【為替本日の注目点】WTI原油価格100ドルを割り込む

ドル円は東京時間朝方に136円37銭近辺まで買われたが、NYでは米国のリセッション懸念から長期金利が低下し、135円台半ばまで下落。ユーロドルも欧州景気のリセッション入りの可能性が台頭し、ユーロが大きく下落。一時は1.0236までユーロ安が進み、2002年12月以来の水準を付ける。ユーロ円も139円台を割り込む場面も。株式市場はまちまち。ダウは129ドル下落したものの、金利低下を好感し、ナスダックは129ポイント上昇。債券は買われ、長期金利は2.80%台へ低下。金は6営業日続落。先週末比37ドル安の1763ドル台で引ける。原油も大幅に下落。世界的にリセッション入りする可能性が意識され、需要の減少懸念から9ドル近く売られ100ドルの大台を割り込む。 5月製造業受注  →  1.6% 5月耐久財受注  →  0.8% ドル/円    135.53 ~ 136.10 ユーロ/ドル  1.0236 ~ 1.0301 ユーロ/円   138.94 ~ 140.18 NYダウ  -129.44 → 30,967.82ドル GOLD   -37.60 → 1,763.90ドル WTI     -8.93 → 99.50ドル 米10年国債 -0.075 → 2.805% 【本日の注目イベント】 独 5月製造業新規受注 欧 ユーロ圏5月小売売上高 米 6月ISM非製造業景況指数 米 FOMC議事録(6月14-15日分) 米 6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) 米 6月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶 今週はどちらかと言えば、ドルの上値は重く、ひょっとしたら下値を試す展開もあるのではないかと予想していましたが、昨日の東京時間朝方にはドルが買われ、一時は136円37銭前後までドル高が進みました。バイデン政権が中国からの輸入品に対して関税引き下げを今週にも発表するとの報道に反応したようですが、ここまでドルが上昇するとは、想定外でした。そもそも中国からの関税引き下げは、インフレ抑制の一つの手段であり、実際に輸入価格が下がれば、FRBの積極的な利上げスタンスは後退するはずで、むしろドル売り材料ではないかと思います。結局、この水準が昨日のドルの高値で、NYでは135円台半ばまで押し戻される場面もありました。 昨日のマーケットでは米国のリセッション入りの可能性がさらに意識され、WTI原油価格が先週末比9ドル(8.2%)近い下げを見せています。米国だけではなく、世界景気がリセッション入りするとの見方から原油需要が大きく減少するといった見立てのようです。さらに金も大きく売られ、昨年12月以来となる1763ドル近辺で取り引きを終えています。こちらはユーロドルなどで、ドルが大きく買われたことから、ドルの代替品としての金の価値が下がったということでしょうか。主要通貨が対ドルで売られたことで、ユーロ円など、クロス円は総じて売られるなど、なかなか複雑な動きを見せた1日でした。 オーストラリア準備銀行(RBA)は昨日の午後、市場予想通り政策金利を0.5ポイント引き上げ、1.35%にすることを決めました。2会合連続の大幅利上げです。利上げ決定後は、事前に予想されていたこともあり、豪ドル米ドルと、豪ドル円はやや売られましたが、ロウ総裁は政策発表後に公表した声明で、「政策委員会は今後数カ月の豪州の金融正常化プロセスでさらなる対応を取るつもりだ。豪州のインフレ率が徐々に目標水準に戻るよう確実を期するために必要な行動にコミットしている」と説明しています。さらに声明ではインフレは年内にピークに達する見通しであることも発表しており、今後の利上げの大きさとタイミングの決定は、データを注視するとしています。 NATOはスウェーデンとフィンランドの加盟手続き開始を正式に承認しました。ストルテンベルグ事務総長は「歴史的な日だ」とコメントし、「ロシアは欧州の平和を粉々にした。従って、この重要な時に団結することが重要だ」と述べています。ただ、両国のNATO加盟に一転して賛成したトルコが、テロリストと見なす容疑者の引き渡しに両国が応じなければ加盟を阻止すると、あらためてけん制しています。 ドル円は先月29日に137円を付けた後、一進一退の動きが続いています。134円台後半から136円台半ばで推移しており、一応値幅はそこそこありますが、5月の末から6月の初めにかけて見せた、「ドル上昇の勢い」は見られません。高値警戒感もあろうかと思いますが、加えて米国のリセッション入りの可能性も強まり、ドル高の勢いを弱めているとみられます。この先は、一にも二にも、今週末の雇用統計の結果と6月のCPIが極めて重要で、その結果次第で、今月のFOMCでの「利上げ幅」も決まってきそうです。個人的には依然として0.75ポイントの利上げを予想し、9月の会合では0.25ポイントの利上げ、あるいは場合によっては様子見になるのではとみています。ただ、昨日のWTI原油先物市場のように、各市場の動きも大きく、長期的な予測は難しくなっているようです。投資家にとっても、利益を取れるチャンスではあるものの、一夜に損出が拡大するリスクもあるということです。 本日のドル円は134円70銭~136円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間朝方に136円37銭近辺まで買われたが、NYでは米国のリセッション懸念から長期金利が低下し、135円台半ばまで下落。ユーロドルも欧州景気のリセッション入りの可能性が台頭し、ユーロが大きく下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-06 10:00