【為替本日の注目点】ドル円続伸し、137円を付ける

東京時間では上値の重かったドル円は、欧州市場から上昇に転じ、NYでは朝方に137円までドル高が進む。パウエル議長の発言が材料に。ユーロドルは続落。1.05を大きく割り込み、2週間ぶりとなる1.0435まで売られる。株式市場はまちまち。ダウは反発したものの、ナスダックとS&P500は小幅に続落。債券価格は上昇。長期金利は3.08%台まで低下。金は3日続落し、原油は3日ぶりに反落。 1-3月GDP(確定値)   →  -1.6% ドル/円  136.35 ~ 137.00 ユーロ/ドル 1.0435 ~ 1.0528 ユーロ/円  142.48 ~ 143.85 NYダウ +82.32 → 31,029.31ドル GOLD -3.70 → 1,817.50ドル WTI -1.98  → 109.78ドル   米10年国債 -0.082 → 3.089% 本日の注目イベント 日 5月鉱工業生産 中 6月製造業PMI 中 6月サービス業PMI 独 6月雇用統計 欧 ユーロ圏5月失業率 英 1-3月期経常収支 英 1-3月期GDP(改定値) 米 5月個人所得 米 5月個人支出 米 5月PCEデフレータ    米 5月PCEコアデフレータ 米 新規失業保険申請件数 米 6月シカゴ購買部協会景気指数  ドル円が再び「大台替え」を見せ、NY時間朝方には137円ちょうどを記録しました。1998年9月以来となる円安水準で、多くの投資家にとって未体験のゾーンに入っています。東京時間ではドルの上値が重く、136円台前半からじりじりと売られ、135円77銭近辺まで下げましたが、ここからはいつもの様に、ドル買いが優勢となり、欧州の昼からNYの朝方にかけて137円ちょうどまでドル高が進みました。この日は相関性に高い米長期金利は低下しており、やや相関性が薄れています。スイスの予想外の利上げや、FRB高官のタカ派へのシフトが鮮明なことなどが、円売りにつながっている模様ですが、昨日はパウエル議長の「よりタカ派的」な発言が材料になりました。  パウエル議長はECBがポルトガルのシントラで開いた年次フォーラムで、金融引き締について、「成長を落とし、供給が追いつけるようにすることが目的だ」とし、家計と企業の財務状況も力強い状況にあり、「米経済全般が金融引き締めに十分耐えられる状態だ」と述べ、今後も金利を引き上げる強い意志を示しました。また、FRBの金融政策が行き過ぎるリスクはあるかという質問に対して、「イエス」と答え、「それよりも大きなリスクはインフレを鎮静化するための行動が足りないことだ」(ブルームバーグ)と述べ、高インフレが続くことが米経済にとって最大のリスクであるとの認識を示しました。  7月のFOMCでの利上げは既定路線となっており、市場の関心はその引き上げ幅に移っています。本日発表されるPCEデフレータや、7月13日発表予定の6月のCPIなど、インフレ指標が大きな判断材料になるとみられますが、個人的には今月の0.75ポイントの利上げに続き、7月も0.75ポイントの利上げに踏み切るものと予想しています。クリーブランド連銀のメスター総裁はCNBCの番組で、「インフレ抑制のための利上げは開始したばかりだ」と述べ、「政策金利を年内に3-3.5%へ引き上げ、来年は4%を若干上回る水準が望ましい」との見方を示し、「リセッションリスクはある」と指摘した上で、「金融政策を引き締めていく」と言明しました。NY連銀のウイリアムズ総裁も「次回の会合に関しては、50から75bpが議論されるのは明らかだ」とし、「政策金利を引き上げなければならないというのが私の見解で、さらに言えば、利上げは迅速に行う必要がある」と語っています。  NATOは今後10年の指針となる「戦略概念」を採択するとともに、首脳宣言を発表しています。「戦略概念」では、これまで「戦略的パートナーシップ」との位置づけであったロシアを「最も重要で直接の脅威」と定義しました。また、これまで触れてこなかった中国にも言及し、「中国は体制上の挑戦」と定義し、NATOのストルテンベルグ事務総長は、「中国の威圧的な政策は、われわれの利益、安全、価値に挑んでいる」と述べています。さらに、スウェーデンとノルウェーのNATO加盟については、トルコが一転両国の加盟を支持することで合意したことから来年までには加盟することになりました。これに関しても同事務総長は、「加盟で両国はより安全になり、NATOはより強くなる」と語っています。一方ロシアは加盟に反発しており、「拡大はNATO自らの安全保障の強化をもたらさず、事態を不安定化する」と述べています。(日経新聞)  137円まで上昇したドル円は、引き続き「1歩後退、2歩前進」する動きを継続しています。特にNY市場ではドル円を動かす材料が多いこともありますが、日米金利差や金融政策の差に対する「感応度」が高いように思えます。ここまで来たら140円前後まで行くしかないようにも思えますが、上でも述べたように、多くの投資家にとって未体験の水準です。警戒感を持ちながら慎重に取引を行っていくことが肝要です。方向感に自信がないようなら、「見るも相場」に徹するのも、ありかと考えます。本日のドル円は135円70銭~137円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間では上値の重かったドル円は、欧州市場から上昇に転じ、NYでは朝方に137円までドル高が進む。パウエル議長の発言が材料に。ユーロドルは続落。1.05を大きく割り込み、(イメージ写真提供:123RF)
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2022-06-30 10:00