目標リターン3%の安定確保を目指す「人生100年時代・世界分散ファンド」、環境に応じて大胆に資産配分変更

 三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「人生100年時代・世界分散ファンド(資産成長型)」は、設定(2018年8月)から2021年12月末までの2年トータルリターン(ローリング)が、17カ月中全ての月でプラスとなった。2年間保有すれば、投資のタイミングに関わらずプラスのリターンを獲得できたことになり、非常に安定的な運用を実現している。ファンド オブ ザ イヤー2021「バランス型」部門で優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用の仕組みについて、同社資産運用アクティブ・ソリューショングループ兼アロケーション・グループ シニアファンドマネージャーの武内荘平氏に聞いた。  ――ファンドの特徴は?  中長期的な資産価格の上昇を目指し、お客様に分配するための分配原資を確保するようにしています。そのために3つの工夫をしています。1つ目が、グローバルの金融市場への分散投資です。先進国の国債、株式、リート、そして、社債、加えて、新興国の国債や株式に投資しています。分散投資をすることでリスク低減を行い、運用効率の改善を図っています。  そして、2つ目は、目標リターン3%を達成するために、年に一度、基本ポートフォリオの見直しを行っています。期待リターン、リスク、そして、資産間の相関を分析することで、リターン3%を達成するための最適なポートフォリオを毎年策定しています。  3番目は、相場の局面判断に応じて、ポートフォリオをダイナミックに動かすことです。局面に応じて、積極・基本・保守から最適なポートフォリオを選択しています。局面判断は、金融市場の定量分析とテキストデータをもとに判断しています。定量分析では、株式、債券、為替の日次データから算出するリスク・アペタイト・インデックス(世界の金融市場の動向をもとに、市場参加者のリスク選好度(リスクアペタイト)を、日興グローバルラップが独自に指数化したもの)を用いて投資家のリスク許容度を判断します。そして、テキスト分析では、世界各国のニュースからポジティブ・ネガティブを判断して定量化しています。この二つを用いて精度の高い局面判断が行えるようになっています。また、市場が大きく変動したと判断した局面では、リスク資産の一部を現金化するという仕組みも取り入れています。  ――運用のポイントは? 特に、市場に大きな変化があった際の対応について教えてください。  先ほどお話した3番目の局面判断が最も重要になってきます。このファンドでは、局面判断の精度を高めて、メリハリのある運用を行うようにしています。たとえば、2020年3月のコロナショックの局面では、2月の下旬にポートフォリオ基本から保守へと変更し、3月のコロナショックによる相場急落の影響を免れることができました。また、2021年は積極的な資産配分を続けることで資産価格の上昇を最大限に享受しました。2022年には、1月11日に長らく続けてきた「積極」のポートフォリオを「基本」へと変更。2月8日には「保守」、そして、3月7日にはリスク資産の一部をキャッシュ化し、年明け以降の激しい相場価格の変動から資産価格の保全を図ることができています。  ――長期的に投資家にリターンを提供していくための重要なポイントと運用チームについて教えてください。  やはり、このファンドの最大の特徴である局面判断の精度が重要となってきます。我々のチームには債券、株式、クオンツといった様々なバックグラウンドを持ったプロフェッショナルが集まっています。このチームでマルチアセットの運用を行っており、そこで培われた知見と、100%子会社の日興グローバルラップが連携しながら、運用状況をモニタリングし、必要に応じてモデル改良を加えるようにしています。金融市場とモデルがフィットしていないと感じて、運用開始してからマイナーチェンジも含めると、過去3回モデル改良を実施しています。  日興グローバルラップには、マルチアセットで運用経験を積んだ若手担当者も出向しており、常日頃から密なコミュニケーションをとることが可能となっています。  2021年5月には一部現金化の局面判断の精度向上を図るために、モデル改良を行いました。2022年3月の一部現金化においては、まさにこのモデル改良の成果が表れたと言えます。  ――運用成果が上がった秘訣について教えてください。  運用に対する好奇心と情熱が重要になってくると思います。好奇心を持って相場を見ていくと、いろいろな気づきが得られますので、それを次の投資判断に生かすということです。また、近年ではテクノロジーの進化により、様々なデータ収集や分析が可能となりましたので、それらを活用するということも重要になってきます。  私も運用経験は20年ほどになりますが、この仕事は非常に奥が深いです。良い運用を行って投資家の方の役に立っていきたいという情熱が重要になってくると思います。  ――最後に投資家の方々へのメッセージをお願いします。  このファンドの最大の特徴は、局面判断によってポートフォリオをダイナミックに動かしていくことです。局面判断の精度向上を図るために、今後も引き続きモデル改良を行っていきたいと思っています。投資家の皆様のお役に立てるように運用していきたいと思いますので、今後も引き続きよろしくお願いします。(グラフは、「人生100年時代・世界分散ファンド」設定来のパフォーマンス推移)(情報提供:モーニングスター社)
「人生100年時代・世界分散ファンド」の運用の仕組みについて、三井住友DSアセットマネジメントの資産運用アクティブ・ソリューショングループ兼アロケーション・グループ シニアファンドマネージャーの武内荘平氏に聞いた。(グラフは、「人生100年時代・世界分散ファンド」設定来のパフォーマンス推移)
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2022-05-26 10:00