【為替本日の注目点】WTI原油価格約6カ月ぶりの安値に

ドル円は欧州市場で134円台を回復、NYでは長期金利の上昇もあり134円68銭まで買われる。ユーロドルは続落。ドイツZEW期待指数が悪化しており、ユーロ売りが優勢に。およそ3週間ぶりに1.0125まで下落。株式市場はまちまちながらダウは5日続伸。ウォルマートなど小売り企業の良好な決算が支えとなり239ドル高。約3カ月半ぶりに3万4千ドルの大台に乗せる。債券は売られ、長期金利は2.80%台に上昇。金は続落。原油はイラン産原油の市場復帰が近いとの見方から大幅に下落。一時は85ドル台まで売られ約6カ月ぶりの安値を付ける。
7月住宅着工件数 → 144.6万件
7月建設許可件数 → 167.4万件
7月鉱工業生産 → 0.6%
7月設備稼働率 → 80.3%
ドル/円 134.19 ~ 134.68
ユーロ/ドル 1.0125 ~ 1.0195
ユーロ/円 136.05 ~ 136.90
NYダウ +239.59 → 34,152.01ドル
GOLD ―8.40 → 1,789.70ドル
WTI -2.88 →86.53ドル
米10年国債 +0.016 → 2.804%
【本日の注目イベント】
日 7月貿易統計
欧 ユーロ圏4-6月期GDP(改定値)
英 7月生産者物価指数
英 7月消費者物価指数
米 7月小売売上高
米 FOMC議事録(7月26.27日開催分)
米 ボウマン・FRB理事講演
131円台半ばから135円台半ばのレンジ内での動きが続くドル円は、昨日の欧州市場から134円台に乗せ、NY市場では134円68銭までドルが買われています。ドルの底堅い動きとみるのか、あるいは依然としてドルの上値が重いとみるのか、見方が分かれるところです。株価が上昇しリスクオンの流れがあることに加え、本日公表される7月のFOMC議事録では、タカ派の内容が出るのではないかとの見方が広がり、米長期金利が上昇したことがドル円を押し上げました。7月会合では2カ月連続で0.75ポイントの追加利上げを決め、会合後の会見でパウエル議長は「次回の会合で異例に大幅な利上げをもう一度行うことも適切となり得るが、判断は今から次回会合までのデータ次第だ」と述べたこともあり、データ次第では大幅な追加利上げの可能性にも言及していた会合でした。もっとも、パウエル議長は「いずれ利上げペースを落とすことになる」とも述べており、この発言を契機にドル安・株高が急速に進んだ経緯もあります。結局は、大幅利上げを行うかどうかは「白紙」状態で、まさにデータ次第という意味合いかと思います。ただその割には、その後講演を行った複数のFOMCメンバーの発言は概して「タカ派的」でした。これは、当局としては「持続的かつ説得力のあるエビデンス」を入手するまでは、慎重な姿勢を崩すことはできないということかと理解しています。
米国では16日、税制改正や気候変動対策、ヘルスケア措置などを盛り込んだ「インフレ抑制法」がバイデン大統領の署名で成立しています。バイデン大統領は、「この法で米国民が勝利し、特別利益団体は敗北した。進歩と繁栄を米国の家庭にもたらすものだ」と発言しています。11月の議会中間選挙を控え、「この法案成立は、バイデン氏にとっては大きな勝利を手にしたもの」とブルームバーグは論じています。
NYの株価が大きく出直ってきました。NYダウは5日続伸し、この間の上げ幅は1380ドルに迫り、5月4日以来となる3万4000ドルの大台を回復してきました。またS&P500も大幅に下げた下落幅の「半値戻し」を達成しており、これらは米国のインフレがピークを過ぎたという見方が定着しつつある証左かと思われます。バンク・オブ・アメリカのストラテジストは「センチメントは依然弱いが、インフレを金利の衝撃が今後数四半期で終わるとの期待が高まる中で、もはや終末論的な弱気ではない」と述べています。ロシアとウクライの闘いはさらに激しさを増し、台湾海域での緊張は高まり、さらにはコロナ感染の日常化など、周りを見れば多くのリスクが混在する中、果たしてインフレの鎮静化という材料だけで楽観論を支持していいのか、個人的には迷うところです。実際、台湾を巡る問題について中国の泰剛駐米大使は、米議員団の台湾訪問について、地域の緊張をエスカレートさせているとした上で、「この問題に関する中国の決意をバイデン政権は軽視するべきではない」と警告しています。中国側の報復はまだ終わっていないのかもしれません。
1.02台の半ばから上がキャップされていたユーロドルは、ドル安の流を受け1.0368近辺まで上昇しましたが、再び下落に転じてきました。これから冬を迎え、エネルギー問題が景気に及ぼす影響が意識されユーロの上昇は限定的となっています。再び1.01割れを試すようならドル円にも上昇余地がありそうですが、ドル円の上値の重さもまだ払拭されてはいません。来週のPECデータや、その先のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言を待つしかありません。
本日のドル円は133円50銭~135円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は欧州市場で134円台を回復、NYでは長期金利の上昇もあり134円68銭まで買われる。ユーロドルは続落。ドイツZEW期待指数が悪化しており、ユーロ売りが優勢に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-17 09:45