【上海IPO】軍用レーダー部品などを生産する南京国博電子が11日に公募開始、4001万株を発行予定

 上海証券取引所の科創板への上場を目指している、南京国博電子(688375/上海)が7月11日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4001万株を発行予定で、公募価格は70.88元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。  同社は2000年設立の国有企業で、20年に株式会社化した。アクティブフェーズドアレイレーダーのT/RモジュールおよびRF集積回路関連製品の研究開発、生産、販売を主業務としている。軍用、民間用両分野をカバーし、アクティブフェーズドアレイレーダーのT/Rモジュールは主に爆弾などの誘導、レーダー探知分野に、ガリウムヒ素RF集積回路は主にモバイル通信基地局やモバイル通信端末、無線LANに応用されている。製品の量産化を実現しており、中国国内の関連製品業界におけるリーディングカンパニーとなっている。21年12月期の売上比率は、T/Rモジュールが67.41%、RFモジュールが17.54%、RFチップが13.64%。  中国は年々軍事予算を拡大し、軍備の近代化を急速に進めている。2020年に中国が保有する軍用機の数は3210機で、世界の6%を占めた。戦闘機ではレーダーを装備していない第3世代戦闘機から第4、5世代戦闘機への置き換えが段階的に進められており、将来的に機載レーダー市場は300億元に達する見込みだ。哨戒機のレーダー需要も合わせると、中国の軍用機搭載レーダー市場は440億元まで拡大すると見られている。  また、中国海軍が保有する艦船数は714隻と米海軍の415隻を大きく凌ぐ一方で、総トン数で見ると米国の約320トンに対し110トンにとどまっており、今後空母をはじめとする大型艦船の建造が急ピッチで進められることが予測される。これに伴い、中国の艦載レーダー市場は将来的に490億元に達する見込みだ。このほか、軍用衛星通信市場の拡大、5G通信の普及に伴う基地局の整備や設備の更新ニーズなど、同社の製品を取り巻く市場環境は良好と言える。  同社は先進的な技術力と製品のイノベーション力、電子・通信・コンピューター・化学・材料など学際的な複合型人材チームによる高い研究開発力、軍用分野で重要な地位を確保し、軍需工業グループ傘下の研究所やメーカーが主な顧客となっていること、RF分野では第2〜5世代モバイル通信基地局に広く利用され、欧米や日本のメーカーと同じステージで競争関係にあることなどを強みとしている。一方で、ブランド力、資本の規模、生産能力、製品の種類といった点で世界的な大型企業に比べると一定の差がある。また、RF分野では中国国内業界をリードしているものの、世界的な認知度はまだまだ低いといった点が課題だ。  2021年12月期の売上高は25億881万元(同13.40%増)、純利益は3億6816万元(同19.46%増)。22年1〜3月期の売上高は、6億464万元(前年同期比68.21%増)、純利益は1億31万元(同67.63%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
上海証券取引所の科創板への上場を目指している、南京国博電子(688375/上海)が7月11日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4001万株を発行予定で、公募価格は70.88元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-07 21:45