【上海IPO】調味料など食品メーカーの上海宝立食品科技が6日に公募開始、4001万株発行予定

上海証券取引所のメインボードへの上場を目指している、上海宝立食品科技(603170/上海)が7月6日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4001万株を発行予定で、公募価格は5日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
同社は2001年設立の民営企業で、17年に株式会社化した。食品調味料の研究開発、生産、技術サービスを主業務としており、市場に寄り添った研究開発能力を生かして飲食企業、食品メーカー、一般家庭消費者向けに質の高い製品を提供している。複合調味料、手軽に料理が作れるソースパウチ製品、衣用の粉末、パン粉、漬け込み調味料、ドレッシング、ジャム、果物の缶詰、即席食品・飲料などが主な製品で、取扱商品は1000種類を超えている。
また、ケンタッキーフライドチキン、マクドナルド、ディコス(四川省発祥のファストフード大手)、バーガーキング、ドミノピザ、聖農食品など国内外の大手飲食チェーン店、食品加工メーカーとの取引関係を持っている。
中国の調味料市場は年々安定した成長を遂げており、市場規模は2012年の2012億元から20年には3950億元と年平均8.80%のペースで増加した。一方、地域によって味付けや習慣が大きく異なることもあり、中国の調味料業界ではなおも地方ブランドや工房レベルの小規模企業が多く存在しており、全国的な知名度やシェアを持つ大型企業は少ない状況だ。2019年における業界トップ10社の市場シェアが27.1%と、日本の36.5%、米国の61.6%に比べると低い水準にある。今後消費レベルや健康意識の向上によってより高品質で健康な調味料が求められるようになるのに伴い、中小企業の淘汰が進んで業界の集約度が高まるものと見られる。この流れの中で、同社は全国的に知名度のある調味料メーカーとしてシェアの拡大を目指していくことになる。
中国国内ではまた、複数の調味料を組み合わせた複合調味料市場が急速に成長しており、市場規模は2012年の495億元から18年には1113億元と年平均14.46%で拡大、20年には1500億元に達したものとみられている。その背景にはチェーン経営の飲食店の増加、生活リズムが速まる中でできるだけ簡便に料理を作りたいという家庭のニーズなどがあり、高齢者向けの簡便な調理ニーズも相まって今後も需要は順調に伸びていく見込みだ。1人あたりの複合調味料に対する支出額は2016年時点で約9ドルと、米国の85.5ドル、日本の88.7ドルに比べて遥かに低くなっており、その伸びしろの大きさが伺える。
同社は市場のニーズを汲み取る力に長け、充実した研究開発体系を持っていること、中国の複合調味料分野における先発企業として高いブランド力を持っていること、製品のラインナップが豊富であること、上海市や山東省、浙江省に先進的な生産拠点を設けていること、万全な安全管理体制を構築していることなどを強みとする一方で、資金調達力が弱く生産規模の拡大がニーズの成長に追いついていないこと、主な顧客が飲食チェーン店と食品メーカーで、一般消費者向けのブランド力をまだまだ弱いことがボトルネックとなっている。
また、食品を扱っていることから、衛生や品質などで問題が発生すれば業績に甚大な影響が生じる可能性があること、原料価格の上昇による利益率の低下、新型コロナの感染再拡大に伴う飲食店の業績悪化といった経営上のリスクも存在する。
2021年12月期の売上高は15億7770万元(前期比74.37%増)、純利益は1億8541万元(同38.24%増)。22年1〜3月期の売上高は4億2396万元(前年同期比31.94%増)、純利益は4185万元(同18.14%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
上海証券取引所のメインボードへの上場を目指している、上海宝立食品科技(603170/上海)が7月6日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4001万株を発行予定で、公募価格は5日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-04 22:45