【為替本日の注目点】NYダウ4日続落

ドル円は130円台半ばまで上昇したが、米長期金利の低下に130円を割り込む場面も。その後130円30銭前後まで反発して取り引きを終える。ユーロドルは1.05台で推移。上値を試すものの、1.06台には届かず。株式市場はまちまち。ダウは朝方大きく上昇して始まったが、クリーブランド連銀総裁の発言を境に急落し4日続落。ナスダックとS&P500は4日ぶりに反発。債券は続伸。長期金利は2.99%台まで低下し、3%台を固めるには至らず。金と原油は続落。 ドル/円    129.92 ~ 130.46 ユーロ/ドル  1.0526 ~ 1.0575 ユーロ/円   137.03 ~ 137.51 NYダウ   -84.96 → 32,160.74ドル GOLD   -17.60 → 1,841.10ドル WTI     -3.33 → 99.76ドル 米10年国債 -0.043 → 2.991% 【本日の注目イベント】 豪   5月ウエストパック消費者信頼感指数 中   4月消費者物価指数 中   4月生産者物価指数 トルコ 4月消費者物価指数 トルコ 4月生産者物価指数 独   4月消費者物価指数 欧   ラガルド・ECB総裁講演(リュブリャナ) 米   4月消費者物価指数 米   4月財政収支 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演 本日の米4月のCPI発表を前に神経質な展開が続いています。ドル円は130円台半ばまで買われる場面があったものの、131円を目指す動きにはならず、NYでは米長期金利の低下に130円を割り込む場面もありました。下落基調が続く株式市場では、昨日は日経平均株価が500円を超える下げを見せ、2万5700円台まで売られる局面もありました。NY株の大幅な下げの影響をもろに受けている状況です。NYダウは連日の大幅な下げもあり、朝方には大きく反発して取引が始まりましたが、連銀総裁のタカ派的な発言に一蹴され、マイナスで引けています。 クリーブランド連銀のメスター総裁は、パウエル議長が示唆したように、6月と7月の会合で0.5ポイントの利上げを支持する考えを示しました。総裁は、「今後2会合での50ベーシスポイント利上げは完全に妥当だと考える。その後、加速させる必要があるかどうかを見極める必要性が出て来るだろう。需要が予想より速いペースで減速すれば、少し減速させることも可能かもしれない」と述べ、さらに「永遠に75bpの利上げを排除するのではない。今後後半のしかるべき時点でインフレが下がっていなければ、スピードを上げる必要があるかもしれない」と指摘しました。(ブルームバーグ)0.75ポイントの利上げについては、パウエル議長は先週のFOMC後の会見で「委員会は積極的に検討していない」と、現時点では否定的な考えを示しましたが、再び大幅利上げの可能性が浮上してきました。0.75%幅に言及したのは、セントルイス連銀総裁のブラード総裁に続き2人目ですが、この発言が株式市場を押し下げたようです。 また、NY連銀のウイリアムズ総裁は、「私が『ソフトランディング』を考える場合、『それは潜在成長率を下回る成長がしばらく続く可能性がある。失業率が幾分か上昇することも確実にあり得るが、大幅に上昇するわけではない』という状況だ」と述べ、「私は失業率が3.6%にとどまっている状況をソフトランディングとは定義しない。インフレが鈍化しつつあり、同時に健全かつ力強い労働市場を真の意味で維持している状況が、ソフトランディングと定義されよう」と語っています。FRBとしてはインフレを阻止する過程で、労働市場へ悪影響が出ることも容認する構えと見られ、FRBの焦りも感じられます。米国では11月に中間選挙が行われますが、焦点の一つが足元の高インフレで、遅くともその前までには「ソフトランディング」させておかないと、バイデン政権の基盤にも影響してきます。今後FRBに対する政治的なプレッシャーも増してくると思われます。バイデン大統領は10日ホワイトハウスで、物価高を抑えるため約3000億ドル(約39兆円)相当の中国からの輸入品に対して関税引き下げの是非を検討していることを明らかにしています。 本日発表されるCPIの結果にもよりますが、FRBは今後利上げを実施していく中で、どの水準が景気を過熱も減速もさせない「中立水準」であるかを模索して行くことになります。原油価格が再び100ドルの大台を割り込んではいますが、ウクライナでの戦争も長期化する可能性が高く、今後の物価上昇の動きは非常に不確実性が高いとみられます。FRBとしては出来るだけ早い時期に利上げを行い、その効果を見極めるといったスタンスを採るのではかと思います。6月、7月の会合で0.5ポイントの利上げを行うことで、「3回会合連続で0.5ポイントの利上げを実施」という、インフレ阻止に向けたFRBの強い意志を示し、人々のインフレ期待感を後退させる必要もあります。それには、6月の会合で一気に0.75ポイントの利上げまで持って行く必要があるのかもしれません。8月には会合がなく、その次は9月20-21日になります。FRBに残された時間はそう多くありません。 本日のドル円は129円50銭~131円程度を予想します。 CPIの予想は「8.1%」で、発表は21時30分です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は130円台半ばまで上昇したが、米長期金利の低下に130円を割り込む場面も。その後130円30銭前後まで反発して取り引きを終える。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-05-11 10:15