【為替本日の注目点】ECB0.5ポイントの利上げか?

ドル円は朝方、ユーロドルでドル安が進んだ影響もあり137円台半ばで取引が始まる。その後米長期金利が上昇し、株価の大幅高を手掛かりに138円25銭まで上昇するも上値は限定的。ユーロドルは、明日の理事会で0.5ポイントの利上げを検討しているとの報道にユーロの買い戻しが続く。約2週間ぶりに1.0265まで上昇。株式市場は3指数が大幅に上昇。ダウは754ドル上昇し、ナスダックは3%を超える上昇に。債券は続落。長期金利は3.02%台に上昇。金と原油は続伸。
6月住宅着工件数 → 155万9000戸
6月建設許可件数 → 168万5000戸
ドル/円 137.46 ~ 138.25
ユーロ/ドル 1.0221 ~ 1.0265
ユーロ/円 140.61 ~ 141.45
NYダウ +754.44 → 31,827.05ドル
GOLD +0.50 → 1,710.70ドル
WTI +1.62 → 104.22ドル
米10年国債 +0.035 → 3.021%
【本日の注目イベント】
独 6月生産者物価指数
欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
欧 ユーロ圏5月経常収支
英 6月消費者物価指数
米 6月中古住宅販売件数
米 企業決算 → アルコア、テスラ
加 6月消費者物価指数
上値がやや重くなってきたドル円は138円を挟みもみ合う展開です。昨日のNYでは今月の会合で1.0ポイントの利上げ観測が急速に後退したことから株価が全面高となり、リスクオンが強まったことで債券が売られ、長期金利が上昇しました。ただ、ドル円は長期金利の上昇にはそれほど反応せず、ユーロドルでユーロが買い戻されたことにより反応しました。長期金利が3.02%台まで上昇したものの、ドル円の高値は138円台前半で限定的といった展開です。
先週パリティを割り込み、一時は0.9952まで売り込まれたユーロドルは1.02台半ばまで買い戻しが進んできました。もともとユーロショートの積み上がりが高水準だったことに加え、昨日は、明日の会合でECBが0.5ポイントの利上げを実施する可能性が取り沙汰されたことがユーロの買い戻しを誘いました。ブルームバーグによると、ECBは先月には0.25ポイントの利上げ方針を示していましたが、想定を超えるインフレの高進で、明日の会合で0.5ポイントの利上げを真剣に検討していると、事情に詳しい関係者が明らかにしたと報じています。
実際に会合で0.5ポイントの利上げが支持を得られるかどうかは依然として不透明ですが、ラガルド総裁は6月28日の講演で、0.25ポイントを超える利上げの可能性に含みを持たせていました。その後発表された6月の消費者物価指数(CPI)は「8.6%」と、過去最高を記録し、米国をも超える勢いでした。これはECBが目標とする2%物価上昇の4倍を超えています。ラガルド総裁は、「例えばインフレが加速し、インフレ期待の抑制が脅かされるような場合、もしくは潜在的経済がより恒久的に失われ、資源利用を制限する兆しが表れる場合には、早急に緩和策を引き上げる必要があるだろう」とも話していました。ブルームバーグの調査によると、エコノミストの過半数は明日の利上げ幅を0.25ポイントと予想しており、0.5ポイントの利上げを予想したのは53人中4人だけだったと伝えています。明日の発表で0.5ポイントの利上げであれば、すでにその多くは織り込まれていると思われますが、0.25ポイントであった場合、ユーロドルは再びパリティを目指す動きになるのではないかと予想します。
前日発表された7月のNAHB住宅市場指数に続き、6月の住宅着工件数は年率換算で「155万9000戸」と、市場予想を下回っていました。住宅ローン金利が急激に上昇していることと、価格そのものが上昇していることで、一般的な市民には徐々に手が届かなくなっていることが背景です。着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数も168万5000戸と、昨年9月以来の低水準でした。因みに昨年12月は189万5000戸でしたので、ここ半年で20万戸以上の減少が見られます。FRBの積極的な金融引き締めで、最も大きな影響を受けるのは住宅市場かと思いますが、今後さらに大幅な利上げが見込まれることから一段と減速する可能性があります。
ロシアのプーチン大統領はイランのテヘランを訪れ、トルコのエルドアン大統領、イランのライシ大統領と会談し、穀物輸出について協議を行った模様です。2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、プーチン氏が旧ソ連構成国以外を訪問するのはこれが初めてのことになります。3カ国首脳はシリアについて共同声明を発表する予定のようですが、議題の中心はウクライナでの戦争に関することと思われます。戦争の終結につながることにはならないとみられますが、結果が注目されます。ウクライナ侵攻から間もなく5カ月になりますが、事態は悪化の一途をたどっており、ロシアはウクライナ各市で集合住宅へのミサイル攻撃を行うなど、今や無差別的に総攻撃を行っています。双方に相当数の死傷者も出ており、消耗戦もかなり厳しい段階に来ているのではないでしょうか。
本日のドル円は137円50銭~139円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は朝方、ユーロドルでドル安が進んだ影響もあり137円台半ばで取引が始まる。その後米長期金利が上昇し、株価の大幅高を手掛かりに138円25銭まで上昇するも上値は限定的。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-20 10:00