【為替本日の注目点】米7月の雇用統計は完璧

ドル円は急伸。7月の雇用統計が予想を大きく上振れたことからドル円は一気に135円台を回復し、一時は135円52銭までドル高が進む。ユーロドルは反落。ドル高が進みユーロは売られたが、大きな値動きはなく1.0142で下げ止まる。株式市場は、FRBによる大幅利上げが継続されるとの観測が高まり売られる。それでもダウは買いが優勢となりプラスで引ける。ナスダックとS&P500は小幅に下落。債券相場は大幅に下落。長期金利は一時2.86%台まで上昇し、2.82%台で取引を終える。金は反落し、原油は反発。 7月失業率       → 3.5% 7月非農業部門雇用者数 → 52.8万人 7月平均時給(前月比) → 0.5% 7月平均時給(前年比) → 5.2% 7月労働参加率     → 62.1% 6月消費者信用残高   → 40.154b ドル/円    133.09 ~ 135.52 ユーロ/ドル  1.0142 ~ 1.0236 ユーロ/円   136.04 ~ 137.76 NYダウ   +76.65 → 32,803.47ドル GOLD   -15.70 → 1,791.20ドル WTI     +0.47 → 89.01ドル 米10年国債 +0.139 → 2.827% 【本日の注目イベント】 日 6月貿易収支 日 6月国際収支 日 7月景気ウオッチャー調査 「雇用統計は完璧だった」という声も聞かれるほど、7月の雇用統計は予想を大きく上回り、リセッションによる労働市場への影響は全く見られない状況でした。7月の非農業部門雇用者数は「52.8万人の増加」と、市場予想「25万人の増加」の倍以上の結果でした。6月分も上方修正され、バイデン大統領は「歴史上、最も多くの人々が働いている」と、雇用統計発表1時間後に異例のコメントを発表しています。失業率の「3.5%」も、前回の数字よりも0.1ポイント改善しており、賃金も上昇しています。40年ぶりのインフレが高進する中、企業は人員を確保するため、より魅力的な賃金を提示し、労働力を維持している構図のようです。 7月雇用者数の予想を大幅に上回る伸びを受け、リセッションへの懸念が和らぐとともに、FRBは今後も大幅利上げを継続する必要に迫られるとの見方が強まり、ドル円は133円前後から一気に135円台を回復し、135円52銭まで上昇しました。上値の重い展開が続いていましたが、ここ最近は抜け切れずにやや「壁」になりつつあった134円50-80銭を突破し、再び上昇トレンドに戻りそうですが、中国による台湾周辺での軍事演習継続や、ウクライナ情勢の混迷、さらには中東イスラエルの混乱など、まだ不確実性要素が多く、単純にドル高と判断するわけにはいきません。ただ、FRBの積極的な利上げ姿勢は維持されそうなことから、これがドル円のサポート材料になるとみています。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は7日CBSの番組で、「インフレを抑制するという点で金融当局が役割を果たしたと言える状況からはまだ遠い」と指摘し、9月会合で50ベーシスポイントの利上げが実施される可能性について問われると、「もちろんだ。だがデータに基づく姿勢を取る必要がある」とし、「考え方をオープンにしておく必要がある。インフレ指標がさらに2つ、雇用統計もあと1回発表される」と述べています。また、FRBのボウマン理事は雇用統計の結果を受け、さらにタカ派的な意見を述べています。ボウマン氏は、「インフレ率が明白に低下するまでは先月決めた0.75ポイント利上げと同様の大幅な利上げを検討し続けるべきだ」との考えを示し、「現在進めているような利上げが適切だと予想しているが、データや状況がどのように展開するかについては不確実性を踏まえ、そうした情報を指針としてどの程度の利上げが必要かを判断する」と述べています。(ブルームバーグ) 先週までに、GDPの2期連続マイナスやPMIが「50」を大きく下回るなど、米経済指標が予想を下振れするケースが多く、さらに前回のFOMC後のパウエル議長の発言などから、ドル円は急速に値を下げ、一時は130円台半ばまでドルが売られました。テクニカルでも「ドル高の終焉」が近いことを示唆するサインもありました。筆者もその流れに巻き込まれそうな状況でしたが、「130円を明確に割りこむまでは」ということで「ドル高の終焉」を封印していましたが、結果オーライといったところです。上記FOMCメンバーも口を揃えて言っているように、経済指標の結果も流動的で、今後も大幅利上げが継続されると想定されるものの、オープンでいる必要もあります。データ次第では再びドル売りが再燃しないとも言い切れません。130円割れは回避できたものの、直ぐに140円をテストする地合いではないという相場観で対峙することが必要かと思います。今後もインフレ指標が極めて重要になります。次の最重要経済指標は10日(水)の7月の消費者物価指数です。熱い夏はまだまだ続きそうです。 本日のドル円は134円50銭~136円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は急伸。7月の雇用統計が予想を大きく上振れたことからドル円は一気に135円台を回復し、一時は135円52銭までドル高が進む。ユーロドルは反落。ドル高が進みユーロは売られたが、大きな値動きはなく1.0142で下げ止まる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-08 10:00