【為替本日の注目点】NYダウは4日続落し、下げ幅は2600ドルを超える

ドル円は東京時間の午後に135円19銭まで上昇したが、その後黒田日銀総裁の円安懸念発言から134円台半ばに。NYでは朝方133円台半ばまで売られたが、米金利の上昇もあり再び134円台半ばまで反発。ユーロドルではさらに「ドル高ユーロ安」が進み、1.0400まで売られる。株式市場は大幅に続落。3指数は揃って年初来安値を更新。ダウの4日間の下げ幅は2600ドルを超える。債券は大幅に続落。長期金利は一時3.43%台まで上昇し、約10年ぶりの高水準を記録。金は大幅に反落。原油は小幅に上昇。 ドル/円  133.60 ~ 134.67 ユーロ/ドル 1.0400 ~ 1.0474 ユーロ/円  139.39 ~ 140.57 NYダウ ―876.05 → 30,516.74ドル GOLD ―43.70 → 1,831.80ドル WTI +0.26 → 120.93ドル   米10年国債 +0.204 → 3.360% 本日の注目イベント 豪 第1四半期住宅価格指数 豪 5月NAB企業景況感指数 日 4月鉱工業生産(確定値) 独 5月消費者物価指数(改定値) 独 6月ZEW景気期待指数 欧 ユーロ圏4月鉱工業生産 英 5月失業率 米 5月生産者物価指数 米 中間選挙予備選(メーン、ノースダコタ、ネバダ州など)  米国のインフレ加速が止まらず、市場参加者の多くが、FRBの積極的な利上げに対する懸念を強めています。昨日のNYでは、先週金曜日に発表されたCPIの上振れに対して対応し切れなかったせいか、株安がさらに進み、債券も大幅安。長期金利は一時3.43%まで急騰し、約10年ぶりの高水準を付けました。やや想定外だったのはドル円の動きでした。  ドル円は昨日の東京時間の午前中には135円を付けましたが、一気に上昇は出来ず、午後に入って135円19銭までドル高が進みました。ただその後黒田総裁が国会で、「最近の急激な円安は経済にマイナス。望ましくない」と発言したことが伝わり、ドル円は134円台半ばまで押し戻されました。NYが参入するとドル円の売りがさらに進み、133円台半ばまでドル安に振れましたが、その後株安、金利高に引っ張られ再び134円台半ばを回復しています。ユーロドルでも先週後半から「ドル高・ユーロ安」が加速してきたことを考えると、昨日の黒田発言がなかったら136円程度まで円安が進んでいたかもしれません。黒田発言で、水準が切り下げられていたことで134円台に留まっていた可能性があります。また「135円」という節目までドル高が進んだことで、一旦「達成感」も出てきた可能性もあります。  さらに言えば、この日の日本の債券市場では長期金利が、日銀が死守する「0.25%」を超え、「0.255%」を付けたことも挙げられます。「無制限の指し値オペ」を実施することで「0.25%」を超える金利上昇を許容しない日銀の強い姿勢にもかかわらず上限金利を超えたことで、「金融政策の変更」あるいは「金利水準の修正」など、日銀の動きに変化が出たのではないかといった観測もあったようです。日銀の指し値オペを使わないで、それよりも安い価格で債券を売ったということは、損を覚悟で売ったことになり、経済合理性には合いませんが、「日銀の本気度を試した」とか、「指し値オペのひずみ」といった様々な憶測も出たようです。黒田総裁も今回の発言はこれまでとは異なっており、135円に到達したことが「急激な円安」と言えるかどうかやや疑問です。先週8日(水)のNYでは134円48銭を付け、9日(木)の東京でも134円56銭を記録しており、そこからわずか60銭程度円安に振れたにすぎません。ただ、135円という水準を意識した発言だったのかもしれませんが・・・・。共同通信は13日に行った世論調査で、黒田総裁は不適任との回答が「58.5%」だったと発表しました。黒田総裁が撤回した「家計の値上げ許容度も高まってきている」との発言を、「77.3%」が「適切だとは思わない」と回答したと調査結果は示しています。  本日からFOMCが開催され、15日には政策金利が発表されます。昨日のコメントで0.75ポイントの利上げ観測も浮上したことに触れ、さすがにFRBは「そこまでの急激な利上げは回避するのではないか」と述べましたが、昨日は何と1.00ポイントの利上げ説まで出てきました。株価の大幅な下げと長期金利の上昇が「その異例な利上げ幅を如実に反映している」とも言えそうで、筆者も個人的は「0.75%の利上げもあり得る」との見方に変更しています。連日大きく下げている株価への配慮もあるだろうと予想していましたが、現時点ではFRBの尻には火がついている状況です。一気に大幅な利上げを行い「断固インフレを阻止する」という強い意志を見せる必要があります。今回は引き上げ幅と同時にパウエル議長の発言も大いに注目されます。ここでも強い決意が示されるのではないかと予想しています。本日も日本株の大幅下落は避けられないようです。ブルームバーグは、「ドル以外は全て売れ」との言葉が、トレーディングデスクでは合言葉になっているとの記事を掲載しています。 本日のドル円は133円50銭~135円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間の午後に135円19銭まで上昇したが、その後黒田日銀総裁の円安懸念発言から134円台半ばに。NYでは朝方133円台半ばまで売られたが、(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-14 10:15