【為替本日の注目点】IMF世界成長を下方修正

ドル円は朝方売りから始まったが徐々に切り返し、午後には136円96銭まで上昇。この日の高値圏で引ける。ユーロドルは続落。1.0108まで売られたが1.01台はキープ。株式市場は3指数が下落。ウォルマートなど小売り銘柄が大きく売られ、ダウの下げをけん引。ハイテク株の下げも止まらず、ナスダックは220ポイント下げる。債券は続落。長期金利は2.80%台まで小幅に上昇、金と原油は揃って下落。 5月ケース・シラ-住宅価格指数      →  20.5% 5月FHFA住宅価格指数         →  1.4% 7月コンファレンスボード消費者信頼感指数 →  95.7 7月リッチモンド連銀製造業景況指数    →  0 6月新築住宅販売件数           →  59.0万戸 ドル/円    136.28 ~ 136.96 ユーロ/ドル  1.0108 ~ 1.0152 ユーロ/円   138.12 ~ 138.62 NYダウ  -228.50 → 31,761.54ドル GOLD    -1.40 → 1,717.70ドル WTI     -1.72 → 94.98ドル 米10年国債 +0.011 → 2.807% 【本日の注目イベント】 豪 第2四半期消費者物価指数 日 5月景気先行指数(CI)(改定値) 中 6月工業利益 独 8月GFK消費者信頼感 欧 ユーロ圏6月マネーサプライ 米 6月耐久財受注 米 6月中古住宅販売成約件数 米 FOMC 政策金利発表 米 パウエル議長記者会見 米 企業決算 → ボーイング、クアルコム ドル円はNYで136円96銭まで買われ、先週末のNYでの急落からおよそ1円40銭ほど戻したことになります。上昇には勢いがないものの、明日朝のFOMCを前にしてドルを買う動きが優勢だったようです。先週末のドル円急落を受けて、市場にはドルに対してやや弱気の見方が増えてきましたが今週何度もこの欄で述べたように、筆者はドル高基調は変わっていないとの見方を維持しています。ただ、それも明日のFOMCの結果とパウエル議長の会見内容次第では全く分かりません。利上げ幅はほぼ0.75ポイントで決まりかと思いますが、焦点はパウエル議長がどのような発言を行うのかという点に絞られます。会見で、依然として高いインフレ率を理由に今後も積極的な利上げを続ける姿勢を見せれば、再びドルが買われる展開になる可能性が高い一方、明らかに景気の鈍化を示す指標が続いていることで、積極的な利上げに懐疑的な姿勢を示すようならドルが一気に売られることもあり得ます。 IMFは26日世界経済見通し(WEO)で、今年の世界成長率は「3.2%」に減速する見通しだと発表しました。今年の4月時点では「3.6%」、1月時点では「4.4%」と予測していましたが、ロシアのウクライナ攻撃が続き、世界の主要国が利上げを行っていることで成長が鈍化すると下方修正しました。下方修正の幅が最も大きいのは米国で、4月の「3.7%」から「2.3%」に、中国も「4.4%」から「3.3%」に修正されています。日本は主要国ではイギリスに次いで修正幅が少ないものの、「2.4%」から「1.7%」となっています。IMFは4月の時点で、ウクライナでの戦争の悪化やロシア制裁のエスカレート、中国での予想より急激な景気減速、新型コロナウイルス感染の再燃、さらには中銀に利上げを迫るインフレの波などのリスクに言及しましたが、今回の報告ではこうしたリスクの顕在化を指摘しています。今回は「リスクへの見通しは圧倒的に下振れ方向だ」とし、「欧州向けロシア産ガス輸入の突然の停止やインフレの長期化、中国での不動産危機のエスカレートなど、懸念要因は多く、世界経済が近くリセッション入りの瀬戸際に立たされる恐れがある」と警告しています。 パウエル議長の記者会見は明日の朝3時半にありますが、市場の一部にはパウエル氏は明確な発言を控えるのではないかといった見方もあるようです。インフレが止まらない中、経済データでは景気の減速を示すものが多く、議長としても今後の選択肢を確保しておきたいとする考えもあるのではないかといった見方です。この夏最後のラリーになるかもしれないと予想している市場参加者にとっては、やや肩すかしになるかもしれません。ただ、それでも翌日28日には米4-6月期GDP速報値の発表もあります。事前予想では「0.4%」とわずかながらプラス成長を予想していますが、マイナスに陥る可能性もあります。1-3月期が「マイナス1.6%」だったことから、今回マイナス成長を記録すると、教科書的に言えば「リセッション入りした」ということになります。バイデン大統領はすでに28日のGDP発表に備えて、仮にマイナス成長だとしても、これは「テクニカル・リセッション」と呼ばれるもので、必ずしも本物のリセッションとは言えないと「予防線」を張っていました。またイエレン財務長官も24日、「リセッションとは経済が広い範囲で弱くなることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない」と述べ、バイデン大統領と歩調を合わせています。 そのバイデン大統領が28日、中国の習近平主席と会談することになりました。ペロシ下院議長の台湾訪問を巡って中国側は、ペロシ氏の台湾訪問があった場合には「真剣に準備している」とけん制していました。フィナンシャル・タイムズ(FT)は、これは、これまでにない強い警告で、軍事的行動も含むものだと伝えた経緯もあり、米中関係はかなり厳しい状況です。会談の議題は分かっていませんが、米国が中国からの輸入品に対する関税を引き下げる意向を示すことと、ウクライナ情勢について意見を交わすのではないかと予想しています。会談で習氏が、ペロシ氏が台湾を訪問しないよう要請するかもしれません。 本日のドル円は、FOMC後に動きがあることを踏まえ、136円~138円程度を予想します。個人的には景気鈍化のデータが相次ぐ中でも、議長はインフレ制御に向けた強い決意を示すのではないかと予想していますが、どうでしょう・・・・(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は朝方売りから始まったが徐々に切り返し、午後には136円96銭まで上昇。この日の高値圏で引ける。ユーロドルは続落。1.0108まで売られたが1.01台はキープ。株式市場は3指数が下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-27 10:15