【為替本日の注目点】ユーロドル約20年ぶりの安値に

朝方には一時135円を割り込んだドル円はその後反発。長期金利が上昇し、ユーロやポンドでドル高が進んだことも影響し、136円前後まで上昇。ユーロドルは続落し、1.0162までユーロ安が進む。2002年12月以来となる安値を付け、パリティーも視野に。ポンドドルも大きく下落。主要閣僚の2人が辞任し、政府の要職に就いていた保守党議員も30人余りが辞任したことで、2年4カ月ぶりの安値を記録。株式市場は3指数が揃って上昇。債券は大きく反落。長期金利は前日比12bp上昇し、2.92%台に。金は7日続落し、1736ドル台に。欧州通貨に対してドル高が進んでいることで売りが優勢に。原油も続落し、98ドル台に。
6月ISM非製造業景況指数 → 55.3
6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 52.7
6月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 52.3
ドル/円 134.95 ~ 136.01
ユーロ/ドル 1.0162 ~ 1.0201
ユーロ/円 137.27 ~ 138.49
NYダウ +69.86 → 31,037.68ドル
GOLD -27.40 → 1,736.50ドル
WTI -0.97 → 98.53ドル
米10年国債 +0.123 → 2.928%
本日の注目イベント
豪 5月貿易収支
日 5月景気先行指数(CI)
日 5月景気一致指数
中 6月外貨準備高
独 5月鉱工業生産
欧 ECB議事要旨(6月開催分)
米 6月ADP雇用者数
米 5月貿易収支
米 新規失業保険申請件数
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米 ウォラーFRB理事、インタビュー
加 5月貿易収支
為替市場の主役がドル円から、ユーロドルに移ってきた様相を呈しています。ユーロドルは続落し、NYでは1.0162までユーロ安ドル高が進んできました。市場では等価(パリティー)割れは時間の問題との観測も出始めており、もし1.0を割り込めば、ドル円よりも数値が小さくなります。ユーロ圏では6月のインフレ率が「8.6%」と過去最高を記録し、今月の会合では0.5%の利上げの可能性が浮上していましたが、それ以上にロシアによるウクライナ侵攻の影響が大きく、景気後退がユーロ売りにつながっています。FRBが積極的に利上げを行うことでドル高が続くなか、景気減速からユーロ売りが優勢となっていますが、ユーロのさらなる下落は域内のインフレ高騰にもつながるため、ECBとしても金融政策のかじ取りが難しくなります。対ユーロで、ドルが大きく買われていることから、ドルとの逆相関が高い「金」は連日売られ、昨日のNYでは一時1730ドル台まで下落。今年3月に記録した2078ドルからは16.7%も下落しています。もともとインフレには抵抗力があるとして買われてきましたが、一方で金利が付かないこともあり、インフレ懸念が後退したり、ドルが買われる局面では売られる傾向があります。
6月14-15日に開催されたFOMCの議事録が公表されました。この会合では0.75ポイントの利上げが決定され、パウエル議長もタカ派的な姿勢を強めた会合だったこともあり、その内容が注目されていました。議事要旨では、「現在FOMCが直面する著しいリスクは、必要に応じて政策スタンスを調整するというFOMCの決意に対して国民が疑問を抱き始めた場合に、高インフレが定着しかねないということだと、多くの参加者が判断した」と記されています。また当局者らは、「政策引き締めは経済成長ペースを一時的に減速させ得るが、最大限の雇用を持続的なペースで達成するためには2%へのインフレ率回帰が極めて重要」との見解を示し、その上で「高いインフレ圧力が続くようであれば、さらに抑制的なスタンスが適切となり得ることの認識を示した。インフレ期待が固定されなくなった場合、インフレ率をFOMCの目標に再び引き下げる上でより多くの代償が必要になる」と指摘されていました。(ブルームバーグ)参加者の多くは7月会合で50ないし75bp引き上げることを支持しており、これがパウエル議長の発言にも影響したとみられます。独アリアンツの首席経済顧問を務めるエラリアン氏は議事録の公表を受けて、「インフレが定着する可能性に当局がタイミングよく気付き行動してさえいれば良かったのだが」とのコメントを残していました。
英ジョンソン首相が窮地に立たされています。前日2人の主要閣僚が辞任したジョンソン政権から、政府の要職に就いていた保守党議員が次々と辞任し、その数は30人余りに達したようです。ジョンソン首相は来週にも与党・保守党党首としての信任投票に直面する可能性もあるようですが、首相は「続ける」と言明しています。首相の側近の一人であるシャップス運輸相も退陣を求めている(ブルームバーグ)ようで、政治的な混乱が続くことからポンドドルは2年4カ月ぶりの安値を付けています。
本日はADP雇用者数の発表があり、さらにFOMCメンバーの中でもタカ派に属するブラード・セントルイス連銀総裁とウォラーFRB理事の発言が注目されます。ドル円は135円~136円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
朝方には一時135円を割り込んだドル円はその後反発。長期金利が上昇し、ユーロやポンドでドル高が進んだことも影響し、136円前後まで上昇。ユーロドルは続落し、1.0162までユーロ安が進む。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2022-07-07 10:15