【為替本日の注目点】米3月CPIは8.5%

ドル円は東京時間夕方には125円76銭近辺まで上昇したが、米3月CPI発表後は急落。コアCPIが予想を下回っていたことから124円76銭までドルが売られたが、その後は125円台を回復。ユーロドルは続落し1.0821まで売られる。株式市場は朝方大幅に上昇して始まったが、FRBの利上げスタンスは変わらないとの見方から3指数が揃って続落。債券は8日ぶりに反発。CPI発表後2.83%前後まで長期金利は上昇したが、その後買いが入り、2.72%台とやや低下する。金は大幅に続伸。原油もロシアの停戦の可能性が低下したことで大きく上昇し、100ドルの大台を回復。
3月消費者物価指数 → 1.2%
3月財政収支 → -1927b
ドル/円 124.76 ~ 125.60
ユーロ/ドル 1.0821 ~ 1.0904
ユーロ/円 135.53 ~ 136.47
NYダウ -87.72 → 34,220.36ドル
GOLD +27.90 → 1,976.10ドル
WTI +6.31 → 100.60ドル
米10年国債 -0.059 → 2.721%
【本日の注目イベント】
豪 4月ウエストパック消費者信頼感指数
中 3月貿易統計
欧 ユーロ圏2月鉱工業生産
英 3月消費者物価指数
英 3月生産者物価指数
米 3月生産者物価指数
米 企業決算 → JPモルガン、ブラックロック
加 中銀政策金利発表
注目された3月米CPIは前年同月比で「8.5%」と、2月の「7.9%」を上回り、市場予想も若干上回っていました。発表直後ドルが上昇する場面もありましたが、食品とエネルギーを除くコアCPIは、前月比、前年同月比とも市場予想を下回っていたため、ドル円は急速に値を下げ、一時125円を割り込み、124円76銭まで売られました。ただ、インフレは依然として高水準で、今後もFRBによる積極的な利上げスタンスは変わらないとの見方は支配的です。CPIに対する市場の見方がタカ派寄りであったことで、コアCPIが予想に届いていなかったことを受けドル売りが加速する場面も見られましたが、その後に行われたブレイナードFRB理事の発言が大きく影響しました。
ブレイナードFRB理事はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のオンラインインタビューで、「われわれは整然とした金融政策引き締めによりそれを行っている。一連の利上げ実施と、バランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)開始を通じるものだ」述べ、その上で、バランスシートに関する決定は「5月にも下され、6月にバランスシート縮小が開始される可能性がある」と続けました。また、利上げを具体的にどのようなペースで進めるのが適切かについては「あまりそのことに重点を置きたくない」とした上で、利上げとバランスシート縮小の「複合的な効果により、年内には速やかに政策スタンスがより中立的なものになる」とし、経済成長を促進も抑制もしない中立金利に言及しました。(ブルームバーグ)今回の発言はこれまでよりも一歩踏み込んだもので、「5月にも下され、6月にバランスシート縮小が開始される可能性がある」と、具体的な時期にも触れた点が注目されます。ブレイナード理事はハト派と見られ、これまでは利上げには慎重な姿勢を維持してきましたが、伸び続けるインフレに危機感を強めてきた印象です。ブレイナード理事は、常にFOMCでの投票権を有しているだけでなく、議会の承認を経て近くFRB副議長に就任する予定だけに、同氏の発言には影響力もありそうです。この発言を受け、プラス圏で推移していたNY株式市場は、金利上昇を嫌気しマイナスに転じ、ドル円は124円台後半から125円台前半まで押し上げられています。
ウクライナ南東部のマリウポリでは激戦が続いており、同市長はAP通信とのインタビューで、1万人余りの民間人が死亡し、死者数は2万人を超える可能性があると語っています。さらに昨日は同市でロシア軍が毒物を使用したのではないかとの情報もありました。ウクライナ軍のアゾフ大隊が、一部市民や兵士が苦しんでいる様子を撮影した動画を投稿しました。動画では、顔面紅潮や胸やけ、粘膜炎症、目の乾燥などの症状に見舞われている様子が映し出されているとのことです。これは人体に深刻な被害を及ぼすリン爆弾が要因の可能性があるとしていますが、この件に関して米英は、まだ未確認だと発表しました。プーチン氏はこの件に関してウクライナ側の「フェイク」だと、ロシア極東にある宇宙基地をベラルーシのルカシェンコ氏と訪れた際に否定しています。プーチン氏はここで、ウクライナに対する強硬姿勢を変えず、「ロシアの様な大国を孤立させることはできない」と、ウクライナへの攻撃を継続する意志を表明しています。ロシアとの交渉チームのメンバーであるウクライナのポドリャク大統領府顧問は、交渉は「極めて難しい」と述べています。
米国では引き続き高いインフレが進行していることが確認されましたが、今後FRBがどの様なスタンスで利上げを進めていくのかが焦点になります。ロシアによる「ウクライナへ仕掛けた戦争」という、予測が困難で極めて不確実性の高い状況が続く中、ブレイナード理事の発言にもあったように、FRBはインフレ阻止に全力を尽くす構えです。WTI原油価格も再び100ドル台を回復しており、そう簡単にインフレが鈍化するとも思えません。ドル円はまだ買われ易い地合いが続くと見ていますが、一方で昨日もドルが買われた際、2015年6月に記録した「125円86銭が抜け切れなかった事実」もあります。ドルロングが有利かとは思いますが、ここは慎重に見極める必要がありそうです。上記水準が明確に抜け切れるかも大きなポイントでしょう。
本日のドル円は124円90銭~126円程度とみます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間夕方には125円76銭近辺まで上昇したが、米3月CPI発表後は急落。コアCPIが予想を下回っていたことから124円76銭までドルが売られたが、その後は125円台を回復。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-04-13 10:00