長株の株価上昇が際立ったようなマーケット展開でしたが、2021年度は割安株が相対的には底堅い展開になりました。成長株の代表的な指数である東証マザーズは、2020年10月をピークに下落しているという状況でした。
このような状況の中で、特に、1月から3月にバリュー株の上昇が顕著だった時期において、通常であると当ファンドは小型成長株を多めに保有しているのですが、2020年の相場の展開を見ながら、少し小型成長株のリターンが行き過ぎていると思ったため、小型成長株のポートフォリオに占めるウエイトを少しずつ減らしていました。2020年6月、10月、12月など、段階的に早い段階から減らしてきたのですが、その減らしてきた効果が、2021年1月から3月にかけてバリューが上昇する時に、反対にいうと、グロースが下落する時に、ファンドの基準価額が底堅く推移した背景になっています。
そして、4月から12月には、保有している小型成長株の一部の銘柄が大きく上昇しました。また、電気機器セクターをオーバーウエイトにしていたことも奏功しました。個別銘柄では、『エムアップ』や『オープンドア』などの成長株の株価上昇が顕著だったことが、相対的に当ファンドのリターンを押し上げたと考えています。
――当ファンドは5年間連続で5ツ星を継続するなど、中長期で高い運用実績を残しています。これができる理由は?
一つには、投資哲学がしっかりしているということ、もう一つは、運用スタイルがフレキシブルだということに尽きると考えております。
投資哲学に関しては、ファンドの6カ月ローリングリターンでTOPIXを常に上回ることをすごく意識して運用しています。これを達成するために自分たちの持っている運用技術のすべてを注ぎ込むという思いで運用しています。
二つ目の運用スタイルがフレキシブルだという点は、多くの投資信託は「成長株に投資します」、「割安株に投資します」、「配当が高い会社に投資します」というような形で、投資戦略が一定程度決まっているのですが、そういうファンドの場合、追い風が吹くとすごくリターンが出ますけれども、逆風になると結構リターンが傷んでしまうということがあります。フレキシブルな運用スタイルであれば、特定の分野に風が吹けば、その風が当ファンドにとって都合よくなるような運用スタイルを選択できますし、逆に、強い向かい風が吹いてきた時には、その悪影響をなるべく防ぐような運用スタイルをとることができます。
投資哲学をしっかりと持ちながら、マーケットを見て、そのマーケットに合わせた運用スタイルを適宜取っていくといったことを強く意識していることが、中長期的なリターンにつながっていると考えています。
――酒井さんの経験と運用チームの特徴を教えてください。
私は2005年の12月から国内株式の運用に携わってきています。そして、最初の8年間は数理モデルを使ったアクティブ運用、すなわち、「クオンツ・アクティブ」の運用業務に携わっていました。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という公的年金の運用ですとか、海外ソブリン・ウエルス・ファンドなどの運用に携わりました。そして、直近8年間は、完全なジャッジメンタルの運用チームに移動し、当ファンドの運用も開始しました。
多くのファンドマネージャは、基本的には「ロング・オンリー」といわれる投資スタイルで運用します。投資をしたらそれを持ち続け、買い持ちをしてリターンを得るというようなファンドの運用経験がメインです。私はどちらかというとそうではなくて、マーケットが上昇しようと下落しようとも、安定的な絶対リターンを目指すといったようなヘッジファンドやロング&ショート運用の経験が長くあります。それはクオンツ運用をやっていた時期から継続して行っています。多くの方がロング・オンリーのジャッジメント運用に集中している経験値に対して、私自身はジャッジメンタルとクオンツ・アクティブ、そして、ロング・オンリーとロング&ショート、そして、その間にあるようなスマートベータと言われるようなファンドの運用経験もあります。
こういった様々な運用経験のもとでマーケットを見ながら、そのマーケットの中で「ちょっと変だな」と思うようなことがあれば、それが元に戻る過程でリターンが得られるようにポートフォリオ調整をしていくというような運用に、これまでの経験が活きていると感じています。
なお、私達の運用チームを支えるアナリストチームは、リサーチアナリストが23名おります。そして、セクターアリストが17名、ESGアナリストも4名おり、充実したラインナップを誇っています。こういった方々と日々ディスカッションをしながら、投資アイディアをいただき、または、議論をする中で投資アイディアをより深めていくような過程を通して、ファンドのリターンにつなげる努力を、リサーチチームと一緒に行っています。
――投資家の方々へのメッセージをお願いします。
「自由演技」は、短期投資を志向される皆様、そして、長期投資を志向される皆様、そして、販売会社の皆様にとって良い運用サービスを安定的に提供することをめざしています。このような運用サービスを提供するために、私自身の持っている運用技術を全て注ぎ込んだ運用をしております。
投資家の皆様も、「自由演技」をご自身の運用スタイルに合わせてうまく活用していただいて、資産形成に役立てていただければ幸いです。(グラフは、「自由演技」の過去10年間のパフォーマンス推移)(情報提供:モーニングスター社)
アセットマネジメントOneが設定・運用する「One国内株オープン(愛称:自由演技)」は、2021年のトータルリターンが17.49%となり、ベンチマーク(東証株価指数=TOPIX)を7.10%上回った。(グラフは、「自由演技」の過去10年間のパフォーマンス推移)
economic,company
2022-04-12 12:30