【為替本日の注目点】米FOMC0.75%の利上げを決定

注目されたFOMCでは0.75%の大幅利上げを決めたものの、その後のパウエル議長の発言に株価は上昇。金利が低下したことでドル円は下落。利益確定の売りが優勢となり133円51銭までドルは反落。ユーロドルは続落し、1.0359まで売られる。ユーロ安が進んだことで、ユーロ円も139円台半ばまで下落。株式市場は3指数が揃って反発。ダウは6日ぶりに303ドル上げ、ナスダックは続伸。債券相場は急反発。長期金利は前日の3.7%台から3.28%台まで急低下。金は反発し、原油は続落。 5月小売売上高           →  -0.3% 5月輸入物価指数          →  0.6% 6月NY連銀製造業景況指数     →  -1.2% 6月NAHB住宅市場指数      →  67 ドル/円  133.51 ~ 134.96 ユーロ/ドル 1.0359 ~ 1.0469 ユーロ/円  139.52 ~ 140.78 NYダウ +303.70 → 30,668.53ドル GOLD +6.10 → 1,819.60ドル WTI ―3.63 → 115.31ドル   米10年国債 ―0.189 → 3.284% 本日の注目イベント 日   5月貿易統計 豪   豪5月雇用統計 英   BOE金融政策発表 英   BOE議事録 米   5月住宅着工件数 米   5月建設許可件数 米   6月フィラデルフィア連銀景況指数 米   新規失業保険申請件数  注目されていたFOMCでは、予想通り「0.75%」の利上げを決定しました。今回の利上げにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は1.5―1.75%となります。今回の大幅な利上げは1994年以来のこととなり、足元で続く高インフレを早急に鎮静化させるというFRBの強い意志を示したものと受け止められます。発表直後ドル円は上昇。株価は下げ、金利も上昇しましたが、その後のパウエル議長の会見を受け、落ち着きを取り戻した格好でした。  声明文では、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現のため、委員会はフェデラルファンド金利誘導目標のレンジを1.5-1.75%に引き上げることを決めたほか、誘導目標レンジの継続的な引き上げが適切になると見込む」としており、「委員会はインフレ率の目標を2%に戻すことに強くコミットしている」とも述べています。今回の決定に対し投票権を有する多くのメンバーは賛成しましたが、カンザスシティー連銀のジョージ総裁は0.5ポイントの引き上げを主張して反対票を投じています。  パウエル議長はその後の会見で「今回の75bpの引き上げが異例に大きな幅であることは明らかであり、この幅が普通になるとは見込んでいない」と説明しました。この発言を受け市場は、極めて大幅な利上げが立て続けに実施される可能性が選択肢から排除されたことを意味するとして好感し、金融市場全般が落ち着きを取り戻した形になりました。パウエル議長はまた、米経済の先行きについて、「ソフトランディングは容易ではないだろう」としながらも、「そこに至る道筋はある」として、「それが可能かどうか決める上で重要な役割を果たすものの、われわれがコントロールできない多くの要素が存在する」と付け加えています。(ブルームバーグ)  今回の利上げは、高水準で推移するインフレ率を鑑みた場合やむを得ない決定であったと思います。インフレ阻止を最重要課題に掲げているバイデン政権にとっても、0.5ポイント幅の利上げの選択肢はなかったと思われ、大幅利上げを支持するものと思います。パウエル議長はその後の大幅利上げの影響を最小限に抑えるため、「この幅が普通になるとは見込んでいない」という言葉を使ったのではないかと思います。投資家の利上げに対する極端な警戒感を和らげたことで、株式市場は反発し、大きく売られていた債券も買われ、金利が低下したことでドル円も前日の135円台半ばから2円以上もの下落を見せました。今後は、引き続きインフレ指標の動向と、それに伴い7月の会合での利上げ幅に関心が移ります。この日発表されたNY連銀製造業景況感指数や小売売上高の数字では明らかに減速傾向が見られ、住宅価格の上昇にもブレイキがかかってきた兆候があります。今後米経済成長が鈍化すれば、いずれインフレもピークアウトの兆しを見せる可能性が高いと思われますが、パウエル議長も「われわれがコントロールできない多くの要素が存在する」と述べていたように、ウクライナ情勢など依然として「不透明」な要素も多くあります。FRBの闘いはまだ終わりが見えません。  バイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行い、ウクライナの安全保障支援に10億ドル(約1340億円)を追加提供すると約束しました。ゼレンスキー大統領の強い要請に答える形で、「追加的なミサイル発射装置とその弾薬、海岸防衛用の兵器、ウクライナがドンバス地方の防衛作戦で必要とする高度ロケットシステムなど、安全保障の支援を米国がさらに10億ドル提供すると、ゼレンスキー大統領に伝えた」と述べました。(ブルームバーグ)また欧州では、独仏伊3カ国の首脳が本日ゼンレンスキー大統領を訪問し、会談を行うことを発表しています。一方中国の習主席は、ロシアのプーチン氏と電話会談を行い、「中国は主権や安全保障、主な懸念事項に関連する問題について引き続きロシアと相互に支持することに前向きだ」と語っています。  FOMCを終え一旦落ち着きを取り戻した金融市場ですが、相変らず値動きは荒っぽく、高ボラティリティーが続いています。ドル高傾向もこれで終わったわけではなく、米国のインフレのピークアウトの兆候が表れるまでは「Buy on dip」のスタンスは変わらないと思われます。 本日のドル円は133円30銭~134円80銭程度予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
注目されたFOMCでは0.75%の大幅利上げを決めたものの、その後のパウエル議長の発言に株価は上昇。金利が低下したことでドル円は下落。利益確定の売りが優勢となり133円51銭までドルは反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-16 10:15