【為替本日の注目点】ドル円24年ぶりに137円台後半まで上昇

ドル円は東京市場でのドル高の流れを受け続伸。NYでは137円75銭まで買われ、24年ぶりのドル高水準を記録。ユーロドルも続落し、こちらは約20年ぶりとなる1.0034までドル高ユーロ安が進む。株式市場は反落。ダウは164ドル下げ、ナスダックは6日ぶりに反落。債券は反発。長期金利は3%を割り込み、2.99%台に低下。金と原油は売られる。 ドル/円  137.26 ~ 137.75 ユーロ/ドル 1.0034 ~ 1.0103 ユーロ/円  137.88 ~ 138.84 NYダウ  -164.31 → 31,173.84ドル GOLD -10.60  → 1,731.78ドル WTI -0.70 → 104.09ドル  米10年国債 -0.088 → 2.993% 本日の注目イベント 豪   豪6月NAB企業景況感指数 日   イエレン財務長官、訪日(13日まで)、鈴木財務大臣と会談 独   独7月ZEW景気期待指数 英   ベイリー・BOE総裁講演 米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演  ドル全面高の展開が続いています。ドル円は再び137円台に乗せ、NYでは137円75銭までドル高が進み、実に1998年9月以来の水準を付けました。ドルは対ユーロでも買われ、ユーロドルは1.0034まで続落。こちらは2002年12月以来という水準です。ユーロドルは「パリティー」に近づいており、ここまで来たら一度はパリティー割れの可能性が高いと思われます。ドル円よりもユーロ円の方が「絶対値」が小さいという状況が発生するかもしれません。  ドル高の流れは先週末のNYで良好な雇用統計が発表されたことが「伏線」となっており、FRBの大幅利上げを正当化する好調な結果がドル買いを促しています。東京市場の昨日の11時前には日銀支店長会議で、黒田総裁が「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」と述べたことが伝わると、ドル円は137円台に乗せ、137円28銭まで上昇しました。黒田総裁の「定型文」が円安を加速させているとの印象は否定できず、これまで繰り返してきた言葉を口にするだけで円が売られる状況です。日米の金融政策の違い、円とドルの金利差、さらには日本の貿易赤字の定着といった構造的な要因など、多くのドル買い材料が揃っています。常に「高値警戒感」はあるものの、上記ユーロドルと同じように、ここまで来たら140円という数字を1回は見ないわけにはいかないのかもしれません。  FOMCメンバーの発言も多くありました。アトランタ連銀のポスティック総裁は記者団との電話会見で、「経済が次の行動に耐えられると確認している。0.75ポイントの利上げを支持する」と改めて述べています。同総裁は先週すでに、0.75ポイントの利上げを「完全に支持する」との発言を行っています。セントルイス連銀のブラード総裁はAP通信とのインタビューで、「今は強いインフレがあるが、問題は景気の腰を折らずにインフレ率を2%に戻せるかどうかだ。私は可能だと考えている」と述べ、「過去2四半期に米国がリセッションにあったようにはまず見受けられない」と話しています。一方6月の会合で0.75ポイントの利上げに反対票を投じたカンザスシティー連銀のジョージ総裁はミズーリ州の講演で、「政策金利の軌道についての意思伝達は、そこに至るまでの速さよりも、はるかに重要だろう。金利をあまりに速く動かすとオーバーステアとなる可能性を高める」と、金融政策の急速な引き締めが裏目に出ることもあり得る警鐘を鳴らしていました。(ブルームバーグ)  インフレ率に関して、NY連銀は消費者の3年後のインフレ期待は、昨年10月には「4.2%」に達していましたが、5月は「3.9%」となり、6月には「3.6%」に鈍化したという「最新調査」を公表しています。  支持率が低下しているバイデン大統領に、さらに強い「逆風」が吹いています。NYタイムズとシエナ大学が実施した世論調査によると、民主党を支持する回答者の64%は、次回の大統領選で別の候補者を希望し、そのうちの3分の1はバイデン氏の年齢を理由に挙げています。また32%がバイデン氏の仕事ぶりを理由に挙げたほか、10人中1人が進歩的な姿勢が不十分と回答しています。ブルームバーグは「インフレが高進し、バイデン氏の仕事ぶりに厳しい見方が広がる中、ホワイトハウスが政治的な逆風に直面している状況が浮き彫りとなった」と論評しています。  137円前後では高値警戒感から、ある程度の抵抗もあり、一気にドルが上昇しないと予想していましたが、ドル円の上昇は黒田総裁の発言を材料に137円台後半まで上昇しています。水準が水準だけに、ここからロングで追随すべきかどうか、ますます悩むところです。本日は来日するイエレン財務長官が鈴木財務大臣と午後1時45分に会談する予定です。ロシアに対する制裁の強化などが話し合われるとみられ、少なくとも「協調介入」などについて話し合うことはないと思われます。現在のドル高について何らかの発言はあるかもしれませんので注意は必要ですが、仮にあったとしても米国のインフレ状況を考えると、ドル売り材料となる発言は想定しにくいと考えます。本日のドル円は136円50銭~138円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京市場でのドル高の流れを受け続伸。NYでは137円75銭まで買われ、24年ぶりのドル高水準を記録。ユーロドルも続落し、こちらは約20年ぶりとなる1.0034までドル高ユーロ安が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-12 09:45