【為替本日の注目点】米6、7月会合で0.5ポイントの利上げ確定か?

ドル円は堅調に推移。朝方の東京時間には129円を割り込んだが直ぐに反発。その後は底堅い動きとなり、NYではパウエル議長の発言を受けてドルが買われ、129円78銭まで上昇。ユーロドルは反発。小動きながら終始1.05台で推移し、1.0555までユーロ高に。株式市場は大幅高。長期金利が上昇したものの、良好な経済指標を手掛かりに3指数は揃って上昇。債券相場は反落。長期金利は2.98%台まで急上昇。金は続落し、原油は5日ぶりに反落。
4月小売売上高 → 0.9%
4月鉱工業生産 → 1.1%
5月NAHB住宅市場指数 → 69
ドル/円 129.07 ~ 129.78
ユーロ/ドル 1.0522 ~ 1.0555
ユーロ/円 135.97 ~ 136.70
NYダウ +431.17 → 32,654.59ドル
GOLD +4.90 → 1,818.90ドル.
WTI -1.80 → 112.40ドル
米10年国債 +0.104 → 2.986%
【本日の注目イベント】
日 3月鉱工業生産(確定値)
独 G7財務相・中央銀行総裁会議(ボン、20日まで)
独 イエレン財務長官記者会見(ボン)
欧 ユーロ圏4月消費者物価指数(改定値)
英 4月消費者物価指数
米 4月住宅着工件数
米 4月建設許可件数
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演
加 4月消費者物価指数
「それをちゅうちょしない」パウエル議長はウォールストリート・ジャーナルが主催したイベントで、こう発言し、FRBは中立水準を超える利上げも「ちゅうちょしない」と、強い姿勢を見せました。昨日の本欄で、パウエル議長がタカ派的な発言にシフトする可能性に触れましたが、予想に沿った発言でした。発言を受け米長期金利は大幅に上昇し、ドル円を129円78銭まで押し上げました。株式市場は金利上昇にもかかわらず3指数が揃って大幅に上昇しています。これまでにかなり売り込まれたことや、小売売上高が予想を超え、引き続き個人消費が好調だったことが相場のセンチメントを好転させたようです。
パウエル議長は、「われわれが目にしなくてはならないのは、明確かつ納得のいく形でのインフレ低下であり、それを確認するまで取り組みを続けていく」と述べ、「そのために広く理解されている中立水準を超えることになるならば、われわれは一切ちゅうちょせずそれを成し遂げる」と表明しました。議長はさらに、「経済は強く、金融緩和の後退や政策引き締めに耐えられる良好な位置につけている」とし、「物価安定を取り戻すには何らかの痛みを伴うこともあるだろう。しかし、強い労働市場を維持できると考えている」(ブルームバーグ)と、これまでの発言よりもさらに一歩踏み込んだと思える発言だったと言えそうです。議長は先のFOMC後の会見では50ベーシス・ポイントの利上げについて、「経済がわれわれの予測通りに動けば、それが議題に上がるだろう」と述べており、これで余程想定外の事態が起きない限り、6月、7月の会合で「0.5ポイントの利上げ」は確実になったと考えられます。この日はタカ派のブラード・セントルイス連銀総裁も発言しており、「次の数会合に0.5ポイントずつの利上げを実施する方向にあるようだと、パウエル議長がこれまでに述べている」と発言し、「見通しへのリスクはあり、状況は変わり得るが、今のところわれわれには適切な計画がある」と語っています。また、この日は0.75ポイントの利上げには言及しませんでした。
足下のインフレは収まる気配がなく、FRB当局の対応の遅れを指摘する声もある中、ここに来て当局者からは、そう言った声を払拭する意味もあるのか、タカ派的な発言が目立つようになってきたと感じます。日経新聞はクリーブランド連銀のメスター総裁と単独インタビューを行っています。メスター総裁はその中で、「ウクライナ情勢や中国の『ゼロコロナ』政策は供給制約を悪化させ、さらなるインフレを引き起こしかねない。米国でも非常に高い家賃が物価に反映されるのに時間がかかる。今の物価情勢は上振れリスクが大きい」との認識を示しています。また0.75ポイントの利上げの可能性を問われると、「インフレが十分に収まらない事態もあり得るため、0.75%の利上げを含むあらゆる選択肢をテーブルの上に置いておきたい。6月と7月の利上げ幅は0.5%にとどめておくのが妥当だろうが、将来的に0.75%とすることも排除するつもりはない」と答えています。
ウクライナ東南部のマリウポリのアゾフスターリ製鉄所から兵士265人超がロシアの占領地域に移送されたことを受け、ウクライナ政府はこの兵士とロシア軍捕虜の交換を模索していることを明らかにしています。スウェーデンとフィンランドはNATOへの正式な加盟申請を18日に揃って行うことを発表しました。審議はこれまでにないスピードで行われる予定ですが、加盟30カ国の承認が必要な中、トルコが難色を示しており、不透明感は残ります。トルコはクルド人武装勢力に対する両国の姿勢を非難しており、両国は協議のためトルコの首都アンカラに外交団を派遣する計画ですが、エルドアン大統領は「わざわざ来るには及ばない」と述べています。一方バイデン大統領は両国首脳を19日にホワイトハウスへ招待すると発表しています。
昨日のNYではパウエル議長のタカ派的な発言で129円台後半までドルが買われましたが、130円台には届いていません。市場は0.5ポイントの連続利上げを織り込んでいるものと思われ、ここから再び131円を目指すにはさらなる材料が必要かもしれません。本日のドル円は128円80銭~131円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は堅調に推移。朝方の東京時間には129円を割り込んだが直ぐに反発。その後は底堅い動きとなり、NYではパウエル議長の発言を受けてドルが買われ、129円78銭まで上昇。ユーロドルは反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-05-18 10:00