【為替本日の注目点】ドル円20年ぶりに132円台に

ドル円は一段高となり、NYでは132円にワンタッチ。米長期金利が再び3%台に乗せたことで、ドル買いが強まり直近高値の131円35銭近辺を抜けると急上昇。ストップも巻き込み132円01銭を付ける。ドル高の流れの中、ユーロドルでもユーロが売られたが限定的。1.0684までユーロ安が進んだが、円に比べ下落幅は少なく、その結果、ユーロ円は141円台に上昇。株式市場は反発。米金利が上昇したにもかかわらず、この日の株式市場は買いが優勢に。3指数は小幅ながら揃って上昇。債券は続落。長期金利は再び3%台に乗せ、3.04%台に上昇。金と原油は下落。 ドル/円  130.67 ~ 132.01 ユーロ/ドル 1.0684 ~ 1.0731 ユーロ/円  140.10 ~ 141.25 NYダウ +16.08 → 32,915.78ドル GOLD ―6.50 → 1,843.70ドル. WTI ―0.37 → 118.50ドル   米10年国債 +0.107 → 3.04% 本日の注目イベント 豪   RBA、キャッシュターゲット 日   4月景気先行指数(CI)(速報値) 中   中国5月外貨準備高 独   独4月製造業新規受注 米   月貿易収支 米   4月消費者信用残高 米   米中間選挙予備選(カリフォルニア州、アイオワ州など) 米   世銀、世界経済見通し 加   カナダ4月貿易収支  ドル円の上昇に勢いが付いてきました。投資家は再び日米金利差に着目し、「ドル買い円売り」を加速させ、昨日のNYでは5月9日に記録した直近高値の131円35銭を抜き、一気に132円台までドル高が進みました。2002年4月以来、20年2カ月ぶりの水準です。131円35銭近辺を超えるとストップロスのドル買い注文をこなしながらドルが上げ足を早めたとみられ、やはりそれまでの高値、安値を超えた水準にはストップの注文が入り易いことが確認された格好でした。先週末のNYでは131円手前までドル高が進みましたが、昨日の東京時間ではドルの上値が重く、小動きの中130円台半ばまで押し戻される展開でした。しかし海外では動きが異なり、NY市場ではこの日だけで1円30銭以上もドルが買われたことになります。1年で10円以下の値幅しか動かなかった数年前と大きく状況が変わっています。  FOMCメンバーにタカ派的な見方が増えてきたことがあり、米債券には売り圧力が強まってきました。昨日の債券市場では債券が売られ、長期金利が再び3%台に乗せてきたことがドル買を促しました。「3%台で130円台」といった相関を、前回のドル高局面では述べましたが、今回は「3%で132円台」を示現しています。円売りの圧力がそれほど強まってきた証左かと思われます。FRBの積極的な利上げ観測に加え、先週にはカナダ中銀が2カ月連続の利上げを決め、それも0.5ポイントの大幅利上げでした。ECBも7月と9月の利上げが見込まれ、状況次第では大幅利上げの可能性もわずかながら残しています。オーストラリア準備銀行(RBA)も、本日の会合で利上げに踏み切る可能性があります。日本だけが蚊帳の外といった状況下で、円が売られるのも納得できます。  このような状況の中、黒田日銀総裁は昨日、共同通信社主催のイベントで講演を行いました。これまでの判で押したような発言を繰り返し、「金融引きめを行う状況には全くない」とし、「急激な変動ではなく安定的な円安方向の動きであれば、経済全体にプラスに作用する可能性が高い」と強調しています。また、「現在のイールドカーブコントロールを柱とする強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで、経済活動をしっかりサポートすることが最優先課題だ」とも述べていました。日本でもCPIが日銀の目標である2%を超え、4月には2.1%まで上昇してきましたが、日銀はこの上昇は「コストプッシュ型であり、持続的・安定的ではない」ことを、金融緩和を粘り強く続けていく理由に挙げています。黒田総裁のこの発言も、海外勢には材料視されたようです。ただ総裁は、「企業、家計ともに物価観やインフレ予想に変化が見られ始めている」とし、「企業の価格設定スタンスが積極化している中、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは、持続的な物価上昇の実現を目指す観点からは重要な変化と捉えることができる」との認識を示したことについて、ブルームバーグは「発言に微妙な変化が見られている」と論じています。  トルコのエルドアン大統領は6日アンカラでの閣議後、「現政府が利上げすることはない。引き続き利下げしていく」と言明しました。この発言を受けトルコリラは対ドルで売られています。また、英国では党首ジョンソン首相に対する信任投票で、賛成211、反対148の賛成多数で続投が決まり、党首続投が決まりました。ポンドはこの結果を受け買われています。 今朝のドル円はNYでのドル高を受け、132円30銭まで買われています。先週の月曜日が126円台だったことを考えると、上昇するにしてもスピードが速すぎる感は否めません。本日のドル円は131円50銭~132円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は一段高となり、NYでは132円にワンタッチ。米長期金利が再び3%台に乗せたことで、ドル買いが強まり直近高値の131円35銭近辺を抜けると急上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-07 10:15