【為替本日の注目点】NYダウ1000ドルを超える下げに

ドル円は前日の水準から大幅に反発。米長期金利が3%を大きく超えたため、ドル円は130円55銭まで上昇ユーロドルは反落。前日は1.06台前半まで買われたが、この日はドル高が進み、1.04台後半まで売られる。イングランド銀行は政策金利を0.25%引き上げ、1.00%にすると発表。同時に、インフレ率が2桁台に上昇すると、英経済がマイナス成長に陥るとの見方も発表。これを受けポンド円は163円近辺から急落し、160円台半ばに。株式市場は前日の大幅高を全て失う。ダウは一時1300ドルの下げを見せ、引け値は1063ドル安。ナスダックは年初来安値を更新。債券は大幅に反落。長期金利は一時3.1%台まで上昇。金と原油は続伸。 新規失業保険申請件数    → 20万件 ドル/円    129.73 ~ 130.55 ユーロ/ドル  1.0494 ~ 1.0573 ユーロ/円   136.89 ~ 137.53 NYダウ -1063.09 → 32,997.97ドル GOLD    +6.90 → 1,875.70ドル WTI     +0.45 →  108.26ドル  米10年国債 +0.102 → 3.037% 【本日の注目イベント】 独  3月鉱工業生産 米  ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで冒頭挨拶 米  ウォーラーFRB理事、セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加 米  デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、大学卒業式でスピーチ 米  カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加 米  4月雇用統計 米  3月消費者信用残高 先ずは、前日のFOMCに関する動きから行きます。 4日(日本時間5日午前3時)のFOMC会合では予想通り、フェデラル・ファンド(FF)の誘導目標金利を0.5ポイント引き上げ、0.75~1.00%に決定しました。会合後の会見でパウエル議長は、「インフレはずいぶんと高すぎる、それがもたらしている困難をわれわれは理解しており、インフレを押し下げるべく迅速に行動している」と説明し、「委員会は次の2会合において0.5ポイントの追加利上げを議題にすべきだとの認識が広く見られる」と付け加えました。ここまでは市場予想通りだったと受け止められますが、さらに大幅な0.75ポイントの利上げについては、「委員会は積極的に検討していない」(ブルームバーグ)と述べたことで、市場の一部にあった「0.75ポイントの利上げ観測」が大きく後退し、長期金利が急低下。3%台で推移していた10年債利回りは一時2.9%を割り込み、2.89%台まで下げました。ドル円は米金利の低下に130円台から急落し、128円62銭まで売られる場面がありました。 個人的には、パウエル議長の、0.75ポイント利上げを「委員会は積極的に検討していない」との発言も、想定内だと考えていました。確かに足元のインフレの進行は許容しがたいものがありますが、それでも0.5ポイントという、2000年以来20年ぶりとなる大幅な利上げ幅に加え、ウクライナでの戦争の行方も極めて不透明で、今後はその影響にも配慮する必要があります。今後の経済データを見極める必要もあることから、今回0.5ポイントの利上げを決め、次回の2会合で再び0.5ポイントの利上げをテーブルに乗せるという見通しが、現状で許容できる最もタカ派的は発言であったと考えます。大幅な調整が続いている米株式市場にも、多少は目を向ける必要があったのではないかと思います。 市場はパウエル氏の発言を好感し、大きく反応しましたが、「楽観ムード」は短命でした。昨日の債券市場では、イギリスが利上げを決めたことも影響したのか、債券が大きく売られ、長期金利は再び3%を超え、一時は3.1%まで上昇する場面もありました。引け値でも3.03%台と、今後の利上げを織り込む形で上昇しました。前日128円台半ばまで売られたドル円は金利上昇に素直に反応し、130円55銭まで上昇しています。足下の主役は「米長期金利」です。金利が上昇するのか低下するのかで、その他の市場の動向も決定されているような状況です。前日大きく上昇したNY株式市場は「往って来い」だったというよりも、上昇分を全部吐き出しても足らなかった状態でした。ナスダック指数は今年の最安値を更新しています。4日のFOMC後の反応がやや行き過ぎだったとは思っていましたが、わずか1日で真逆の動きになるとは、正直驚きました。今朝のブルームバーグの「DAYBREAK」トップの記事には、熊が前足を上げ、吠えている画像で、タイトルは「熊、吠える」とありました。もちろん「熊」は弱気(Bearish)の象徴で、その熊が勢いを増しているといった、市場のセンチメントをうまく表現しているものでした。昨日はWTI原油価格が再び110ドル台まで上昇する場面もあり、インフレの芽はなかなか消えません。このままいけば、6月、7月も再び0.5ポイントの大幅利上げの可能性が高まり、そのうちの1回は0.75ポイントの、さらに大幅利上げになる可能性が高まりそうです。ドル円は、いましばらくは底堅い動きが続き、日本がGW中に128円台半ばまで売られた局面が唯一の調整だったのかもしれません。直近高値からは2円63銭の下落でした。 戦闘が続いているウクライナでは、国連のグテレス事務総長とプーチン氏との直接会談が功を奏したのか、マリウポリの製鉄所から150人以上の民間人が避難に成功したと伝えられています。ただここにきて「防戦一方」だったウクライナの対応が変化してきたように思えます。ゼレンスキー大統領は4日ウォールストリート・ジャーナルのイベントでオンライン参加し、「領土保全が我々の第一任務だ。クリミアを取り戻したいと考えているし、それは可能だ」と述べています。欧米からの大規模な武器供与を含む支援がゼレンスキー氏を強固にさせたようですが、そのことは、ウクライナでの戦争が長期化することを意味しそうです。巷間言われている、9日の戦勝記念日まで残すところあと3日です。プーチン氏の「鶴の一声」はあるのでしょうか? 全ての金融市場でボラティリティーが急騰しています。ドル円も、値幅が大きく動きも速い展開が続いています。方向的にはそれほど難しい相場展開ではありませんが、買い出動するタイミングや手放すタイミングが結構重要で、それが収益を大きく左右する状況です。 本日のドル円は129円40銭~130円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は前日の水準から大幅に反発。米長期金利が3%を大きく超えたため、ドル円は130円55銭まで上昇ユーロドルは反落。前日は1.06台前半まで買われたが、この日はドル高が進み、1.04台後半まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-05-06 09:45