【深センIPO】農薬メーカーの農心作物科技が19日に公募開始、2500万株発行予定

深セン証券取引所への上場を目指している農心作物科技(001231/深セン)が7月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2500万株を発行予定で、公募価格は18日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
同社は2006年設立の民営企業で、19年に株式会社化した。農薬製剤製品の研究開発、生産、販売を主業務としており、主な製品は殺虫剤、殺菌剤、除草剤となっている。2020年の売上高は中国の農薬製剤業界で第21位。
世界の人口は2010年の69億2200万人から19年には76億7400万人まで増え、50年には97億人に達するものとみられている。これに伴い食物の需要も増加していき、50年の食物需要を現在より30%増える見込みだ。人口増に伴い世界の人口1人あたり耕地面積は減少の一途を辿っており、食物需要の増加を支えるためには農作物の生産効率を少なくとも70%高める必要があるとの試算がある。一方、毎年病害虫による食糧作物の損失は収穫量の30%に上っており、病害虫による被害を低減して生産量を増やす上で、農薬製剤が大きな役割を担っている。
世界の作物用農薬市場は2011年の461億4400万米ドルから20年には620億3600万ドルと年平均3.34%のペースで増加しており、23年には676億300万ドルに達すると予測されている。中国ではグリーン農業、農薬の乱用を回避する取り組みなどにより13年の180万7700トンをピークに農薬使用量自体は減っているものの、19年時点ではなおも世界第3位となる145万6000トンが消費されている。農家は農薬の使用量を減らすと同時に、より効果が高く環境に優しいハイグレードで価値の高い農薬を使用するようになっており、中国の農薬市場規模は中〜高級製品を中心にさらに拡大するものと見られる。
同社はこれまでに203件の発明特許を取得するなど豊富な技術的蓄積や研究開発力を持つこと、高効率、低毒性、環境に優しいといった市場のニーズに沿った製品設計が可能であること、充実した管理体制による製品の品質確保、ディーラーとの関係だけなく、農薬使用技術指導により農家とも良好な関係を築き、ブランド力を高めていることなどを強みとしている。一方で、生産規模の拡大や品種の増加など事業の拡大を進める上で開発人材、マネジメント人材が不足していること、人材確保に向けた資金調達の手段が限られていることなどがボトルネックとなっている。また、市場競争の加速、農作物の生産サイクルにより売上が毎年1〜6月に集中し、販売ピーク時の前にまとまった量の在庫を確保する必要があることなどが、経営上のリスクとして存在する。
2021年12月期の売上高は5億4427万元(前期比13.48%増)、純利益は8251万元(同21.11%増)。22年1〜3月期の売上高は1億6562万元(前年同期比26.83%増)、純利益は3007万元(同7.46%増)だった。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
深セン証券取引所への上場を目指している農心作物科技(001231/深セン)が7月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2500万株を発行予定で、公募価格は18日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
china,economic,ipo,001231,sz
2022-07-14 18:30