【為替本日の注目点】米長期金利一時3%を割り込む

ドル円は緩やかに下落。米長期金利が一時3%の大台を割り込んだこともあり、135円56銭まで売られる。ユーロドルは続落。1.0385まで売られ、再び下値を模索する流れに。株式市場は続落。ダウは253ドル下げ、ナスダックとS&P500は4日続落。債券は続伸。長期金利は一時3%を割り込み、3.01%台で取引を終える。金は4日続落。原油はOPECプラスが8月の生産を引き上げることを決めたことで、4ドルを超える下げに。
5月個人所得 → 0.5%
5月個人支出 → 0.2%
5月PCEデフレータ → 0.6%
5月PCEコアデフレータ → 0.4%
新規失業保険申請件数 → 23.1万件
6月シカゴ購買部協会景気指数 → 56.0
ドル/円 135.56 ~ 136.30
ユーロ/ドル 1.0385 ~ 1.0489
ユーロ/円 141.37 ~ 142.33
NYダウ -253.88 → 30,775.43ドル
GOLD -10.20 → 1,807.30ドル
WTI -4.02 → 105.76ドル
米10年国債 -0.076 → 3.013%
本日の注目イベント
日 5月失業率
日 4-6月期日銀短観
中 財新6月製造業PMI
独 6月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
欧 S&Pグローバルユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
英 6月製造業PMI(改定値)
英 5月消費者信用残高
米 6月ISM製造業景況指数
米 S&Pグローバル6月製造業PMI(改定値)
米 6月自動車販売台数
2022年も前半を終え、今日から後半に入ります。振り返れば、2月24日ロシアによるウクライ侵攻を境に金融市場は大きく動揺し、混乱しました。2022年2月24日のロシアの暴挙は今後の歴史に大きな汚点を残したことになります。
この半年で、為替も株も金利も大きく変貌し、水準を変えています。主要指数を昨年末とざっと比較してみると、ドル円は昨年末では115円10銭で取り引きを終えており、今週137円まで上昇したことで、21円90銭(19%)ものドル高円安が示現しました。同様に、NYダウは3万6338ドルから6月19日には2万9888ドルで6450ドル(約17.7%)、米長期金利は1.51%から6月15日には3.5%までほぼ倍になっています。日本でも日経平均株価は2万8791円から2万5000円台(約13%)まで下げ、長期金利は0.071%から0.25%前後まで上昇しました。いずれも半年間という期間の値動きとしては極めて大きいと言えます。
米国では、コロナからの脱却で急速に需要が高まり、そこにサプライチェーンの混乱が加わり、今度は供給不足も加わりました。需給ギャップの急拡大が物価上昇につながり、インフレが急速に高まりました。そして2月には上記ロシアの蛮行が加わり、原油をはじめとするエネルギー価格の上昇がさらにインフレを加速させ、現在もその過程にいます。今やインフレは世界共通の課題となり、さすがの日本もその例外ではないと考えます。日本の消費者物価指数(CPI)も4月、5月と、2カ月連続で2%を超えて来ました。一方米国では昨年3月あたりから物価上昇が始まり、この時のCPIは前年同月比で2.6%でした。すでにインフレの勢いは増していたにもかかわらず、FRBは「一時的」との判断をしており、その後の見通しも誤りました。そんな中、セントルイス連銀のブラード総裁は昨年11月16日の講演で「インフレのリスクを適切に管理するためには、FOMCは次の会合でよりタカ派的な方向に進むべきだ」、「これまでも提案してきたが、議論したいもう一つの案は、テーパリングが終わった時点で決定を待たずにバランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)を認めることだ」、「これを行えば、若干ながらよりタカ派的な政策となると思う」と述べ、早くから早期の金融政策の転換を主張してきました。パウエル議長もその後は、自身の見通しが誤っていたことを認めていますが、火がついたインフレの勢いを出来るだけ早く鎮火させるかに躍起になっている状況です。また、元財務長官のサマーズ氏もかなり早い時期にインフレの高進を警告していたと記憶しています。
そのインフレの動向を示すPCEデフレータは市場予想よりも低下していました。コアデフレータも同様に予想を下回っており、この様な結果が発表されると通常、株価は上昇し、債券も買われ、金利低下からドル円は下落すると想定されます。昨日の各市場の反応は、株式以外は想定通りの動きを見せましたが、株式市場は下落しています。NYからは「インフレよりもリセッションへの懸念が市場では強まっている」とのコメントがあり、株価の下落はそちらに反応したようです。すでに多くの経済指標が予想を下振れする結果になるなど、米経済には急ブレイキがかかってきたのは明白です。パウエル議長を始め、FRB執行部はタカ派色を強めていますが、筆者は7月の会合でも0.75ポイントの利上げを予想していますが、13日に発表される6月のCPIの数次次第では0.5ポイントの利上げ予想に「修正」する可能性も出て来ました。
本日のドル円は135円~136円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は緩やかに下落。米長期金利が一時3%の大台を割り込んだこともあり、135円56銭まで売られる。ユーロドルは続落。1.0385まで売られ、再び下値を模索する流れに。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-01 10:15