【深センIPO】畜産用飼料添加物の上海美農業生物科技が8日に公募開始、2000万株発行予定

深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、上海美農業生物科技(301156/深セン)が6月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2000万株を発行予定で、公募価格は23.48元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
同社は1997年に上海美農飼料有限公司として設立した民営企業で、2011年に株式会社化するとともに現社名となった。甘味料、香料、pH調整剤、クエン酸、ビタミン、ミネラルなどの飼料添加物および酵素分解タンパク質飼料原料の研究開発、生産、販売を主業務としている。製品はブタ用が主体であり、飼料生産企業、飼育企業、販売店などが主な顧客だ。中国国内の20あまりの省、直轄市、自治区に顧客を持つほか、アジア、欧州、南米などに向けても販売している。
2021年12月期の売上構成は、甘味料などの機能性飼料添加物が64.79%、ビタミンなどの栄養性飼料添加物が15.78%、酵素分解タンパク質飼料原料が11.85%となっている。20年における甘味料および香料の合計生産量は中国国内3位の規模を誇る。
中国では2019年にアフリカ豚熱が流行した影響により国内の養豚数が激減し、同年末現在で前年比27.50%減の3億1000万頭となったが、その後豚肉価格の高騰により畜産業者の飼育意欲が高まり、20年末現在の飼育数は同30.96%増の4億1000万頭に回復、21年末には同10.51%増の4億5000万頭に達した。飼料の生産量も豚コレラの影響によって19年は前年比で横ばいとなったが、豚の飼育が回復した20年、21年は大きく増加しており、21年の生産量が前年比16.10%の2億9344万トンとなった。
また、飼料の栄養価を高め家畜の質の向上に繋がる飼料添加物のニーズは年々高まっており、生産量は2011年の約600万トンから21年には1477万トンにまで増えた。今後も安定的な需要が見込まれる。
同社は全社員のうち約42%が修士以上の学位を持つなど専門性の高い人材を揃えていること、配合技術、製造技術、酵素分解技術などで優れた開発力を持っていること、さまざまな顧客ニーズに対応した製品開発力などを強みとする一方、既存の生産能力がすでに飽和状態となっていることがボトルネックだ。上場によって資金調達力を高め、生産能力の拡大を図りたい。また、原材料価格の変動、3〜4年単位の養豚業における飼育量増減サイクル、家畜伝染病の流行などが経営上のリスクとして存在する。
2021年12月期の売上高は5億4625万元(前期比29.89%増)、純利益は7055万元(同5.76%増)。22年1〜3月期の売上高は1億612万元(前年同期比20.55%減)、純利益は1476万元(同28.40%減)で、新型コロナの感染拡大に伴う上海市のロックダウンが大きく影響して減収減益となった。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、上海美農業生物科技(301156/深セン)が6月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2000万株を発行予定で、公募価格は23.48元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-06 22:45