マイナス金利でもプラス収益を重ねる「明治安田 日本債券オープン」、小さなチャンスも見逃さない運用とは?

明治安田アセットマネジメントが設定・運用する「明治安田 日本債券オープン(毎月決算型)『愛称:しあわせ宣言(毎月決算型)』」は、2021年のトータルリターンが1.34%となり、類似ファンド分類(国内債券・中長期債)平均を1.29%上回った。類似ファンド分類内に属する7割弱のファンドのトータルリターンがマイナスとなる中でプラスリターンを獲得した。また、過去10年間のシャープレシオは1.04(2021年12月末時点)で、類似ファンド分類内ではトップの成績となり、中長期の運用でも優れている。ファンド オブ ザ イヤー2021「債券型」部門で優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用の特徴について同社リテール営業第一部 部長の大嶋健俊氏に聞いた。
――ファンドの特徴は?
特徴は3点あると考えています。一つ目は、投資対象として国債よりも利回りが高い社債を積極的に活用しつつも、ポートフォリオの信用リスクの低減を図るため、原則として取得時に格付け会社によるA格相当以上に格付けされた円建て公社債で運用を行っています。なお、ヘッジ付き外債への投資は行っていません。
二つ目は、銘柄選択においてクオリティ重視の調査分析に基づき、リスクをコントロールしたアクティブ運用を行っています。
三つ目は、特定個人の能力に頼る運用を行わず、チームアプローチにより、運用の継続性が維持される体制を構築しています。
この三つの特徴から、日銀がマイナス金利政策を導入した後も、当ファンドではベンチマーク対比での超過収益を積み上げることができています。
――ファンド オブ ザ イヤーを受賞できた要因は?
長期間にわたり安定した良好な実績をご評価いただいたと考えます。パフォーマンスを振り返ると、マイナス金利の国債より好利回りの事業債を多く組み入れることで、低金利環境下でも利息収益の上積みを図ることができました。
日銀が10年国債利回りをプラスマイナス0.25%程度に抑制する「イールドカーブコントロール」を行っていることにより、マーケットの幅が縮小していますが、その中でも、積極的にキャピタルゲインの獲得を狙い、細かなマーケットの変動を捉えるポジション構築を行うことで収益を積み上げました。これら不断の努力により、2021年の1年間のシャープレシオは1.14と、優れた運用の効率性がご確認いただけます。
また、過去10年間のシャープレシオは1.04と、類似ファンド分類41本中で第1位になりました。3年間のトータルリターンでは60カ月の全てでプラスであったことなど、過去1年および長期の実績をご評価いただいたと考えております。
――安定した運用を実現する当ファンドの運用戦略とは?
短期的な市場混乱などを回避できない局面もありますが、国内債券市場は投資する側、発行する側の動機やタイミングが必ずしも一致せず、また、取引も相対であることから、非効率性が多数存在することもあり、アクティブ運用に向いている資産と考えます。
運用は、野村BPI総合をベンチマークとし、これを上回る投資成果を目指すことにより、信託財産の成長を図ります。ファンダメンタルズ分析をベースとした市場予測に基づき、マーケットの動向やリスク分散などを勘案してポートフォリオの見直しを随時行っております。
超過収益の源泉として、「金利戦略」と「クレジット戦略」を実施していますが、実際の運用においては、市場環境やリスク要因が常に変化することから、市場環境に応じて柔軟に戦略のウエイトを変化させています。
また、弊社では戦略ごとに投資期間を分割し、超過収益の分散と拡大を図っています。具体的には、マーケットの動向やリスク分散などを勘案しながら、多様なトレード案を策定し、ポートフォリオ運用を行っています。
加えて、市場に存在する収益の源泉を数多く探すために、マーケットを動かす投資テーマを、中長期間、短期間と期間別に整理し、その一つ一つについて、データ分析を基本としたリサーチを行っております。
なお、投資期間のイメージですが、金融政策、財政政策などに注目する約1カ月から6カ月間程度の期間を中長期とし、投資家動向、マーケットイベントなどに注目する1日から1カ月以内の期間を短期とし、積極的に投資機会の拡大に努めております。
また、リサーチの手法や、得られた知見は、チーム内でのディスカッションを通じて共有され、チームとしての継続的な運用力の向上と、データ分析のための実用的なツールの開発を行っております。
2016年にマイナス金利政策が導入されて以降、国内債券市場の値動きの幅はより細かい動きとなっております。従って、収益積み上げのためには、投資期間を分割し、わずかな収益機会も取りこぼさないよう、数多くトレードを行う必要があります。
足元では短期的なトレードの比率が増えており、当ファンドの売買回転率は年間で約600%という状況です。
――債券運用に実績のある運用体制の特徴は?
国内債券市場の投資家動向、需給動向などの情報を幅広く取得できる優れたチーム体制を築いております。運用チームメンバーは、現在ポートフォリオマネージャー7名とアナリスト6名の計13名でチームが構成されております。ポートフォリオマネージャーの経験年数別内訳は、20年超のメンバーが2名、20年弱のメンバーが2名、10年前後のメンバーが3名と、年代別にバランスの取れた構成としております。
また、6名のアナリストですが、同じ発行体を長期間見続けることによる情報の蓄積が重要と考えておりますので、メンバーの経験年数は平均約23年と経験豊富なメンバーによる構成としております。
――投資家へのメッセージは?
資産運用は長期投資でと言われますが、弊社運用担当者の弁を借りますと、お客様の大切なご資金をお預かりする立場としては、長期の期間をのんびり運用するという意味ではなく、毎日の収益機会も漏らさず取り切る運用を長期間続けることだと考えています。言い換えると、短距離走のように全力疾走をしながら、マラソンコースのような長期間を走り切るというような、瞬発力も持久力も求められ、それを実践していく覚悟が大切だと考えています。
また、国内債券は他資産との相関が低いため、他資産との組み合わせを行うことで、リスクを低減し、リターン効率の改善を図ることができるという点でも重要な資産クラスで、分散投資を行う上で中核となりうる資産と考えます。
今後につきましても、さらに良い運用をご提供できるようにこれからも全力疾走してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。(グラフは、「明治安田 日本債券オープン」の過去10年間のパフォーマンス推移)(情報提供:モーニングスター社)
明治安田アセットマネジメントが設定・運用する「明治安田 日本債券オープン(毎月決算型)」は、2021年のトータルリターンが1.34%となり、類似ファンド分類平均を1.29%上回った。(グラフは、「明治安田 日本債券オープン」の過去10年間のパフォーマンス推移)
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2022-04-19 11:00