【為替本日の注目点】米経済のソフトランディングは、非常に困難?

135円台で取り引きが始まったドル円は徐々に買いが優勢となり136円30銭まで上昇。135円台を固める動きとの観測も。ユーロドルは続伸。1週間ぶりに1.0606近辺までユーロ高に。株式市場は3指数が揃って小幅に反落。パウエル議長が議会証言で米国のリセッション入りする可能性を認めたことでプラス圏から下落。債券は反発。10年債利回りは3.15%台へと低下。金は横ばい。原油は3ドルを超える下落。米国のリセッション入りの可能性が高まり、需要が減速するとの見方から大幅下落。
ドル/円 135.68 ~ 136.30
ユーロ/ドル 1.0513 ~ 1.0606
ユーロ/円 142.86 ~ 144.24
NYダウ -47.12 → 30,483.13ドル
GOLD ―0.40 → 1,838.40ドル
WTI ―3.33 → 106.19ドル
米10年国債 ―0.119 → 3.156%
本日の注目イベント
トルコ トルコ中銀、政策金利発表
独 独6月製造業PMI(速報値)
独 独6月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏6月総合PMI(速報値)
欧 ECB経済報告
欧 EU首脳会議
英 英6月製造業PMI(速報値)
英 英6月サービス業PMI(速報値)
米 6月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
米 6月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
米 6月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
米 経常収支(1-3月)
米 新規失業保険申請件数
米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
「(リセッションの)可能性があるのは間違いない。われわれが意図する結果では全くない」パウエル議長は半年に1回行われる議会の公聴会でこの様に述べ、米経済がリセッションに陥る可能性があることを、これまでで最も認めた発言を行いました。また経済のソフトランディングについても「非常に困難だ」とも述べています。
冒頭証言では、高インフレを抑制するため「継続的な利上げが適切になるとわれわれは想定している。過去1年間インフレが上向きのサプライズとなっているのは明白であり、一段のサプライズが待ち受けている可能性もある。よって、われわれは入手するデータと変化する見通しに機敏に対応していく必要がある」と述べ、今後インフレがさらに高まる可能性があることにも言及しました。その後の質疑応答では、「別のリスクは、われわれが物価安定を取り戻すことができず、経済に高インフレを根付かせてしまうことだ」と答えています。(ブルームバーグ)パウエル議長は、高インフレを早期に抑制することをコミットしており、そのためには口には出さなかったものの、株価の下落など、ある程度の犠牲はやむを得ないとの考えを持っていると思われます。今月の会合で0.75ポイントという、1994年以来となる大幅な利上げを決めましたが、7月の会合でも同様に大幅な利上げを行う可能性が強まったと考えます。
この日は多くのFOMCメンバーの講演もありました。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、金融当局が利上げをバランスシート縮小と同時に進めることの効果を踏まえると、政策金利の誘導目標が3%に達した後はそれほど高い追加利上げは不要かもしれないと、ややハト派寄りの見解を示しています。一方、シカゴ連銀のエバンス総裁は7月のFOMCで、「利上げ幅75ベーシスポイントは会合で議論する上で非常に適切だと考える」との見方を示し、「今後のデータ次第では50bpの利上げでも差支えないということもあるだろう」と述べ、ややタカ派的な発言を行っています。7月会合は来月の26-27日に開催されます。それまでには、来週30日にPCEデフレータなどのデータが発表され、さらに7月13日には6月の消費者物価指数(CPI)も確認できます。米国では昨年3月あたりから物価上昇(前年同月比2.6%)が顕著となり、FRBが目標とする2%を超えてきました。新型コロナウイルスからの脱却で需要が大きく伸び、さらにその後に起きたサプライチェーンの混乱が拍車をかけ、極め付きは今年2月のロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の大幅上昇でした。いわば想定外の出来事が物価急上昇の引き金を引いたわけで、金融政策だけで急速に進むインフレを抑えきれないことは、パウエル議長自身が一番感じていることかもしれません。
フォンデアライエン欧州委員長は、ウクライナがEUの規則や規範、基準の70%を導入したと発言し、「ウクライナの民主主義が成し遂げた、とてつもない前進だ」とウクライナを称賛し、EUへの加盟について前向きな姿勢を見せました。同委員長は、「それは彼らがEUへの加盟を望んでいるという単純な理由だからだ」と語っています。
昨日ドル円は136円台後半まで上昇したことで、市場関係者の見方は140円により近づいて来たように思います。さらなる利上げに向うFRBと、動かないBOJの対比がより強調されており、警戒感はあるものの、方向的には140円に向っているのでしょう。
本日のドル円は135円20銭~137円程度を予想します。
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昨日の本欄で、「ドル円は朝方には136円83銭まで買われ、NYの高値を抜いています」とのコメントを書きましたが、正しくは136円71銭でした。筆者は24時間リアルタイムで取引されているブルームバーグの取引画面からその日の高値、安値を拾い出していますが、同社の画面に何らかの誤差があった模様です。訂正してお詫びいたします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
135円台で取り引きが始まったドル円は徐々に買いが優勢となり136円30銭まで上昇。135円台を固める動きとの観測も。ユーロドルは続伸。1週間ぶりに1.0606近辺までユーロ高に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-23 10:30