【上海IPO】ちまきなど伝統食品メーカーの浙江省五芳齋実業が22日に公募開始、2519万株発行予定

 上海証券取引所のメインボードへの上場を目指している、浙江省五芳齋実業(603237/上海)が8月22日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2519万株を発行予定で、公募価格は19日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。  同社は1998年設立の民営企業で、もち米を主体とする食品の研究開発、生産、販売を主業務としている。「もち米食品を核とする中華季節食品のリーディングブランド」を戦略目標とし、中華ちまき、月餅、湯円(ゆで団子)、もち菓子などを主力製品として扱う。21年12月末現在で直営、フランチャイズ、代理店などの方式で478の店舗を構えている。1921年に誕生した「五芳齋」のブランドは04年に国家商標局から「中国馳名商標」に認定されたほか、「中華老字号(老舗)」にも指定されている。100年の歴史を持つ中華ちまき製造方法は、11年に国の無形文化遺産リスト入りを果たした。  同社の主力製品で売上の約7割を占める中華ちまきはかつて旧暦5月の端午節を象徴する季節性の強い食品だったが、現代では手軽に手早く食べられる日常的な食品としての属性が強まっている。また、中国の伝統文化への回帰ブームも相まって、その市場規模は年々拡大している。2015年の49億1600万元から19年は73億3700万元と、年平均の成長率は10.53%に達した。24年には102億9100万元と100億元を超える市場に成長する見込みだ。  また、中秋節を代表する菓子である月餅も、クラシックな製品から派生した様々な具を用いた現代的な製品が続々登場しており、市場規模が拡大している。2015年の131億8000万元から19年には196億7000万元に増え、24年には263億2000万元に達する見込みだ。20〜24年の年平均成長率は6%と予測されており、見通しは明るい。  同社は「五芳齋」という老舗ブランドを持っていること、伝統技術をベースに現代的な生産技術を取り入れ、中華ちまきの業界規格制定を主導するなど高い技術力を持っていること、ISOの品質マネジメントシステム、食品安全マネジメントシステムなどに準拠した厳しい生産管理により製品の品質と安全性を確保していること、400軒を超える販売店のほか、スーパーマーケット、商業施設といったオフラインの販路に加え、京東、天猫などを通じたオンライン販路も持っていることなどを強みとしている。  一方で、端午節、中秋節、清明節など伝統的な祭日に急速に高まる需要に、生産能力が対応しきれなくなっていること、店舗が華東、華中など経済発展地域に集中しており、全国展開に向けたさらなる投資が必要であることなどがボトルネックとなっている。また、安全性のリスクが高く、安全を守るためのコストがかかること、商標、商号の権利侵害を受ける可能性があること、もち米や豚肉などの価格変動、製品の季節性が強く、市場予測を誤ることで大量の在庫、廃棄を生む可能性があることなどが経営上のリスクとして存在する。  2021年12月期の売上高は28億9224万元(前期比19.48%増)、純利益は1億9368万元(同36.37%増)。22年1〜6月期の売上高は18億881万元(前年同期比15.32%減)、純利益は2億4287万元(同20.89%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
上海証券取引所のメインボードへの上場を目指している、浙江省五芳齋実業(603237/上海)が8月22日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2519万株を発行予定で、公募価格は19日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。(イメージ写真提供:123RF)
china,economic,ipo,603237,sh
2022-08-18 23:45