50年にわたる優れた運用実績、米国の幅広い投資家に支持されるキャピタルの運用力について聞く

キャピタル・インターナショナルが設定・運用する「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」が2021年10月から、つみたてNISA対象商品になった。同ファンドと同一の運用戦略であるニューパースペクティブ運用は、アクティブ運用として米国では約50年の優れた運用実績を残す。長期の積立・分散投資に適した商品として、信託報酬率を引き下げて採用条件を満たした。長期の資産形成に資する積立投資に積極的に関与したいという同社の強い意気込みが感じられる対応だった。キャピタル・インターナショナル代表取締役社長の小泉徹也氏に、同社が志向する長期資産形成について、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也が聞いた。
朝倉:昨年、「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」の信託報酬を引き下げたことは画期的な出来事だと感じました。そして、同ファンドは、つみたてNISA対象ファンドに採用されました。キャピタル・グループにとって初のつみたてNISA対象ファンドとなるわけですが、この背景についてお伺いしたいと思います。
小泉氏:キャピタル・グループのミッションは「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」ということです。クオリティの高い資産運用サービスを、私達が適切だと考える手数料で提供することが重要だと考えています。特に、長期にわたって積み立て投資を行うお客様にそのようなサービスを提供していきたいと考え、昨年10月に信託報酬率を引き下げ、つみたてNISA対象ファンドとなりました。
朝倉:インデックスファンドでは信託報酬の引き下げが結構ありますが、アクティブファンドで、しかも、世界株を対象としたファンドでコストを下げていただくと投資家の方には非常にありがたいと思います。「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」は、その運用戦略がアメリカで50年近い運用実績があり、しかも、運用成績が良いので、アメリカのモーニングスターが高く評価しています。この運用戦略についてご紹介ください。
小泉氏:この戦略は全世界の株式を投資対象とし、マルチナショナル企業に注目しています。グローバルで活躍する企業に投資をすることで、世界経済の成長の恩恵を受けるというのが特徴です。長い目で見て世界の経済の動きを、きちっと捉えていくということをやっています。また、特定の国や地域に偏ることなく、リスク分散に配慮しながら、長期的なリターンを狙っていくことも運用の特徴です。
1973年に運用を開始しましたが、現在も、主力ファンドとして運用を継続しています。アメリカでは運用資産残高が17兆円に上っています(2021年12月末現在)。同戦略の50年近くにわたる良好な運用実績が、多くの個人投資家の皆様に活用していただいていると思っています。
例えば、この戦略に1973年に100万円を投資したと仮定すると、2021年末に、1億2,658万円になっています。同じ期間を世界株式の代表的なインデックス(2011年9月からMSCI ACワールド・インデックス、それ以前はMSCIワールド・インデックス)に投資すると、資産額は2,754万円になっていますので、これを大きく上回る実績を実現しています。この差がアクティブ運用会社であるキャピタルの強みを発揮した結果であると考えています。
朝倉:100万円が50年近く経過して1億2,658万円になったということは、20歳の方が70歳になった時に1億円の資産を持っていることも夢ではないですね。
小泉氏:長期的に投資をするということで、まとまった資産を築く夢が叶うということを、私どもは日本でもっともっと伝えていきたいと思っています。
朝倉:長期にわたって良好な運用実績を実現できる秘訣を教えていただきたい。
小泉氏:キャピタル・グループは、1931年に創業して以来、アクティブ運用に特化しています。私どもはグローバルに400名を超える運用担当者がおりまして、彼らがアクティブ運用において最も重要な個別企業の分析をきちっとやっていることが、一番大きな運用力の源だと考えています。
また、中長期的に運用の継続性、再現性を考えています。運用に「キャピタル・システム」を採用しています。この「キャピタル・システム」は、一つのファンドを、投資スタイルの異なる複数の運用担当者がチームを組んで運用を行います。当ファンドは、現在9名のポートフォリオ・マネージャーで運用しています(2021年12月末現在)。
「キャピタル・システム」は、いろいろなマーケットのサイクルにも対応することが可能ですし、また、長期的に運用実績を継続していくために、1人1人のマネージャーが退職するようなことがあっても運用が継続できるシステムを作っています。1973年以降、この運用戦略には22名の運用担当者が関わってきています(2021年12月末現在)。
朝倉:50年間の長きにわたって運用実績を継続していくことを考えると、25歳の運用担当者が75歳になってしまうのですから1人のマネージャーでは難しいことです。複数の方でカバーをしていく「キャピタル・システム」には価値があると思います。その運用プロセスだけではなく、御社の運用の哲学や文化も非常に価値が高いものが継承されています。他社と異なる御社の特徴、強みを教えてください。
小泉氏:キャピタル・グループは1931年に創業して以来、株式非公開のプライベート会社です。この間、企業としていろいろな決断を下してきていますが、長期的な視点を重視して経営判断をしてきていることが、大きな特徴だと思っています。
もう一つ、運用担当者の評価について、1年、3年、5年、8年といった期間で評価をしていますが、その最後8年という一番長いところでの評価の割合が大きいのです。長期にリターンを求めるお客様と同じ視点で運用させていただいていることが一つ強みだと考えています。
最後にもう一つ言えることは、企業との深いエンゲージメントをしていることです。私どもは世界最大級のアクティブ運用会社で、また、長期の視点で運用しています。そして、運用の再現性、継続性を維持する「キャピタル・システム」を導入しています。
また、ここがすごく大事なのですが、キャピタル・グループのことを理解していただいているアドバイザーや販売会社の皆さん、そしてお客様を重視している姿勢が、社員一人一人に根付いていることです。そういった文化を長期にわたって作っているというのが私どもの強みだと思っています。
朝倉:私もよく長期・積立・分散投資の話をしているのですが、長期投資に適したファンドがあると思います。長期投資には、どのようなファンドが適しているとお考えですか?
小泉氏:3つのポイントがあると思います。1つ目は、運用会社です。中長期に資産運用をしてくれる信頼できる運用会社を選ぶことが重要です。2つ目は、実際に運用した結果、実績が良好なのかどうか。そして最後は、その過去の良い実績を将来にわたって再現できるシステム、継続できるシステムを持っているのかどうかです。そこがすごく大切だというふうに考えておりまして、「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」は、この3つのポイントを全て押さえている運用だと考えています。
朝倉:一方、投資の一歩踏み出す投資家が増えていかなければなりません。小泉社長は従前から、「投資教育」、「啓蒙活動」に積極的に取り組まれています。昨今では大学まで出向いて、学生に長期投資の重要性を話しているそうですが、感触はいかがですか?
小泉氏:昨年10月に福島大学で、年金と長期投資をテーマに講義を行いました。長期投資の考え方であったり、お金について考えるきっかけを与えたいと考え、スタートさせました。
今年は5月から、地方の5つの国立大学で講義をやっていきます。一方的に私どもから講義をするだけではなく、学生の方々が長期投資をするためにどんなサポートが必要だと考えているのか、そのアイデアを私どもが受け取りながら、講義を進めたいと考えています。そして、その結果を政治家や国に発信していくような機会も作っていこうと考えています。
朝倉:長期投資が日本で根差す環境が整ってくるきっかけになるといいですね。最後に投資家の皆様に、キャピタルが資産運用を通じて、どのような世の中にしていきたいのかお話しいただきたいと思います。
小泉氏:キャピタル・グループの本拠地であるアメリカでは、401K制度(企業型確定拠出年金)やIRA(個人退職勘定)など、その税制の優遇制度を活用しながら、普通の勤労者の方が、長期の積立投資を行うことによって豊かな老後の生活を迎えているケースがすごく多いと思っています。私どもの運用資産の7割以上は、そういった老後に向けた資産の運用になります。
私どもが提供させていただく資産運用のサービスを通じて、皆様の人生を豊かにすることに貢献できたらと考えています。日本の投資家の皆さんは、まだまだ投資を通じた成功体験があまりないと思いますので、アメリカでの成功体験等をうまく日本に伝え、そこから学べることがあれば、それを学んで、日本のお客様と一緒に、豊かで幸せな老後を迎えるような社会を作っていきたいと思っています。(グラフは、「キャピタル世界株式ファンド」と同一の運用戦略であるニューパースペクティブ運用に約50年間にわたり100万円投資した場合の試算)(情報提供:モーニングスター社)
キャピタル・インターナショナル代表取締役社長の小泉徹也氏に、同社が志向する長期資産形成について、モーニングスター代表取締役社長の朝倉智也が聞いた。(グラフは、「キャピタル世界株式ファンド」と同一の運用戦略であるニューパースペクティブ運用に約50年間にわたり100万円投資した場合の試算)
economic,company
2022-05-30 09:45