【為替本日の注目点】FOMC議事録は材料にならず

東京市場では朝方に133円台後半まで売られたドル円は欧州市場から上昇。NYでは長期金利の上昇に伴い135円台に乗せ、135円50銭までドル高に。ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.02前後まで反発。株式市場は3指数が揃って下落。ダウは6日ぶりに売られ、上昇も一服。債券も売られ、長期金利は2.89%台まで上昇。金は続落し、原油は反発。
7月小売売上高 → 0.0%
ドル/円 134.79 ~ 135.50
ユーロ/ドル 1.0146 ~ 1.0201
ユーロ/円 137.14 ~ 137.88
NYダウ ―171.69 → 33,980.32ドル
GOLD ―13.00 → 1,776.70ドル
WTI +1.58 →88.11ドル
米10年国債 +0.093 → 2.897%
【本日の注目イベント】
豪 7月雇用統計
トルコ 中銀政策金利発表
欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)
米 新規失業保険申請件数
米 8月フィラデルフィア連銀景況指数
米 7月中古住宅販売件数
米 7月景気先行指標総合指数
米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、Q&Aセッションに参加
7月26-27に開催されたFOMC議事録が公開されましたが、思ったほど「タカ派的」ではなかったものの、株は売られ、債券も売られ、長期金利が上昇。ドル円はその動きに呼応するかのように135円台を回復し、135円50銭までドル高が進む場面がありました。この水準は今月5日(金)の雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想の2倍以上だった結果を受け、ドルが急騰した水準になります。ただ、昨日もこの水準を抜け切れずに135円台前半まで押し戻されるなど、依然として一進一退の展開から抜け出てはいません。ドル円の上昇は、英国の7月のCPIが「10.1%」に上昇し、40年ぶりに2桁のインフレ率を記録したことで、欧米などでもなおインフレ圧力は続くといった見方が影響した可能性があります。
議事録では、「金融政策が経済に効果をもたらす上では長く不規則な時間差を伴う事実を考慮すると、委員会が物価安定を回復するために必要以上に政策スタンスを引き締めるリスクも存在すると、多くの参加者は指摘した」とした上で、「いずれ利上げペースを減速すると当局者らは認識した」とありました。2会合連続で0.75ポイントという大幅な利上げに踏み切ったことで、その効果を見極めながら、利上ペースをいずれ減速させるとの見方が示されています。これは会合後の記者会見で述べたパウエル議長の発言とも整合していました。
11月の中間選挙に伴う予備選挙がワイオミング州で行われ、同州共和党の現職下院議員のリズ・チェイニー氏がヘイグマン氏に敗れました。ワイオミング州は圧倒的に共和党支持者が多く、特にトランプ前大統領が根強い支持を受けている「共和党の牙城」です。ここで、チェイニー氏は現職共和党員でありながらトランプ氏は次期大統領には相応しくないとの論陣を張り予備選挙を闘ってきましたが、大差で敗北しています。同氏はチェイニー元副大統領の長女で、ブッシュ政権時代には国務副次官補まで務めた「大物」です。トランプ氏もじきじきに現地入りして応援を行ったヘイグマン氏に敗れたことは、2024年の大統領選にも影響するかもしれません。
「貿易赤字が常態化」・・・こんな見出しがつくほど、日本の貿易収支で輸出額より輸入額が上回る状況が続いています。昨日発表された7月の貿易収支は1兆4367億円の赤字で、これで12カ月連続の赤字となりました。要因はいうまでもなく原油などの資源価格が急騰しているからで、円安が追い打ちをかける格好になっています。ただ、円安が進むと通常輸出も増えます。実際に7月の輸出額は前年同月比で19%増え、過去最大でした。結局、輸入額がそれ以上に増えていることになりますが、報道によると輸出は金額では増えているものの、「数量」では減少しています。これは半導体不足や中国のロックダウンの影響が大きかったとみられています。貿易赤字が続くということはその分だけ市場では、主にドルの調達が増えるということになります。今後もこの傾向が続けば、仮に円高に振れる局面があったとしても振れ幅は限定的だということかもしれません。
ロシア・ウクライナ戦争も新たなステージに入ったのかもしれません。2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島で、9日にロシア軍の航空基地が爆破されたのに続き、16日には北部のロシア軍の弾薬庫で大規模な爆発が起きました。ウクライナ側は明言を避けていますが、ゼレンスキー大統領はビデオ演説で攻撃したことを示唆しています。またゼレンスキー氏はクリミアを取り戻すと何度も述べており、一連の攻撃はロシアの補給網や拠点にダメージを与えることで、戦局を有利にする狙いがありそうです。米国から提供された高機動ロケット砲システム「ハイマース」を使うことで、遠距離からの攻撃を可能にし、ウクライナも攻勢に出たとみられます。一方で、一連の攻撃を受けたロシアがさらに攻撃を強めてくる可能性もあり、来週で半年を経過する勝者のない戦争もまだ終わりが見えないようです。
135円50銭まで買われたドル円ですが、今朝は135円を挟んでもみ合っています。ここから再び押し戻されるようだと、132円台半ばから135円台半ばのレンジが続きそうです。目先は135円台半ばが抜けるかどうかですが、FOMCメンバーの発言と来週のジャクソンホールあたりが材料になるのでしょう。
本日のドル円は134円10銭~135円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京市場では朝方に133円台後半まで売られたドル円は欧州市場から上昇。NYでは長期金利の上昇に伴い135円台に乗せ、135円50銭までドル高に。ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.02前後まで反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-08-18 10:15