【為替本日の注目点】ECB、7月に0.25%の利上げを決定

ドル円は東京時間に134円56銭を付けたが、その後は売りが先行し欧州では133円19銭まで下落。NYでは長期金利が上昇したことで再び134円台半ばへ。ECBは定例理事会で7月に0.25%の利上げを行うことを決定。ユーロドルは1.0774まで買われたが、その後は景気減速に対する懸念から1.06台前半まで売られる。株式市場は大幅に続落。ECBの利上げ決定や米長期金利が上昇したことで3指数が揃って下落。ダウは638ドル下げ、S&Pも97ポイントの下落。債券は続落。長期金利は3.04%台まで上昇。金と原油は下落。 新規失業保険申請件数 → 22.9万件 ドル/円    133.60 ~ 134.45 ユーロ/ドル  1.0612 ~ 1.0774 ユーロ/円   142.34 ~ 144.07 NYダウ  -638.11 → 32,272.79ドル GOLD    -3.70 → 1,852.80ドル WTI     -0.60 → 121.51ドル 米10年国債 +0.021 → 3.042% 【本日の注目イベント】 中 5月消費者物価指数 中 5月生産者物価指数 米 5月消費者物価指数 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値) 米 5月財政収支 予想通りECBは昨日開いた理事会で、7月1日に量的緩和を止め、同月の理事会で「0.25%」の利上げに踏み切ることを発表しました。ECBの利上げは2011年以来11年ぶりとなりますが、これで主要国の中で日銀だけがかたくなに「大規模な金融緩和政策」を維持していることとなり、円が売られる最大の要因になっています。 声明文では、「中期的なインフレ見通しが現状維持または悪化する場合、9月会合でより大幅な利上げが適切になるだろう」とした上で、「現在の判断に基づいて、漸進的だが持続的な追加利上げが妥当になると委員会は予想している」としていました。今回の決定に関しては一部には0.5ポイントの利上げも予想されていましたが、ここは初の利上げということもあり、FRB同様、利上げ後の影響も見極めたいとするスタンスを採ると、個人的にも予想していました。このことについてはラガルド総裁も、「漸進的な利上げで開始するのは世界の大半の中銀が採用することの多い手法で、優れた慣行だ」と述べ、「この日の決定は7月単月だけではなく、行程全体を念頭に置いたものだ」と述べ、声明文と同様に9月の追加利上げも示唆していました。ユーロ圏の5月のCPIは「8.1%」と高水準で、今後米国を上回る可能性もあると指摘されています。ドイツ連銀総裁などを中心に、理事会メンバーの中には0.5ポイントの利上げを主張する声も多く、ECBは今後のインフレの動向次第では大幅利上げに追い込まれる可能性もあります。ただ、ECBにとってロシア・ウクライナ戦争という不確実な要因が大きく、簡単には大幅利上げには踏み切れない状況にもあります。この点がFRBとは大きく異なる部分で、ラガルド総裁も頭を痛める部分でしょう。 米国ではウォラー理事に続き、ブレイナード副議長も0.5ポイントの利上げに前向きな姿勢を見せていますが、今度は元FRB副議長のブラインダー氏も大幅利上げが必要だとの見解を示しました。ブラインダー氏は、「現時点におけるわれわれの想定とほぼ同じ状況が続けば、0.5ポイントの利上げが6月と7月の2回よりも多く必要となる。3回か4回の会合で0.5ポイントが必要になるかもしれない」と、現役メンバーではないものの、さらにタカ派的な認識を示しています。また米国がリセッションに陥る可能性は「50%をやや上回る確率だ」とも語っています。同氏はグリーンスパン元議長の下で副議長を務め、現在プリンストン大学の教授の立場にあります。 ドル円は、東京時間に134円56銭近辺までドルが買われ、前日のNY市場の高値を若干上回る場面もありましたが、その後はドルの上値が重くなり、欧州市場ではドル売りが先行しました。欧州では133円19銭辺りまで売られ、やや天井感が出たかと思いましたが、NY市場では再び134円台半ばまで反発するなど、荒っぽい動きです。結局1円以上もの下落を繰り返しながらも「往って来い」の相場展開で、1円以上も下げても再び戻って来るところに「今のドルの強さ」というか、「円の弱さ」が表れています。上でも触れましたが、G7の国で日本だけが金融緩和を続け、今朝の日経新聞にもありましたが、日銀がイールドカーブコントロール(YCC)を行っているため、2年、5年債では日本だけがマイナス金利で推移しています。因みに、イタリアの5年債は2.5%を超え、米国も5年債でも3%を超えています。 最後に、「日銀が政策やコミュニケーションの調整に動くドル円の水準」について、3-8日にブルームバーグがエコノミスト45人に行った調査結果が興味深いと思います。調査では「140円では動く」との見方が多いとの結果が出ています。 本日のドル円は5月の米CPIもあることから、133円~135円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間に134円56銭を付けたが、その後は売りが先行し欧州では133円19銭まで下落。NYでは長期金利が上昇したことで再び134円台半ばへ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-10 10:30