エストラストは下値支持線から反発のタイミング

　　山口県や福岡県を中心に新築分譲マンションを開発・販売するエストラスト <3280> （東マ）の株価は、下値支持線に接近して反発のタイミングだろう。消費増税後の反動影響は限定的であり、好業績や低ＰＥＲが支援材料だ。 　　山口県を地盤とする不動産デベロッパーである。一次取得ファミリー型の新築分譲マンション「オーヴィジョン」シリーズ、および新築戸建住宅「オーヴィジョンホーム」の不動産分譲事業を主力として、連結子会社トラストコミュニティが展開する「オーヴィジョン」マンション管理受託の不動産管理事業や不動産賃貸事業も強化している。１４年３月には山口県内最大のオフィス街に立地する下関第一生命ビルディング（山口県下関市）を取得した。優良賃貸物件のポートフォリオの充実で事業収益を向上させる。 　　九州・山口エリアでのＮＯ．１デベロッパーを目指し、福岡県および九州主要都市への進出加速、九州・山口エリアでのマンション年間供給５００戸体制構築、山口県での戸建住宅年間供給１００戸体制の構築、ストック型ビジネスとなる建物管理受託戸数の拡大、優良賃貸物件のポートフォリオ構築などを推進している。重点エリアである福岡県での事業展開加速に向けて、１３年６月には第三者割当増資によって、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> 傘下の福岡銀行との関係を強化している。 　　４月１０日発表の前期（１４年２月期）連結業績（１０月１０日に増額）は売上高が前々期比１８．４％増の１０２億８６百万円、営業利益が同８．６％増の９億８１百万円、経常利益が同９．６％増の８億９０百万円、純利益が同１５．０％増の５億４３百万円だった。配当予想は年間８円（第２四半期末２円実施済、期末６円）で期末６円のうち２円は創業１５周年記念配当とした。 　　不動産分譲事業が順調に推移した。引き渡し戸数は分譲マンションが同４５戸増加して計画どおり８物件３７４戸となり、分譲戸建は１７戸だった。不動産管理事業のマンション管理戸数は同３７５戸増加して１７１０戸となり、不動産賃貸事業や不動産売買・仲介事業も順調に拡大した。 　　今期（１５年２月期）連結業績見通しについては売上高が前期比１６．７％増の１２０億円、営業利益が同１１．１％増の１０億９０百万円、経常利益が同９．０％増の９億７０百万円、そして純利益が同１０．４％増の６億円としている。プロジェクト先行費用などを吸収して経常最高益更新の見込みだ。配当予想は前期と同額の年間８円（第２四半期末２円、期末６円）で期末６円は普通配当とした。 　　通期の分譲マンション引き渡し予定４３０戸（前期比５６戸増）に対して、期首時点において３５５戸の契約を締結し、契約進捗率は８２．６％に達している。分譲戸建は４２戸（同２５戸増）の引き渡しを計画し、不動産管理事業のマンション管理戸数（期末）は２１３９戸（同４２９戸増）の計画だ。 　　消費増税後の反動影響については、新税率適用の１３年１０月～１２月に契約が落ち込んだが、１４年１月以降は順調に回復している。期首時点での今期引き渡しに計画に対する契約進捗率は高水準であり、反動影響は限定的のようだ。不動産管理事業の管理戸数増加や、不動産賃貸事業のポートフォリオ充実も寄与して好業績が期待される。 　　中期経営計画では目標値として１６年２月期の新築分譲マンション引き渡し戸数４９４戸、売上高１３０億円、営業利益１２億５０百万円、経常利益１２億円、純利益７億２０百万円を掲げている。事業展開の重点エリアとしている福岡市は１３年５月に人口が１５０万人を突破し、さらに増加傾向を強めている成長市場だ。中期的に収益は拡大基調だろう。 　　株価の動きを見ると、２月４日の安値６７２円から３月１１日の８４９円まで一旦反発したが、消費増税の反動影響に対する警戒感など全般地合い悪化も影響して反落し、４月１５日と４月２４日に７０１円まで調整する場面があった。ただし２月安値水準まで下押す動きは見られない。消費増税の反動影響に対する警戒感を織り込んだ水準だろう。 　　４月２５日の終値７１０円を指標面で見ると、今期予想連結ＰＥＲ（会社予想の連結ＥＰＳ１１９円６０銭で算出）は５～６倍近辺、今期予想配当利回り（会社予想の年間８円で算出）は１．１％近辺、前期実績ＰＢＲ（前期実績の連結ＢＰＳ４２０円１９銭で算出）は１．７倍近辺である。週足チャートで見ると５２週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、消費増税の反動影響を織り込んだ７００円近辺の下値支持線に接近して反発のタイミングだろう。好業績や低ＰＥＲも支援材料だ。（情報提供：日本インタビュ新聞社＝Ｍｅｄｉａ－ＩＲ）