【為替本日の注目点】WTI原油価格90ドル台まで下落

ドル円は米経済指標の上振れとリスクオンの流れから134円台を回復し、134円55銭まで買われる。ただその後は長期金利の低下と共に、133円台後半まで下落。ユーロドルは1.02台から下げ、1.0123近辺まで売られる。株式市場は3指数が揃って大幅に上昇。企業業績と良好な経済指標を好感。ダウは416ドル買われ、前日の下げを埋める。債券は反落。長期金利は2.70%台に低下。金は6日ぶりに売られる。原油価格は在庫が予想よりも積み上っていたことから大幅に下落。90ドル台はほぼ5カ月ぶりの水準。 7月ISM非製造業景況指数   →  56.7 7月サービス業PMI(改定値) →  47.3 7月総合PMI(改定値)    →  47.7 6月耐久財受注         →  2.0% ドル/円    133.47 ~ 134.55 ユーロ/ドル  1.0123 ~ 1.0195 ユーロ/円   135.52 ~ 136.42 NYダウ  +416.33 → 32,812.50ドル GOLD   -13.30 → 1,776.40ドル WTI     -3.76 → 90.66ドル 米10年国債 -0.044 → 2.705% 【本日の注目イベント】 豪 6月貿易収支 独 6月製造業新規受注 英 BOE金融政策発表 英 ベイリー総裁会見 英 BOE議事録 米 6月貿易収支 米 新規失業保険申請件数 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演 ペロシ米下院議長は昨日の夕方6時ごろ、台北の松山空港を離れ、次の訪問国韓国に向いました。台湾の蔡英文総統と会談を行い、会談でペロシ氏は「米台の団結を明確にするため訪問した」と述べ、「米国は揺るぎない決意で台湾と世界の民主主義を守る」と発言する一方、「一つの中国」政策を尊重し、台湾への関与を放棄しないことを強調しました。ペロシ氏の訪台を巡っては中国側の再三にわたる強い警告がありましたが、台湾海峡周辺での軍事演習を強行した以外、現時点では目立った報復は見られません。それでも中国の王毅外相は3日異例の談話で、「中国の平和的台頭をぶち壊すことは完全徒労で、必ず頭を打ち付けて血を流す」(日経新聞)と、かなり過激な発言を行いました。王毅氏はかつて在日大使を経験したこともあり、流暢な日本語をあやつり、個人的には「温厚な紳士」だった印象がありますが、今回のらしからぬ発言には驚きです。ペロシ氏訪台を阻止するために強硬派が提案していたような措置が取られなかったことで、一部本土市民が失望したことに対して中国政府は、「米国と台湾は中国の対抗措置を徐々にかつ執拗に感じるだろう」として、市民に「しばらく辛抱してほしい」と呼び掛けていると伝えられています。ペロシ氏は韓国訪問の後は日本に向い、岸田総理との会談も予定されていることから、中国の強力な「報復措置」の可能性はまだ完全に消えていないと考えておいた方がベターです。 ドル円はNYで134円55銭まで上昇する場面もあり、これで2日の130円40銭近辺からは4円以上もドルが反発したことになります。まだ「ドル高トレンドは変わっていない」とした筆者の見方も、現時点ではやや正当化されそうです。日足チャートでは、雲の下限を一旦割り込みましたが、翌日のローソク足が雲の下から出ることにはならなかったことで結局、雲の下限に支えられて反発した形状になっています。139円39銭から130円40銭までの下落幅の「半値戻し」はおよそ「134円89銭」となり、昨日のNYではそこまで戻してはいません。直近の戻りのメドとしは意識される水準で、さらに「基準線」も134円90銭にあります。従って、この水準を抜き135円台を回復するようだと、目先の130円割れは遠のくとみられます。 今回のドル円急落は6月のCPI発表後に急速に盛り上がった大幅利上げ観測が、FOMC後、特にパウエル議長の会見を境に急速に後退し、それ歩調を合わせたように米長期金利が低下したことが主因でした。ところが、「いやそうではなく、FRBによる大幅な利上げスタンスは変わっていない」との見方が再び台頭してきました。前日のシカゴ連銀総裁やSFシスコ連銀総裁の発言に加え、昨日はリッチモンド連銀のバーキン総裁が、金融当局はインフレ抑制にコミットしているとしつつ、「その過程でリセッションは起こり得る」と発言し、セントルイス連銀総裁のブラード総裁も大幅な利上げを「前倒しで実施する」戦略への支持を表明しています。また、SFシスコ連銀のデーリー総裁は、大量失業と景気低迷を引き起こさずにインフレを抑制することは可能だとの認識を示し、「経済データが予想通りとなれば、9月のFOMCで政策金利を50bp引き上げることが適切になりそうだ」と発言しています。 このように、今後の経済指標が余程の下振れを示さない限り、FRBの利上げスタンスは変わらないとみられます。むしろ、明日の雇用統計が上振れすれば、9月の利上げは50bpから75bpがコンセンサスになる可能性も残しています。今後のデータ次第だということですが、相場の振れは大きく、荒っぽい展開は続きそうです。 本日のドル円は133円~135円程度といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米経済指標の上振れとリスクオンの流れから134円台を回復し、134円55銭まで買われる。ただその後は長期金利の低下と共に、133円台後半まで下落。ユーロドルは1.02台から下げ、1.0123近辺まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-04 10:00