【為替本日の注目点】北欧2カ国NATOへの加盟申請

ドル円は反発。前日127円台半ばまで売られたドル円は米長期金利の上昇もあり129円45銭まで買われる。ユーロドルは下落基調が続き、小幅ながら前日の直近安値を更新。1.0349まで売られ、2017年1月以来の水準に。株式市場は3指数が揃って大幅に反発。アップルなどの大型ハイテク株が買われ、ナスダックは434ポイント高と、今年最大の上昇を記録。債券は6日ぶりに反落。長期金利は2.91%台へと上昇。金は続落。原油は3日続伸し110ドル台に乗せる。 4月輸入物価指数             → 0.0% 5月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 59.1 ドル/円    128.87 ~ 129.45 ユーロ/ドル  1.0349 ~ 1.0416 ユーロ/円   133.61 ~ 134.75 NYダウ  +466.36 → 32,196.66ドル GOLD   -16.40 → 1,808.20ドル. WTI     +4.36 →  110.49ドル 米10年国債 +0.071 → 2.919% 【本日の注目イベント】 中  4月小売売上高 中  4月鉱工業生産 欧  ユーロ圏3月貿易収支 欧  欧州委員会、春季経済予測 米  5月NY連銀製造景況業指数 米  ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加 加  4月住宅着工件数 北欧のフィンランドとスウェーデンがNATOへの加盟を申請する見通しです。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、両国は長年保持してきた軍事的中立の方針を転換することになります。特にフィンランドはロシアと1300キロにわたり国境を接しており、ロシアからの軍事的なリスクが高まって来たとしてNATOへ加盟を決め、近く申請する模様です。隣国スウェーデンも、長年続けてきたNATO加盟反対の姿勢を転換し、加盟支持を決定しています。これに対してロシアは反対を表明していますが、両国は、主権をないがしろにしてウクライナに侵攻したロシアの責任を強く批判しています。こうした中、ブリンケン米国務長官は、フィンランドとスウェーデンの加盟について現加盟国の間でコンセンサスが得られると「強く確信している」と述べ、NATOのストルテンベルグ事務総長も同様の認識を示しています。 ただ、現在NATOには30カ国が加盟しており、両国の加盟には加盟国全ての承認が必要であり、トルコの承認が焦点になると見られています。トルコはテロ組織として敵視するクルド系武装勢力、クルド労働党(PKK)などと北欧2カ国の関係が近いことなどを理由に、両国の加盟に慎重な姿勢を示しています。(日経新聞)フィンランドのニーニスト大統領は「この問題の着地点を見出せると確信している」と述べていますが、やや不透明のようです。同大統領はロシアのプーチン氏と直接電話で会談し、向こう数日のうちにNATO加盟を目指すかどうかを決定すると伝え、これに対してプーチン氏は「NATOへ加盟するという計画は間違いだ。フィンランドの安全保障は脅かされていないからだ」とし、NATOへの加盟は両国関係を損ないかねないとロシア政府は発表しています。 そのロシアはウクライナ軍の攻勢にさらに戦況を悪化させている模様です。英国防省は、ロシアが2月に投入した兵力の3分の1を失った可能性があり、またドンバス地域での攻撃も難航していると発表しました。昨日ウクライナに関するテレビの報道で驚いたのは、ウクライナでは既にロシア兵の戦争犯罪を問う裁判が行われていた映像です。これまでの認識では、戦争が終結した後にその戦争責任を問う裁判は行われ、裁判官は各国から任命されるものだと思っていましたが、21歳のロシア兵が民間人を射殺した犯罪についての裁判が行われていました。今回の戦争もいずれ終わると思いますが、その際のプーチン氏の戦争責任は極めて厳しいものになるのでしょう。 EUの行政執行機関である欧州委員会は、2022年のユーロ圏の経済予想を下方修正する一方、インフレ率見通しをほぼ倍に引き上げる見通しだと、ブルームバーグは速報として伝えています。同委員会はロシアのウクライナ侵攻後、初となる今回の見通しで、域内GDP予想を2022年は2.7%、23年を2.3%とする方向で発表するようです。またインフレ率は今年が6.1%。来年は2.7%と予想しています。ドル高とロシアからの資源輸入と決別することを決めたことで通貨ユーロは大きく売られています。先週末にはおよそ5年半ぶりとなる1.0349までユーロ安が進みましたが、ユーロ安はインフレ率を高めることにもつながり、ECBにとっても頭痛の種です。7月には利上げに踏み切る可能性があり、利上げ後のユーロの動きが注目されます。 先週後半には127円台半ばまで売られたドル円は反発し、129円台半ばまで上昇してきました。フィボナッチ・リトレースメントで戻りの目安を確認すると、131円35銭(5/9)から127円54銭 (5/12)までの下落幅の50%戻しは129円45銭となり、これはちょうど先週末のNYの高値と一致します。今日は61.8%戻しに当たる129円89銭辺りが一つの目安と考えることができます。 その辺りを加味して、本日のドル円は128円70銭~130円程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は反発。前日127円台半ばまで売られたドル円は米長期金利の上昇もあり129円45銭まで買われる。ユーロドルは下落基調が続き、小幅ながら前日の直近安値を更新。1.0349まで売られ、2017年1月以来の水準に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-05-16 09:45