【深センIPO】リチウムイオン電池三元材料の新郷天力鋰能が17日に公募開始、3050万株発行予定

 深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、新郷天力鋰能(301152/深セン)が8月17日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3050万株を発行予定で、公募価格は57元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。  同社は2009年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。リチウムイオン電池の三元材料および前駆体の研究開発、生産、販売を主業務としており、新エネルギー自動車、電動自転車、電動工具、コンシューマーエレクトロニクスなどの分野に広く利用されている。中国国内では比較的早い時期から三元材料の研究開発と生産を手掛けており、小型の動力用リチウムイオン電池分野に特化してきた。中国のリチウムイオン電池関連著名企業を多く顧客に持ち、電動自転車および電動工具向けリチウムイオン電池用産原材料分野で19、20年の出荷量業界トップとなっており、40%以上のシェアを獲得している。また、20年における中国の三元材料市場全体の出荷量シェアは5.67%で業界第8位だ。  中国の正極材料出荷量は2015年の12万2000トンから20年には51万3000トンとなり、市場規模も526億元にまで成長した。その背景には新エネ車、電動工具、電動自転車などのリチウムイオン電池需要増に伴う三元材料需要増、電子タバコ、完全ワイヤレス(TWS)イヤホンなどの電池に用いるコバルト酸リチウム需要、リン酸鉄リチウムの需要の旺盛な状況がある。その中で三元正極材料の出荷量は15年の3万7000トンから20年には24万トンに増加、25年には88万トンにまで伸びる見込みだ。  また、新エネ車の動力源となる動力用電池に用いられる三元材料市場も急速に成長しており、出荷量は2015年の8000トンから20年には17万1000トン、25年には67万トンにまで増加するものとみられる。脱炭素化、エネルギー革命に伴いリチウムイオン電池やその材料の重要性は日増しに高まっており、掃除ロボット、ドローン、ウェアラブル端末などその応用範囲も広がっている。同社の属する業界の環境は非常に良好と言えそうだ。  同社は早い時期から三元材料、前駆体の研究開発に取り組んできたこと、電池材料研究院を設けてオープンな研究開発体制を整えていること、三元材料の重要生産技術を掌握していること、小型動力用リチウムイオン電池正極材料分野で中国の業界をリードしていることなどを強みとする一方で、資金力が限られ、調達手段も単一的であること、中国国内の大型メーカーに比べると生産規模、経営規模で大きく劣っていることなどがボトルネックとなっている。  また、小型動力リチウムイオン電池市場の競争が激しくなっていること、主要原料である硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガン、炭酸リチウム、水酸化リチウムなどの価格上昇、新エネ車用製品の売上比率が小さく、市場の開拓が不十分であることなどが経営上のリスクとして存在する。    2021年12月期の売上高は16億6274万元(前期比33.76%増)、純利益は8485万元(同48.55%増)。22年1〜6月期の売上高は14億3802万元(前年同期比102.97%増)、純利益は1億1339万元(同68.96%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、新郷天力鋰能(301152/深セン)が8月17日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3050万株を発行予定で、公募価格は57元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-15 22:00