【為替本日の注目点】ユーロドル、パリティ割れ目前

前日137円75銭まで上昇したドル円は反落。米長期金利の低下や、債券市場で再び逆イールドが発生したことから136円47銭まで売られた。終盤にはやや買い戻しも。ユーロドルはパリティを探る動きが継続。独ZEW期待指数が大幅に悪化したこともあり、欧州市場では1.0005までユーロ安が進む。NYでは1.0034が安値。株式市場は続落。プラス圏で推移していたダウは午後に売られ192ドル安と3日続落。債券は続伸。長期金利は2.96%台まで低下。金は続落。原油は景気減速懸念が重しとなり前日比8ドルを超える大幅下落。
ドル/円 136.47 ~ 136.88
ユーロ/ドル 1.0032 ~ 1.0074
ユーロ/円 137.14 ~ 137.69
NYダウ -192.51 → 30,981.33ドル
GOLD -6.90 → 1,724.80ドル
WTI -8.25 → 95.84ドル
米10年国債 -0.024 → 2.969%
【本日の注目イベント】
豪 7月ウエストパック消費者信頼感指数
中 6月貿易収支
独 6月消費者物価指数(改定値)
欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
英 5月鉱工業生産
英 5月貿易収支
米 6月消費者物価指数
米 6月財政収支
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 バイデン大統領、中東歴訪
加 中銀政策金利発表
前日のNYでは137円75銭までドル高が進み、昨日の東京でも137円53銭近辺までドルが買われ堅調に推移していたドル円でしたが、NYでは米長期金利が低下し、2年債と10年債の利回りが逆転する「逆イールド」が再び発生したことから、ドル円は136円台半ばまで売られています。やはり今後急速な利上げから米景気がリセッション入りした場合、ドルが売られる公算が高いと言えるようです。同時に足下では「1歩後退・2歩前進」する展開を踏まえて、ドルロングで攻める姿勢を維持しながらも常に「高値警戒感」を意識する必要もあります。
昨日の午後、来日中のイエレン財務長官は鈴木財務大臣と1時間半にわたって会談を行い、会談後に共同声明を発表しています。声明文では、「為替市場に関して緊密協議し、為替の問題について適切に協力する」と記されているに留まり、予想通り、足元の水準を「円は安過ぎる」といった認識や、「協調介入」についての話はなかったようです。両者の認識の違いは会談後のコメントからも推測できそうです。鈴木財務大臣は「日本政府としては最近の円安を懸念している」と説明したのに対し、イエレン財務長官からは特段コメントはなく、ロイター通信などによると、イエレン氏は為替介入について、「まれで例外的な状況でしか正当化されない」と、慎重な見解を示した(日経新聞)とされています。
高インフレを早期に抑え込む必要がある米国にとって、ドル高はむしろ「追い風」となっており、インフレ率抑制に一役買っている部分もあります。その点からも協調介入はそう簡単ではなく、米国の理解を得るのは難しい状況かと思います。今後さらに円安が進んだ際に採れる方法は、事前に米国に通知を行った上で、「単独介入」に踏み切ることかと考えます。その水準が140円なのか、150円なのかは分かりませんが、日本が単独で市場介入する可能性はあると考えています。もちろんその場合には「為替操作国」に認定されるリスクはあります。
興味深い世論調査が出ています。前日、次期大統領選で「民主党を支持する回答者の64%は、次回の大統領選で別の候補者を希望し、そのうちの3分の1はバイデン氏の年齢を理由に挙げています。また32%がバイデン氏の仕事ぶりを理由に挙げたほか、10人中1人が進歩的な姿勢が不十分と回答した」という調査結果を発表したNYタイムズとシエナ大学の世論調査は、共和党支持者に対しても行われました。それによると、共和党を支持する有権者の半数近くが、2024年大統領選でトランプ氏以外の候補者に投票する考えを示していることが明らかになりました。トランプ氏支持が49%と、依然として他の5人の候補者に対しリードしているものの、46%が対立候補のうちの1人に投票すると回答しています。5人の中ではフロリダ州のデサンティス知事が25%と最も高いようです。
また共和党支持者でテスラCEOのイーロン・マスク氏は、「トランプ氏は2024年の大統領選への出馬を断念し、デサンティス氏に道を譲るべきだ」と主張しています。マスク氏は、現在76歳のトランプ氏が再選されれば、2期目の終わりには82歳にすることから、「高齢」であることを理由に挙げています。マスク氏は、これまでのインタビューで「誰を支持するかはまだ決めていない」としていましたが、今回1億人いると言われるフォロワーに対し、自身の考えをツイッターに投稿しました。(ブルームバーグ)バイデン氏もトランプ氏も、いずれも「年齢」が大きな壁になっていると考えられますが、ロシアのウクライナ侵攻で、世界的にも軍事衝突の可能性が高まる中、米大統領の「役割の大きさ」が改めて意識されていることが背景と思います。
本日は21時半に6月の米CPIが発表されます。事前予想では5月の「8.6%」を上回る「8.8%」が見込まれており、コアCPIは前月よりも低下するとみられています。どちらにもぶれる可能性はありますが、予想値が高いだけに、予想を下回った場合の反応には注意したいところです。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
前日137円75銭まで上昇したドル円は反落。米長期金利の低下や、債券市場で再び逆イールドが発生したことから136円47銭まで売られた。終盤にはやや買い戻しも。ユーロドルはパリティを探る動きが継続。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-13 10:00