【為替本日の注目点】ドル円反落

135円台半ばが抜け切れないものの、135円台で堅調に推移していたドル円はNYで売られる。134円36銭まで下げたが、その後再び135円近辺まで値を戻す、「往って来い」の展開に。ユーロドルは上値も下値も抜けない動きが続き、1.02を挟むもみ合いに。株式市場は上昇して始まったがその後は軟調な展開に。ダウは小幅にプラスを維持したが、ナスダックとS&P500は続落。債券は反発。長期金利は2.75%台へ低下。金は反発し原油は続伸。
ドル/円 1 34.36 ~ 135.11
ユーロ/ドル 1.0185~ 1.0222
ユーロ/円 137.06 ~ 137.68
NYダウ +29.07 → 32,832.54ドル
GOLD +14.00 → 1,805.20ドル
WTI +1.75 → 90.76ドル
米10年国債 -0.070 → 2.757%
【本日の注目イベント】
豪 7月NAB企業景況感指数
米 中間選挙予備選(コネチカット、ミネソタ、バーモント、ウィスコンシン州)
昨日の東京時間に135円58銭近辺まで上昇する場面もあったドル円でしたが買いは続かず、135円台は維持していたものの、NYでは米長期金利の低下を手掛かりに134円36銭まで売られました。明日のCPIを前に動きにくい状況の中でも1円以上も値幅があり、やはり今年の夏は例年とは異なる動きです。ドル円はその後135円近辺まで値を戻しており、結局「往って来い」の展開でした。先週末の雇用統計が大きく上振れしたことで、9月のFOMCでは0.5ポイントの利上げは確実で、ひょっとしたら0.75ポイント利上げの可能性も大きく浮上してきました。「大幅利上げ継続」を材料にドルが再び上昇すると見込む一方、大幅利上げで米景気はさらに悪化すると同時に、原油価格の下落が続いていることから、「米国のインフレはピークを打った」とする見方からドルの下落を予想する向きが対峙する構図で、やや不透明な状況です。
実際に今朝のNYからの情報を確認しても、同じように「強弱」入り混じっています。NY連銀の最新の調査で、米消費者の1年後、3年後、5年後のインフレ期待がいずれも急低下したことが明らかになりました。調査によると、3年後のインフレ期待は6月の「3.6%」から7月には「3.2%」に低下。1年後のインフレ期待も6月の「5.8%」と前月の「6.2%」から低下しています。ここ数週間ガソリン価格が下落していることが、家計の不安緩和に大きく寄与したとみられています。明日発表の7月のCPIにも影響があるかもしれません。一方良好な7月の雇用統計を受け、大手米銀の担当者は9月のFOMCでは大幅利上げを見込む声が増しています。JPモルガンのフェロリ氏とLHマイヤーのタン氏は、9月のFOMC会合では75ベーシスポイントの利上げを予想していることを明らかにし、シティーグループは9月の会合で政策金利が1ポイント引き上げられるリスクに留意しているとしています。フェロリ氏は、「米金融政策当局を突き動かしているインフレ懸念は、雇用統計でますます強まった。統計の数字でリセッションへの不安は和らぐが、今後も一層の利上げが続くという懸念は増幅される。9月の利上げ幅が0.75bpになる可能性は高くなってきたようだ」とリポートで指摘しています。(ブルームバーグ)また7月の非農業部門雇用者数が52万8000人増加し、失業率も3.5%まで低下し、賃金の伸びも加速したという結果が、高インフレを相手に闘うFOMCに「6月、7月に続いて9月も0.75bpの利上げを決定する動機を与えた」との指摘もあります。
7日に終了予定だった台湾周辺の軍事演習について、中国人民解放軍は8日、「台湾島周辺の空・海域で対潜ならびに海上攻撃訓練を実施した」ことを発表しています。中国共産党機関紙系の環球時報前編集長の胡氏は「軍事演習は台湾だけではなく、米国、日本、オーストラリアの3カ国への警告でもあり、台湾問題に関してこれら3カ国は、紙で出来たトラ、犬、猫である。(paper tiger , paper dog and paper cat)とツイートしています。これに対して台湾外交部は、中国が軍事演習の延長を決めたことを非難する声明を発表しました。バイデン大統領は8日、「私は心配していないが、中国が軍事演習に動いていること自体は懸念している。だがそれ以上のことはしないと思う」と語っています。
大きな値動きが続いているドル円をしり目にユーロドルではレンジ相場が続いています。ここ1週間ほどは1.01台前半から1.02台後半のレンジ内に見事に収まっています。米国と肩を並べる程のインフレが進む中、景気後退が鮮明で大幅利上げが難しいユーロ圏を象徴している動きと言えます。今後ドル高がさらに進むとみれば、ユーロドルのパリティ割れがもう一度見られる可能性がありそうですが、逆にドルが売られる展開であったとしても、ユーロドルの上昇には限りがありそうです。日足のローソク足はすでに1年以上も「雲の下方」で推移しており、下落基調が続いています。1.05台を明確に上抜けするまではユーロドルの戻り売りスタンスは維持されそうです。
本日のドル円は134円~135円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
135円台半ばが抜け切れないものの、135円台で堅調に推移していたドル円はNYで売られる。134円36銭まで下げたが、その後再び135円近辺まで値を戻す、「往って来い」の展開に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-09 09:45